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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784061308091
感想・レビュー・書評
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司馬遼太郎が描く、長宗我部盛親一代記。
この本は説教くさくなくてイイのですが、少々盛り上がりに欠けるところが難です。
長宗我部盛親という人は、戦国時代に生まれ、かつ土佐一国の大名でもあったのですが、40歳までほとんど活躍せずに過ごしてきた人。
単に無能というだけなら小説にはならないのですが、40を過ぎて初陣に近い形で参加した「大阪の陣」において古今無双の比類なき活躍をいたします。
世の中に自分の武勇を試したいと願いながらも、活躍の機会にめぐまれず、不本意ながら世の中を傍観するといった忍従の日々。
いわば7割がたが我慢の物語です。
司馬遼太郎の小説には珍しいユニークな主人公で、「世の中に己の力を問うてみたい」という気持ちと、政治や謀略にまみれた戦国の世を疎い「全てを捨てて気ままに生活したい」という気持ちに揺れ動いているという人物造形です。
この矛盾した内面が、奇異な行動を選ばせてしまい、周囲の人々に誤解され孤独を深めるというマイナスのループに陥ります。
コノ小説はいわゆる司馬調で語られるため、どなたにでも読みやすくなっているのですが、純文学又は徹底的に滑稽に描くなど、どちらかに振り切って描いた方が面白かったような気がします。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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