モモちゃんとアカネちゃんの本(5)アカネちゃんとお客さんのパパ (児童文学創作シリーズ モモちゃんとアカネちゃんの本 5)
- 講談社 (1983年7月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061192355
作品紹介・あらすじ
シリーズ第5作。赤ちゃんだったアカネちゃんは、もうすぐ3さい。モモちゃんも、すっかりおねえちゃんです。ねこのプーとジャムのあいだに、かわいい子ねこが生まれました。それから、いろいろ楽しい事件がおこります。
感想・レビュー・書評
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モモちゃんとアカネちゃんの本5冊目。
アカネちゃんは思います。お友達のパパはずっと家にいるのに、アカネのパパはふだんは違うところに住んでいて”お客さん”に来るだけです。本当はパパにもずっと家にいてほしいのに。
はなれていても パパはパパ
遠くへ行っても パパはパパ
パパは相変わらずオオカミの姿です。たまにオオカミの皮を脱いでパパになります。ママが忙しい時にはアカネちゃんをお祭りに連れて行ってくれました。
でもママは思うんです。ママは364日ずーっとママをしているのに、パパは1日お祭りに連れて行ったら「パパ大好き!」って言われるんですね。
出張に行ったママが家に電話したらモモちゃんが「アカネちゃんがお腹が痛いと言っている」といいます。慌てて帰るママはハンドバックを忘れてしまいました。そこでママのお仕事の人はハンドバックに「カラスになってママのところに飛んでいけ!」と飛ばせます。
モモちゃんはもうすっかりお姉さんです。アカネちゃんとはけんかもしますが仲良し姉妹です。モモちゃんにとって、ふだんは赤ちゃん扱いするアカネちゃんですが、やっぱりいると心強いです。ある日曜日にモモちゃんは誰もいない学校に行かなければいけなくなりました。一人じゃコワイのでアカネちゃんを連れていきます。そこで出会った不思議な人たち。そう、空襲された時に学校で亡くなった用務員さんと女の子に出会ったんです。忘れられたら寂しい。学校の怪談話としてでも忘れないでほしいって言われます。
アカネちゃんにはあたらいいお友達、カバのぬいぐるみのカバコフ=モシモーノができました。ママが作ってくれたんです!このカバコフのお腹にはコインが入っています。”もしものとき”がきたら、カバコフを連れて逃げればパパに電話がかけられます。パパはお客さんのパパだけど、もしものときはきっと来てくれます。パパが来られなかったら、ママとモモちゃんでアカネちゃんを守らなければいけません。
それからくろねこのプーと、およめさんのジャムとの間に子猫が三匹生まれたんです。
プーはジャムと離れて暮らしているけれど、ちゃんと声が聞こえました。
子猫はご近所さんに引き取られて立派な名前もつけてもらいました。プーは勇んでジャムのところに報告に行きます。そう、プーは愛に一直線です。だからママは考えます。ママはご飯が冷めるってことばかり考えていたなって。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
モモちゃんはすっかりお姉ちゃんになり、
アカネちゃんもおしゃべりが上手で、
猫のプー夫婦にもうれしい出来事があり…
1作目から読んできていると、1冊ごとに
確かに流れている時間のながれを感じます。
3作目4作目を読んだときほどの
衝撃のあるお話は減りましたが、
それでも死に神があらわれるお話が
ポンと出てくると、ドキッとします。
このシリーズでは
今ではあまり聞かれなくなった言葉も
出てきたりします。
よく出てきた「もうせん」という言葉は、
意味がわからなくて辞書をひきました。
5作目からは挿絵担当が伊勢英子さんに
変更されています。
白黒の挿絵は豊富なままですが、
カラー挿絵がぐっと減ってしまったのは
残念でした。
次の6作目は最終巻です。 -
プーにも家族が増えて。パパとの関係も相変わらずだし。戦争反対の話がこのように入ってくるとは。ママは意外とすごい人かしら。
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アカネちゃんはもう3歳になった。モモちゃんはたぶん9歳くらいかな。
パパのいない母子3人の生活に、たまに森のくまさんとかが登場する。
そういう平穏そうな生活に、たまに見え隠れする不安とか哀しさとか、それは作者の母としての大人目線。でも、子供の平和な世界と実に対照的だけに、現実味があって冷徹で、そしていて子供を思う母の情がひしひしと感じられる。いったい読者は母親なのか子供なのか、よくわからない本である。
お客さんのパパは、突然、おおかみパパとして登場する。ひとり遊びするアカネちゃんのところに、何気ない感じでやってきて、風船を飛ばして帰っていく。もともと一緒に暮らしてないのだから、懐かしくなることもないはずなのに、絶対に消せない父親の影。幸せなアカネちゃんとも、可哀想なアカネちゃんとも取れる、なんとも不思議な切ない話である。
大晦日に、カバの人形を作る話も、童話から急に大人の世界が始まるようで、なんとも残酷な、しかしこれも子供には必要なんだろうなと思わせる話だ。「もしママに何かあったら、モモちゃんがアカネちゃんを守らないといけない」なんて、なんという責任!300円じゃ何にもできないけど、モモちゃんに「がんばってね」と想いを託すママと、大きな責任に不安になりつつ答えようとする娘の絆が見えて、なんだか泣ける。
甘い甘いわたあめのような童話の世界から、一歩踏み出したのが松谷みよ子のすごいところだと思うのだが、その傾向は、モモちゃんシリーズがすすむにつれて強くなっていく。死ぬこと、生きることがくっきりと浮かび上がってくる。しかもメタファー的なのじゃなくて、モモちゃんが大きくなるにつれて、明らかに言語化されてきているような。
わたしは、進化する本モモちゃん、とよんでいる。 -
モモちゃんとアカネちゃんの本は、その話の背景にある家族の離別のストーリーを読み取る事ができると、とても切ない。小さい頃読んで、大学院生になった頃、もう一度買いなおした。
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子供の時から読んできた本。ゆったりとしていて甘くて切ない本。学校の話がものすごく怖かったことと、2人の子供がもらうおねまきやママが作ったカバのぬいぐるみがほんとに欲しかったを覚えている。作中に出てくる歌が印象に残る。
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モモちゃんとママの秘密
『パパ、もしものときにはきてくれる?』
さようならしても
パパはパパだよ
とおくへいっても
パパはパパ
* * * *
本当にそうか?と疑う。そうであったらいいな、と思う。
そんな話。
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このシリーズは案外ヘビーな展開を見せていくんですが、「お客さんの」パパ、というのが何よりもせつない。大人になって読んだから余計に。
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シリーズ5作目。読んでいないのか、子どものころまだ出ていなかったのか、まったく初めて読んだ。<br>
離婚したパパがおおかみとして登場する。また死神もやってくる。重いテーマをこんなふうに書けるとはさすがです。 -
大人になっていく切なさと人の力強さがいっぱいの本。