崖の館

  • 講談社 (1977年1月1日発売)
3.64
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感想 : 5
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  • 本 ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061304659

感想・レビュー・書評

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  • まず読んですぐに思ったことは、今まで読んだ佐々木丸美の作品の中で、ダントツに読みやすい!ということ。
    いつもどおり少女の一人称で、知識の偏りと精神年齢の幼さのアンバランスも健在。
    芸術と哲学と心理学には筆がとまらなくなるのかというくらい饒舌で、登場人物の外見や趣味や深層心理はさらっと流す程度。
    では、どこがいつもの佐々木丸美と違うのかというと、どろどろした情念が薄かったと思うんだ。
    最後まで読むと、やっぱりどろどろしているんだけど。

    そして、読み始めて割とすぐ、ひとりの人物がうさんくさく思えてきた。
    全員がウザったいキャラクターなんだけど、ひとりだけ、妙に自然にフェイドアウトしていくのが気になった。
    だから、その事件が起こった時、その人が犯人なんだろうとすぐにわかった。
    ついでに、絵が消えた謎もすぐにわかった。
    2つの手口を思いついて、どちらかなんだろうと思ったらどちらもだった。

    だから、私の興味はもっぱら動機に絞られたのだけど…。
    中学生みたいなこと言ってないで、外の世界に出て行けよ!と思った。

    佐々木丸美といえば、その衒学的な文章に拒否反応をおぼえる人も多いようだけど、わたしはどちらかというと知識をひけらかされるとうっとりする方だから、多分苦手の理由はそこじゃない。
    そろいもそろって登場人物たちは内省的で、排他的で、独善的。
    読んでいると、歓迎されていない家にお邪魔してしまったような居心地の悪さをおぼえてしまうのだ。

    でも、この本が書かれた当時、哲学や心理学、詩や絵画についてこのように暑苦しく語るのは、多分普通のことだったんじゃないかと推察する。
    学生たちは難しい本を読むのが当たり前の時代。
    だから当たり前に難しいテーマで普通に会話していたのかもしれない。
    そこまではいいんだけど、読者に心を開いてくれ、と思う。
    ほんと居心地の悪い読書なのよ。

  • 1985年
    8刷

  • 2007年4月8日読了。

  • 館シリーズ第一弾。血縁だからこその怨恨が怖い。ぞっとするまでの心理描写。表現はとても美しい言葉を使っているだけにとても哀しげな印象を与えているよね。本格ミステリとはこういう作品のこと!ミステリだけじゃない濃いストーリーは何回読んでも色あせない

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