わたしが棄てた女 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1680
感想 : 234
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061311411

感想・レビュー・書評

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  • 気管に泥がこびりついてるような不快さが、読んでいて絶えなかった。

    主人公の森田ミツという女。
    一途で博愛のように、最終的には聖女と書かれているが、わたしは無知すぎることへの嫌悪感を抱いた。

    遠藤周作の作品を読むのはこれが初めてなので、純文学だとか大衆文芸だとかそういうことは分からないけれど、これは恋愛小説だとは思わなかった。

    登場人物に対して否定的な印象を持っただけで、作品としては良いと思う。

    音楽座で『泣かないで』というミュージカル化されているらしいので、それは見てみたいと思った。
    wikiによると遠藤周作が自分の作品で泣いたのはこれが初めてだと言ったらしい。

    わたし的BGM『霧と話した』(日本歌曲)

  • ミツの孤独は悲しかったけれど、不幸とは違った。吉岡の方が不幸だと思った。

  • 遠藤周作作品の中で好きな作品のひとつ
    女性側からは残酷な内容ですが
    なぜか面白かった

  • ■わたしが・棄てた・女 遠藤周作

    通勤中に読んでみました。眠気のせいで読み終わるまでに20回は、本を落としたと思う。だから内容については深く読みこめてないわけだけど、それでも最後まで読めたのは、遠藤周作の小説のなかで、この作品が「純文学」ではなく、「通俗小説」の部類に属するからだと思う。そのことは「解説」にも触れられていたし、気負わずに読めるくだけた感触に、やや葛藤すらしたw。でも一貫したテーマが、この作品にしっかり流れてるんだなと感じられて、安心した。歩み寄ってもらってる気すらした。そして、読みながら、それなりに心が動かされてるのは分かったが、読書後、本を手放すと、ずいぶんまわりの風景が違ってるな、と感じるくらい、けっこう動かされていた。自分にとっては、そんな作品。

    04 けいじ

  • 自分の関わった人間のすべてに心を砕く事などない。幾ら身があってもやってられない。ミツは悲しい人であって、聖女ではないしそれを死によって
    美化していいのか。泣けたけど修道女の手紙がすべてを表しているように思う。愛とは自分を徹底的に可愛がることである。鶏頭となるも、牛後となるなかれの吉岡さん、お幸せに。最後に解説者の愛を語る部分はハナモチならない。偽善者の臭いがプンプン
    「あれも愛、これも愛・・・」という流行歌もあるぞ。一度っきりの大野のゆすりも愛。

  • 長崎外海の遠藤周作文学館にて購入。「悪とは無垢を汚す事」と遠藤は語っているように、無垢の象徴である森田ミツが吉岡初め様々な人と世によりけがされていく。世の中の法で裁く悪ではない、人間の関係から描き出される本性の感じる悪を訴えている。純粋無垢の象徴であるイエスと重ねているのも伝わる。

    12/4/3

  • ネタバレ

    ミツが病院に残ると決めたとき、なぜだか彼女の未来がキラキラしたものになると感じて、あぁよかったと思った。
    なのに、どうしてあんなに早く死ぬことに…
    悲しい。けれど神様はミツを愛してるでしょう。。。

  • ミツは行き場が無いだけで、そこには確かに憐憫や同情は無いのかもしれない。それでもエゴイズムを捨て切れてはいないんじゃないだろうか。

  • みんなすこしずつ不幸だな。どうしようもないな。

    たしかに、すてられたのは女で、すてたのは男なんだけど、
    そのすてた、すてられた、ということを昇華できたのが女で、できずに抱え込んだのが男…?すてられたのは一見すると不幸なんだけど、本当に不幸なのは男なのかな…?

  • 正しくは「わたしが・捨てた・女」です。
    このニュアンスが大事です。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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