青い小さな葡萄 (講談社文庫 え 1-6)

  • 講談社 (1973年8月1日発売)
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  • 本 ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061311879

感想・レビュー・書評

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  • 君、俺は、青い葡萄を地上に求めすぎるんじゃ、ないだろうか―。

    この話の登場人物の一人、ハンツの台詞です。

    フランスで働く青年伊原と、片腕を失ったドイツ人基督教信者ハンツが出会う。
    互いに戦争による後遺症ともいえる異国での人種差別を経験している二人が、ある女性を探し求めるというストーリー。
    ドイツ人・日本人・ポーランド人それぞれの視点から描かれる悲しみと葛藤。
    テーマは悪の普遍性と、神の沈黙だと思います

    自らの帰属するものは何なのか?
    神を信じないならば創るしかないのか?
    国家や人種から人は逃げられないのか?

    短い話なのに非常に多くの問いがあるように感じて、ドキドキしながら読みました。

    それと目に付いたのは、日本語の文章のうつくしさ。
    風景描写がきわだって美しく、さらに、えらびぬかれた漢字と日本語のバランスがとても好みでした。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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