新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061179738

感想・レビュー・書評

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  • クーンの「パラダイム論」に代表される「新しい科学論」の内容を、中高生向けに解説ている本です。

    著者は、わが国に新科学哲学を紹介することに長く力を注いできた研究者です。本書は二つの章に分かれており、第一章では常識的な科学観にひそむ前提がとりだしされています。第ニ章は、前半で示された科学観をひっくり返す新科学哲学の見かたがわかりやすく解説されています。著者は、現代の啓蒙主義的科学観の来歴を訪ね、キリスト教的世界観に根ざしつつ、そこから脱却する努力のなかで形成されてきたという文化史的な考察がおこなわれています。つづいて、ハンソンが主張した「観察の理論負荷性」にかかわる認識論的考察が展開されます。

    本書の主題になっている「新しい科学論」は、いわゆる社会的構成主義の理論的な基礎を提供してきたことで知られています。ただし、科学の社会学的な観点からの分析が認識論における相対主義にまで拡張されることに対しては批判も多く、この点にかんしては他の科学哲学の入門書などで補うことが必要であるように思います。

  • 科学系シントピ。フォトリーディング&高速リーディング。

  • 新しい科学論についての本。著者である村上の主張が示されている。
    常識的な科学論の説明も丁寧で、かなり読みやすいと思う。

    著者自身は中高生にと言っているが、読めなくはないが難しいんじゃないかと思う。

著者プロフィール

1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学教養学部卒業、同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。東京大学教養学部教授、同先端科学技術研究センター長、国際基督教大学教養学部教授、東洋英和女学院大学学長などを歴任。東京大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授。『ペスト大流行』『コロナ後の世界を生きる』(ともに岩波新書)、『科学の現代を問う』(講談社現代新書)、『あらためて教養とは』(新潮文庫)、『人間にとって科学とは何か』(新潮選書)、『死ねない時代の哲学』(文春新書)など著書多数。

「2022年 『「専門家」とは誰か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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