虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ (講談社文庫)

  • 講談社 (1973年9月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784061311930

感想・レビュー・書評

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  • 三部作と短編一作からなる一冊で、どの作品も最後のページで心を鷲掴みにされてしまった。‬
    ‪人の心の複雑さや、描かれている揺らぎが魅力的。死と隣り合わせに生きているということを思い出す。‬
    ‪本人も小説内に登場し、私小説のようで身近に感じられた。‬

  • 太宰の「ダス・ゲマイネ」を読むと、カフカの「判決」を思い出す。友人、女、死に向かう疾走。カフカの生い立ちからもわかるように「判決」の重要な要素は「父」でありその要素は「ダス・ゲマイネ」には無いが、どちらも友人に象徴される日常が空虚であったことの認識、それによる精神混乱と崩壊。そうして疾走し死に至る。女に象徴される希望よりも、虚の認識は強烈なのだろう。認識しても死にきれない私はこうして本を読むことにより、死へ仮想疾走し日常に戻るのだから、著者の太宰やカフカはたいした作家である。ストーリーとしてはつまんないけどね、ダス・ゲマイネ。

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著者プロフィール

太宰 治(だざい・おさむ):1909-1948。青森県北津軽郡の生まれ。本名津島修治。中学の頃より同人誌に習作を発表。旧制弘前高校から東大仏文科に進む。この間、左翼思想に傾倒。「魚服記」「思い出」でデビュー。戦中から戦後にかけて「ロマネスク」「富嶽百景」「お伽草子」「ヴィヨンの妻」など、次々と秀作を発表。流行作家としての栄光のさなかに自殺。

「2025年 『人間失格』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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