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- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061310148
感想・レビュー・書評
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幼年時代から中学までを描いた石川達三の私小説。捻りはないが、子だくさんで幼くして母を亡くし、時に他人の飯を食いながら貧困の中で成長した自身を振り返って分析的に描いている。この時代に家長の父を怠惰で無能呼ばわりして、社会的に認められていても家のことは何もせぬ男、と断じている石川達三は、現代的な感覚を持っていると思ったけれど、たしかに解説にあるように典型的なエディプスコンプレックスかもしれない。人間は誤解の中に生きて誤解の中で死ぬと考える、石川達三の作品をもっと読みたくなった。
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私小説。
黒溝台、広瀬中尉の話題や、大楠公、乃木大将の歌など、日露戦争の影響がつよくある時代での生活や思想が窺える。
……戦時中は「生きている兵隊」の作者として国賊視され、戦後になると、今度はアメリカ軍や左翼陣営から戦争協力者と疑われた。「人間の壁」を書くとアカ呼ばわりされて、右翼から暴力的に脅迫されたこともある。……
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