尻啖え孫市 (講談社文庫 し 1-6)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (671ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061312425

感想・レビュー・書評

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  • いやいや痛快! 紀州雑賀七万石の地侍 雑賀孫一が信長の大軍を何度も蹴散らし独立を保っている。家臣も領民もほとんど本願寺門徒で、孫一は無神論者にも関わらず、本願寺が信長と対立したため本願寺側の大将にされてしまった。そのお陰で田舎侍が信長の敵大将となり、しかも連戦連勝で知名度は全国区に轟く。でも天下への野心はなくただの戦上手で生涯を閉じる。それもまた痛快。

  • 雑賀孫一のことが、活き活きと描かれています!

  • 雑賀の孫市を描いたもの。好色で義理人情豊かな、それでいて爽やかな男として登場している。
    この小説をもって、今日の雑賀の孫市というイメージが作られたことは有名な話である。
    ずっと昔、NHKの大河ドラマで(おんな太閤記?だったかな)俳優の林隆三がこの孫市を演じていて、びっこの足で孫市踊りを扇子を持ちながら踊っている映像が今でも印象に残っている。
    671頁の長編だが長さを感じずに読めるのがまたいい。

  • 2019.9.2(月)¥200(-20%)+税。
    2019.9.4(水)。

  • 雑賀孫市については、戦国無双に出てくる秀吉と仲良しの鉄砲使いの男という印象しかなかった。しかし読んでみると、とにかくかっこいい男、いい男であった。
    陣羽織の背中には「日本一雑賀孫市」の文字。はじめはなんてすごい自信なんだろうと思ったが、その通りの男かもしれなかった。
    なんといっても、あの織田信長に戦で負けないのだ。それだけでその文字の意味が分かるだろう。

    雑賀孫市、雑賀衆、鉄砲。泥にまみれて重い戦国時代というイメージに、からっとした風を吹かせてくれた。
    それぞれがとにかく軽い。雑賀衆はフットワークが軽い。自らの兵力を売り、雇われれば戦に赴く。その戦いぶりは鮮やかで、現代のように高性能で軽い鉄砲を使っているのではと想像してしまう。
    その雑賀衆を率いる孫市もまた軽い。組織やしきたりに縛られず、自由を愛する存在であった。
    恋愛についても随分と開放的で、孫市の行動理由には、常に女がつきまとう。最終的には誰と結婚するのか、wikipediaでネタバレを調べたくて仕方がなかった。でも、いざ人のものになりそうになると、相手の女の子を妬んだ。そのくらいかっこいい、魅力的な男だった。

    しかし、物語が終わり解説を読むと、孫市についての文献は少なく、どんな人物だったのかはほぼ分かっていないというではないか!私が夢中になった孫市は幻だったのである!
    歴史小説とはそういうものであると知りながらも、司馬遼太郎のキャラメイク力にただただ驚いた。
    今後、戦国無双をするときには、雑賀孫市で鉄砲をぶっ放してみようと思う。おそらく、この作品の影響は大きいはずだ。

  • 紀伊の雑賀庄にある鉄砲集団の頭領である雑賀孫市について書いた本です。

    雑賀孫市は代々受け継がれた名前なのか、謎な部分がかなりあり、この本ではその部分を宗教嫌いで、誰からも支配されたくなく、かと言って、雑賀庄の領民のことを大事にする武将としてえがかれています。

    相変わらず、この人の本は余談が多くて読みづらいですね。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-2201.html

  • 面白かったー、終盤まで盛り上がっておいて、終わり方は唐突、突然で、煙にまかれたような感じ。でも、それがこの物語の主人公にあっている。

  • 藤吉郎や「ぽるとがる様」との遣り取りは好き。扱い方が難しいらしいけど、自分は遠距離攻撃の鉄砲に魅力を感じない。せやから、前田利家と槍で一騎打ちした時は気持ち良かった。余談で「出雲のお国」を説明する時に「京マチ子、岡田茉莉子」を例に挙げてた。古過ぎて顔が思い浮かばんわ!時事ネタ流行ネタの欠点やね。

  • 傭兵集団雑賀衆の頭領、雑賀孫市を描く伝奇時代小説。

    孫市自体が伝説的人物なので、内容はほぼ司馬氏の独創ですが、おもしろい。
    女絡みで騙されたことで信長を憎み、ついには「尻啖わせる」孫市。
    それがいかにも孫市らしく思えるのは、司馬氏の筆致のなせる業でしょう。

    クライマックスは信長の紀州征伐軍を雑賀川で迎え撃つ場面。
    味方の敗北を怖れる孫市が「南無阿弥陀仏」の称名によって恐怖を忘れるシーンがすごい。

    本願寺に協力して信長と戦うだけあって、浄土真宗についての記述も豊富。
    日本の民衆が初めて世界観を持つに至った宗教であると初めて知りました。
    浄土真宗があれだけの勢いを得たことに納得。

  • 地元の人の話だから、位置関係など他の小説以上にありありと想像が出来て面白かった!
    紀州にこんなカッコいい人が居たなんて!目からウロコです(*´∀`*)
    どこまでも自由に、強く生きられたら素敵やなぁ。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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