- 本 ・本 (724ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061310391
感想・レビュー・書評
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明治維新の激動期の「司法卿」として、日本の司法制度の整備に大きな功績を残しながら、征韓論争に破れた西郷隆盛らとともに下野、佐賀の乱の首謀者として非業の死を遂げた肥前佐賀藩・江藤新平(1834-1874)の壮絶な生涯を追った長編歴史小説。明治政府の初代「内務卿」として権力の集中を謀った大久保利通(1830-1878)は、盟友の西郷の一派から公的な目的のためにはどんな非情残酷なことでもできる人物<忍人(にんじん)>と言われる冷徹な政略家として、江藤らを即決裁判で処刑・晒し首という屈辱的な惨刑を見せしめにした。
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江藤新平伝。明治維新がほぼ終わった頃に世に出た天才と、それをはるかに上回った狡智さをもつ大久保との死闘。征韓論のくだりは政治サスペンスのよう。
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「胡蝶の夢」やメジャーどころでは「花神」など、司馬遼太郎にはいびつながらまっすぐな人格への愛情があるのだと私は思っているのだが、この作品も同様である。同情心は芽生えるが、歴史において敗者になることを知ってしまっている。そういう物語に付き合うという楽しみが、この書にはある
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多分初読(なはず)。やっぱり冗長ですな、このお方は。自説お披露目をきっちりやらんと気が済まんのでしょう。
ともかく江藤新平って教科書では不平分子みたく扱われていたような記憶があるし、何より晒し首写真の人という印象が強いんだけれども、ひとかどの人物だったんですなぁ。でも読み進めている内に、維新もしかりだが、この小説自体の主人公もはやはり大久保なり西郷なのかなと思った次第。
結局作家の説に誘導されてしまったかな? -
佐賀出身「江藤新平」をご存知か。現代につながる法制度の始めに、傑出した大人(たいじん)。民法、裁判、そして、法、さらに正義とは。改めて考えてみよう。佐木隆三「司法卿 江藤新平」もあわせ、当方、お勧めの逸品です。
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20年ぶりに再読
幕末維新の本は数多く読んできたので最初よりはよく理解できた。
司法卿江藤新平の正義感薩長閥への対抗意識より
大久保、岩倉のすごさの方が印象的。 -
明治維新後の新政府において、その卓越した能力によって司法の原型をつくった男、「江藤新平」。
その一生は、政府において参議まで上り詰めながらも、明治六年の征韓論政変で西郷・板垣と供に政界を去り、後に佐賀の乱の首謀者として処刑された。
この小説では、遅れてきた佐賀藩志士「江藤新平」の野望を中心に、明治初年における権力闘争を描く。
幕末、革命期の志士たちにおいて、革命後の理想化された世界があった。
そのため、ある者は犠牲になり、あるものは大義の名の下に他を駆逐するという時代的高揚感を共有した。
だが、明治政府が初期に直面した問題は、それぞれの志士たちの理想のギャップである。
朝廷・薩摩・長州・土佐・肥前という連合体政権が、それぞれの思惑によって政権を運営するという内部矛盾がそれである。
特に、江藤新平の出身である佐賀は、政権内部での人事権や発言権が脆弱であったため、江藤自身が政権闘争の核となって征韓論政変を引き起こすという形で物語られる。
革命後の後処理を、明治政府は士族の反乱という形で決着をつけるのであるが、その士族の反乱の前提条件として政権内部における権力闘争があったというのが物語の主旨といえる。
また、藩閥政治から立憲政治の移行期が描かれるため、政権内部における産みの苦しみといったものが描かれるのも興味深かった。
国際社会に飛躍しようとする日本が、武士型的な考えに支えられた「公と私」に対する考え方から、西洋列強を手本とした近代国家における「公と私」の対立というのがよくわかりました。
非常に地味な物語ではありますが、明治維新のその後について興味のある方にはオススメです。
著者プロフィール
司馬遼太郎の作品





