わたしが棄てた女 (講談社文庫)

著者 : 遠藤周作

• 講談社 (1972年12月15日発売)

感想・レビュー・書評

[kappyさんの感想 · 2006年11月30日]

なんて痛い話なのだろう、と思った。
男の人目線で描かれたひとりの女性に対する独白のような本。
人間の弱くてずるい部分を見せ付けられて心がチクチクする。
何が幸せで何が不幸か・・・泣けます。

[あつこさんの感想 · 2006年11月23日]

『女』を一概に不幸だとも言い切れないと思うのです。
もしかしたら『私』の方が幸せの才能が劣っているのかもしれません。

[ﾌﾟｷﾌﾟｷさんの感想 · 2006年11月14日]

男の身勝手で利用されて捨てられた女の子。人の幸せって何だろう。私にはミツコは幸せだったとしか思えない。

[elefantaさんの感想 · 2006年10月13日]

泣けました。悲しかった。主人公の吉岡は自らの欲望処理のためにミツの身体を奪い、「棄てる」。田舎娘のミツはそれでも吉岡を思いつづける。しかし、吉岡は・・・。
ミツはなんでそうなの！？って思うぐらいお人よしというか、優しすぎる。吉岡はもうヒドイ！って最初思ったけど、でもだんだんそうでもないかも・・・。って思えてきてしまうかんじでした。人間らしいのよね、吉岡は。ひどいと思っても、心の中ではきっと誰しもが持っているのではないかというズルイ一面がよくでているだけで、きっと吉岡みたいな人はたくさんいる。題名だけだとなんだか調子乗ってる男の話かと思いきや、とってもいい本でした。

[Nさんの感想 · 2006年10月7日]

世の中は暴力とか理不尽とか　そんなものにうめつくされてるわけではない。

　信じられる糸も　ある。

[zoromikoさんの感想 · 2006年9月24日]

久しぶりに感動してしまった話。

[うきゃさんの感想 · 2006年8月30日]

高校の授業で扱った本。そのときの授業は大嫌いだったが、この本は別。なんか切なくなる。純粋っていいことなのか。

[sumitakastoneさんの感想 · 2006年8月30日]

僕らの人生をたった一度でも横切るものは、その人の心に「痕跡」を残す。
この作品の森田ミツもまた、「痕跡」を残していった。
多くの登場人物たちの心に、そして僕ら読者の心にも。

[あいちんさんの感想 · 2006年8月29日]

暗い話。結局、『わたしに棄てられた女』は救われなかった。

[Morrisさんの感想 · 2006年6月25日]

わたしが棄てた女ではない、
ワタシが「・」棄てた「・」女
ヒトとの出会いを一期一会と思うのはこの作品が何らかの傷跡を残すから。
善良で無垢な魂が他の何事かに抑圧されて、表に現さないとしても
それを見出して救い出す存在はヒト。
目を背けるのもやはりヒト。

[茶兎茂さんの感想 · 2006年6月7日]

遠藤周作の本の中では軽小説に分類されてしまうのだけれど、書いてあることは、他の小説と同様本当の愛情とは何なのか、この一点に尽きると思います。
「沈黙」では、「棄教する事すら許す、自らを裏切る事すら許す」という作者自身が考えるキリストの深い慈愛について書いているけれど、この本の中のヒロイン・ミツがキリストの代わりに慈悲深さというものを訴えている。
キリスト教に無縁な私にとっても読みやすく、わかりやすい作品だった。

[miaさんの感想 · 2006年5月9日]

音楽座の「泣かないで」の原作と知って読みました。ミツみたいな人間には私はなれない...。

[courbetさんの感想 · 2006年4月13日]

恥ずかしながらこの年で初の遠藤作品。「聖女」で「理想の人」であったミツですが、彼女自身は幸せだったのか、と考えてしまいます。もちろん自分で選んだ道だから後悔はないでしょうが、でも一人の女性としての幸せも、できることなら手に入れたかったんじゃないかと思います。たった数回しか会っていない吉岡を愛し続けたのに報われることも無く･･･。そう思ってしまうのは「エゴイズムのない愛情」を理解できていないからでしょうか。立派な人と言われなくてもいいから、ただ一人に選ばれたいと願ってしまうのは弱さなんですかね。

[あおいさんの感想 · 2006年3月1日]

ごく普通に生きる吉岡の心にミツがわずかに残した確かな記憶の物語。
久しぶりに小説を読んで泣きました。
幸せとは、優しさとは何かを考えさせられます。

[おぐさんの感想 · 2006年2月25日]

なぜか中学生で読書感想文に書こうとしていました。

[egakosakさんの感想 · 2006年2月18日]

浪人時代友人に勧められ古本屋で買った。これで遠藤周作にハマりました。遠藤周作ってマゾだと思う。

[サッチーさんの感想 · 2006年2月11日]

善ってなんなのか。自分はミツのようになりたいのか。すごく人間の善について考えさせられた。自分はミツの部分も高岡の部分も両方持っていると思うので。これから就職して高岡の部分が増えていくのかな。少なくとも人の悲しみに敏感な人間でいたいものだ。

[rumpさんの感想 · 2006年1月31日]

「それなのにこの寂しさはなんだろう」

[あっこさんの感想 · 2006年1月19日]

時代を感じます。昔の学生ってこうかなって。今も本質的には変わらないんだろうけど、変わるかなと思うのは女性の男性に対して一筋な気持ちかな。

[namikoさんの感想 · 2006年1月15日]

純粋な人間こそ、大きな悲しみを背負う運命になるのか…。世の中の不条理さを感じました。

著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50～53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」