王城の護衛者 (講談社文庫 し 1-2)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061310483

感想・レビュー・書評

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  • 再読。幕末もの短編集。表題作は京都守護職・会津藩主の松平容保が主人公。新選組は別として、会津藩について司馬さんが書かれた貴重な1作。わりと淡々と客観的に描写されているので、こと会津藩のことになると思い入れ過剰で悲憤慷慨しがちな私にとっては、過剰に感情移入せずにすんで逆に良かった。

    「加茂の水」は、岩倉具視の片腕として幕末の一時期だけ影のシナリオライターだった玉松操が主人公。錦旗のデザインを考案したのもこの人。会津贔屓の私としては「よくも…!(切歯扼腕)」の気持ちだけれど、彼もまた時代の波の中に一時的に浮かび上がりまたすぐ消えてゆくひとつの飛沫にすぎないところが哀愁をさそう。

    「鬼謀の人」はのち長編『花神』で描かれる大村益次郎、「英雄児」もまたのちに長編『峠』で描かれる河井継之助、がそれぞれ主人公。『花神』の大村益次郎は、桂小五郎にだけは心を開く可愛げのある人物像になっていたが、こちらの短編ではもっと偏屈な印象。「英雄児」は、河合を知る無陰居士という人物の視点が入るのが新鮮。間違いなく幕末の英才でありながら、生まれた藩の立場によって、そのあり方も後世の評価も変わってくる皮肉。近いうちに『峠』を再読したいなあ。

    「人斬り以蔵」は、英雄ではないからこそ壮絶な男の生き様が強い印象を残す。武市との関係性、以蔵なりのプライドの所在など、人間の本質的な部分がえぐられていて、本当に名作だと思う。

    ※収録
    王城の護衛者/加茂の水/鬼謀の人/英雄児/人斬り以蔵

  • 会津の肩を持つわけではないですが、会津中将容保がたまらなく好きになりました。新選組を含めて、薩長土肥の標的となってしまったことは悲劇かと思いますが。

  • 大河ドラマに触発されて再読。
    表題作もそうだが、『人斬り以蔵』など司馬史観がいかに世に普及しているかを改めて感じる。
    当方、小説の基本としてストーリーを丁寧に描くことを一番気にしているため、決してストリーテラーではない司馬遼を「小説家」としてはあまり評価していないのだが、小編とか中編あたりまでであればなかなかいけると思っている。この作品集も蘊蓄で横に逸れていく猶予が無いという意味でもなかなかよろしいかと思う次第。

  • 「王城の護衛者」は会津の松平容保の物語。ちょうど「八重の桜」と重なりタイムリー。「英雄児」は河井継之助の短編。長編「峠」を読まなければ。「人斬り以蔵」は同タイトルの短編集で既読。

  • 再読。
    内容も題名も素晴らしい。
    会津藩主、松平容保が望まない役目を引き受け、逆賊となり、その余生までが書かれている。
    短編だが読みごたえがある。特に終盤、余生のところは涙なくしては読めない。

  • 松平容保
    京都守護職
    孝明帝から私信を受けながら
    明治からは逆賊とされた真っ直ぐな人間
    こういう視点もあるんやね。。
    主要な薩摩長州とは違う史観

  • 15年ぶりぐらいに再読.表題作「王城の護衛者」とは松平容保のこと.世間では新撰組を使って尊皇攘夷の志士たちを血祭りに上げたというイメージがあるのだが,天誅浪士が跋扈する幕末のすさんだ京都を取りしまる守護職に,悲壮な覚悟で就く「君臣,相擁し,声を放って哭けり」場面では,涙が溢れて困った(飛行機の隣の席のおじさんに見つからないように,そっと涙をぬぐった).
    最後の2ページでは再び涙する.この時代の混乱の原因は孝明天皇ではないのか,と最近思っていたが,しかし,天皇の意志は全く表に出せず,決定権が全くないシステムとは.
    それにしても薩摩と岩倉具視は本当に悪い奴だ.

  •  『世に棲む日日』で登場した大村益次郎、当時、村田蔵六と呼ばれている。村医者出身の彼が同郷(長州)の桂小五郎(木戸 孝允)に「竹島のことで、意見を申し上げたい」と誰の推薦状ももたずにやってきた。桂は「ことわるように」といって追いかえしてしまう。蔵六は「・・万国公法からみても、押さえるには早いほうがいい」と、言い残して去った。昨今、何かと話題になる竹島について記載があり注目に値する短編である。『鬼策の人』

  • 全て幕末の話をモチーフした短編集。
    激動の時代の生き方をそれぞれ描いている。

    最後人斬りイゾウが弁当で死ななかったあたりが
    犬とは違うんだというメッセージを飼い主に誇示したのだろうと
    思う。
    それで死んでたら、それはそれで綺麗な終り方かもしれないが。

  • 『王城の守護者』

    『加茂の水』

    『鬼謀の人』

    『英雄児』

    『人切り以蔵』

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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