モモちゃんとアカネちゃんの本(4)ちいさいアカネちゃん (児童文学創作シリーズ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 329
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061192348

作品紹介・あらすじ

シリーズ第4作。モモちゃんとアカネちゃんは、ママといっしょに新しい家にひっこしました。あかちゃんのアカネちゃんは、森のくまさんの家にいったり、おおかみと遊んだり……。小さくすなおな心が、あたたかい思いやりのなかで成長していくさまを描いた名作。

感想・レビュー・書評

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  • モモちゃんとアカネちゃんの本4冊目。
    パパとママはおわかれしましたが、「離婚しました。終わり」ではなく、パパもちょこちょこと姿を表します。

    パパがどうしていないのか分からないアカネちゃんは家を探します。
    そしてある時オオカミの姿のパパに出会います。
    アカネちゃんと別れたあとのパパは鳥たちを並べて「あの子はちゃんとオオカミの姿のおれを俺だとわかった。おまえたちもおれの中に飛び込んでおれに喰われておれの歌を歌え」といいます。でも鳥たちは、なにも言わずにじいっと、うっとりと、オオカミパパをみるだけです。
    この書き方からしても、松谷さんの元ご主人がどんな人か、松谷母娘にとっては一緒に家庭は作れない人だけど、すこし寂しくて大好きなパパなんでしょう。

    パパがいなくなって、ママは一人でモモちゃんとアカネちゃんを育てて、夜までお仕事をしています(離婚前からママさんのワンオペっぽい雰囲気ではあったけど)。
    でもかわいいモモちゃんとアカネちゃんには、面倒を見たいです、っていうご近所さんがたくさんいます。
    おいしいものが大好きな森のくまさん、アカネちゃんのママになりたいウサギさんやキツネさんたち、クロネコのプー、アカネちゃんのいちばん大切なおともだちの靴下のタッタちゃんとタアタちゃん。
    そんなお友達やご近所さんに囲まれて、モモちゃんとアカネちゃんはすくすくと大きくなります。
    このタッタちゃんとタアタちゃんの可愛く健気なこと。パパに会いたいアカネちゃんのために遠い道をパパを迎えに行こうとして森の茂みに引っかかってしまったり、チョウチョが欲しいアカネちゃんのために「チョウチョのホテル」になって泊まりにきたチョウチョをアカネちゃんのところに連れ行ったり。
    だからこの本の最後で、アカネちゃんが突然タッタちゃんとタアタちゃんとのお別れになったのにはびっくりしたり悲しくなったり。ママが遊びに来たお友達の赤ちゃんに、タッタちゃんとタアタちゃんをあげてしまいました。ママからしたら大きくなったアカネちゃんはもう履けないでしょってことで、やっていることはアタリマエのことだけど…、子供にとってそれがどれだけ大切かを大人はわからないというのは、現実でもよくある姿で、ママにとってもアカネによるにとってもタッタちゃんタアタちゃんにもっても悲しいですね…。

    さて、モモちゃんとアカネちゃんは、仲良いのですがたまに喧嘩します。
    モモちゃんは私のほうがお姉さん!私はとってもいい赤ちゃんだったって言われてる!アカネは赤ちゃんで聞き分けがなくって私のほうがすごいんだから!っていう気持ちがあります。

    そしてところどころ見せる別の世界との繋がり。
    ママとモモちゃんとアカネちゃんが、パパのパパとママ、つまりおじいちゃんとおばあちゃんがいるお山に遊びに行った時に雪女に連れて行かれそうになります。でもちゃんとモモちゃんはアカネちゃんの手をつないでいたし、おじいちゃんは雪女とお話しに行きます。
    そして死神。パパとお別れしてからママはずいぶん強くなりました。また死神が現れてもむしろ相手をこき使うくらいのことはやってしまいます。でも死神は「あんたの元ご亭主のところに行ったら俺のことを食っちまったから、体に入った時に心臓にサインしてきたよ」なんていいます。

    松谷さんの書くお話は、ただのお話ではなくほぼ幻想文学。本当のことを物語としての語り方や、この世と違う世界とのつながりの表現が本当に凄と思います。

  • モモちゃんとアカネちゃんの本4作目は、
    お姉ちゃんのモモちゃんと
    妹のアカネちゃんのお話が
    半々くらいになりました。

    タイトル「ちいさいアカネちゃん」の通り、
    1~2歳のくらいのアカネちゃんの
    おしゃべりや動きが、
    とってもかわいいです。

    その反面、
    純粋なアカネちゃんの素朴な疑問が
    とてもせつなくて、
    胸がギュッとしめつけられます。

    最初のお話「パパ ない ない」の
    冒頭1ページ目を読むだけで、
    すでに涙目です。

    いま、
    朝ドラの「スカーレット」を
    視聴していますが、
    ちょうど主人公の息子の心境と
    リンクするようなお話ばかりで、
    「スカーレット」というドラマの深みも
    増しました。

    ほかにも
    「赤いそり」「アカネちゃんのおてつだい」「野原で」「モモちゃんだいふんとう」
    などなど、名作童話ぞろい!

    子育て真っ最中の親御さん、
    子育てを終えて一息ついた方にも
    とてもオススメな1冊。

    モモちゃんとアカネちゃんの本1~3までを
    読んでいると、4作目はよりグッときます。

    小学校低学年からひとりで読めますが、
    「タッタちゃんとタアタちゃんのクリスマス」のラストには、
    サンタクロースは誰なのか、
    子どもが考えるためのヒントが載っているので、そこだけちょっぴり注意です。

  • アカネちゃんがメインの本。くつしたのタッタちゃんとタアタちゃんがいい存在。

  • 娘のために図書館で借りてきたもの。確か私も小学生時代に読んだはずだけど、大人になって再読してみて、こんなに深い話だったの?と驚くこと多々。小学生のモモちゃんとまだ赤ちゃんのアカネちゃんと暮らすママは「げんこうようしに字をいっぱい書くおしごと」をしているシングルマザーで、作者の松谷みよ子さんの分身ともいえる存在。子どもたちを取り巻く夢あるファンタジーのおはなしがあるかと思うと、ママが以前に「ごやっかいになった」という不吉な「死神さん」が出てきたり、別れたパパが狼に姿を変えて、子どもに会いにやってきて、さらにはそのパパが小鳥(パパを慕う女性たちのメタファーとおぼしき)を飲み込んでしまったり、という少し異質な物語も挿入されます。これはモモちゃんアカネちゃんシリーズの第4巻ですが、最後の第6巻にはそのパパの死まで描ききっているそう。全巻完成までに30年を要したという家族の大河物語。そのあたりのことは、松谷みよ子さん自身がのちに自伝風に語った「小説・捨てていく話」に詳しいそうなので、そちらを読んでみたくなり、早速注文した。

    女ひとり創作で生活を支えていく苦労と、待ったなしの子育てに挟まれた切なさとか、ふとした拍子に傷つけてしまう子どもの心へのすまなさとか、それでもたくましく情緒ゆたかに育つ子どもに助けられ救われるような思いとかが、行間からにじみ出る。これは大人のための癒しの童話でもあるのかもしれません。「おしごとママは、よわむしママで、くたびれママでした」という文中の言葉に、わが身につまされる思いをする女性は多いはず。

  • あかねちゃんのおみまいに、タッタちゃんとタアタちゃんがかえってきてよかったねとおもった。
    ※図書館で借りた本

  • いろいろなお話があってよかった。

  • シリーズ。アカネちゃんもすくすく大きくなっていく。タッタちゃんタアタちゃんとお別れ…。

  • 『モモちゃんとアカネちゃん』シリーズ第四巻。「タッタちゃんとタァタちゃんのおわかれ」がものすごく悲しかったな。。。作者は松谷みよ子さん。ずっとおもしろいままなのがすごい。

  • 小さかったモモちゃんもすっかりお姉さんに。私は妹だからアカネちゃんの気持ちの方が良くわかるなー。死神がまた登場したり不穏な雰囲気。最終話でタッタちゃんとタアタちゃんが不意にいなくなってしまい淋しい。アカネちゃんもタッタちゃんとタアタちゃんに頼らない大人にならないと駄目なのかなと思って。アカネちゃんの「パパあげちゃったの?」発言には胸が痛い。私がアカネちゃんのお母さんならいい答えができる自信がない。2012/370

  • タッタちゃんとタアタちゃんがぁあああ!!
    パパおおかみとか……またまた死神とか……

    アカネちゃんもモモちゃんに負けずおてんばさんだな~~

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著者プロフィール

1926年、東京生まれ。1944年頃より童話を書きはじめ、1956年、信州へ民話の探訪に入り、『龍の子太郎』(講談社)に結実、国際アンデルセン賞優良賞を受ける。以来、民話に魅せられ創作と共に生涯の仕事となる。日本民話の会の設立にかかわり、松谷みよ子民話研究室を主宰。著書に『女川・雄勝の民話』(国土社)『日本の昔話』『日本の伝説』『昔話一二ヶ月』『民話の世界』(共に講談社)『現代民俗考』8巻(立風書房)など。

「1993年 『狐をめぐる世間話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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