モッキンポット師の後始末 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061312586

作品紹介・あらすじ

食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の“不良”学生3人組。いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。

感想・レビュー・書評

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  • ▼中高生の頃、というと1980年代だったんですが。携帯以前、そして書籍界的には「BOOKOFF以前」だったあの頃、首都圏郊外の小さな「駅前本屋さん」の文庫本コーナーに文字通り日参していました。毎日買うわけではなく、毎日のように文庫本コーナーで、文庫本の「背表紙の紹介文」をとっかえひっかえ読む。割と毎日のように読む。当然ながら同じものを何度も読む。そうやって気になったものをやがて買う。同じような思い出がある人は、この世代には多いはず。

    ▼そんな時期によく井上ひさしさんを読んでいました。そして、この本はその頃からのお付き合いで、なんだけどなんとなくご縁がなく未読だったグループの一員。幾星霜を経て特段深い意味は無く読んでみました(近所のBOOKOFFで安く売っていたから)。

    ▼終戦後数年の東京、東北から来た大学生、半自伝的。貧乏暮らし、毎日空腹。食べるがために、悪友たちと、あの手この手の悪だくみ。毎回失敗、抱腹絶倒、今日も夕日が目に染みる…。という青春爆笑小説です。実に井上ひさしさんの得意なゾーン。

    ▼何より素敵なのが、タイトルになっている「モッキンポット師」。この人は主人公じゃありません。主人公は一人称の大学生含めた三人組。この三人は(井上ひさしさんと同じく)カトリック信者なんです。とはいっても敬虔な信者であるというよりは、恐らく全員が「親とか、そういう理由でなんとなくカトリック」なだけ。そしてモッキンポット師はこの三人が身を寄せるカトリック団体の学生寮の寮長さんである神父さん(イタリア人)。来日歴が長いので、日本語がペラペラなんだけど、それが関西弁である。そしてモッキンポット師は毎回毎回、この三人組の尻ぬぐいに東奔西走させられます(この小説は連作短編です。恐らく月刊誌掲載だったのでは)。

    ▼このモッキンポット師と、悪だくみ三人組とのやりとりが面白い。「全く神も仏も無いですよ」「仏さんは知らへんけどな、神様はおんなはんで」みたいな。連作短編のはじめ2~3編は、瞠目するオモシロサ。本当に爆笑もので、「これは井上ひさしさんの最高傑作…少なくともAAA級の作品グループに入る」と思いました。「本当に笑える日本のユーモア小説ベストテン」があったら個人的にはランクイン。浅草フランス座事件、などはほんとに息が苦しくなるくらい笑いました。

    ▼後半はちょっとパワーダウンかな、と。何しろこれだけ爆笑できるオモシロサ、というのは、縦軸のドラマ性とかっていう野暮なものが無いから面白いのであって、「爆笑できる」ということと、「後半終盤まで見事な感動と展開に満ちている」、ということは基本的に矛盾しますからね。

  • 最近はどの書店でも何作品かは目立つ陳列、もしくは帯巻きされている感のある井上ひさし氏の作品群。

    この『モッキンポット師』は井上ひさし氏が考える「ドジ、イモ、サバ、三流、間抜け、莫迦もの」(ひどい言われよう)なヒーローであり、少年〜青年時代に戦後混乱期を経験した氏は「人間がすべてに疲労し尽くしたときにヒーローがあらわれる」と述べている。
    氏の主張で特徴的なのは、ほんとうのヒーローは今を生きている我々一人ひとりであって、日々でヘトヘトなのだからせめて物語ではクスッと笑えるようなキャラを、という事で誕生したのが本作・モッキンポット師との事。

    コロナ真っ最中の今にも‘ヒーロー’は現れるのだろうか。



    60刷
    2021.1.2

  • 俺に読書の面白さを教えてくれた一冊です。

    井上ひさしが、大学時代のエピソードを元に
    作られた作品らしいが、本当に面白くて、
    一気に読める(笑)

    三人の貧乏学生が、色々やらかして、
    モッキンポット師を怒らせたりするんだけど、
    そのやり取りがすっごく面白くてね(笑)

    今から30年前に、当時読書なんか一切しない
    高校生だった俺に、本の面白さを教えてくれた、
    思い出の一冊です。

  • 生きる為と言いつつ珍妙なアイデアをだしては、しくじってばかりの3人組と、苦り切りながらも突き放せず後始末に走り回る神父さん。
    そこでどうしてそうする!ってツッコミどころ満載の3人組も面白いけど、神父さんも3人組に困惑しつつも突き放せず、強く叱責もできず、大らかというかゆるいというか優しいというか。なかなか面白い人物。

    とても面白く読んだ。こんな時代もあったんだなって。モッキンポット師が実在したとは思わないけど(笑)

    • まろんさん
      「後始末」って言葉を選ぶところがいいですね~!おもしろそう♪
      井上ひさしさんって、タイトルのつけ方が天才的だと思います。

      小説では『ドン松...
      「後始末」って言葉を選ぶところがいいですね~!おもしろそう♪
      井上ひさしさんって、タイトルのつけ方が天才的だと思います。

      小説では『ドン松五郎の生活』くらいしか読んでないので
      図書館で探してみます!
      2012/05/28
    • 雀宮さん
      まろんさん、コメントありがとう(^^)
      頂いたコメに返信する方法がやっとわかりました。普通に自分でコメ書くだけでよかったのね(笑)
      今年...
      まろんさん、コメントありがとう(^^)
      頂いたコメに返信する方法がやっとわかりました。普通に自分でコメ書くだけでよかったのね(笑)
      今年は井上ひさし生誕77フェスティバル2012と言うのをこまつ座が開催していて、何本かお芝居を見て、井上さんの本を読み返しています。
      モッキンポット師は続編もあるので、図書館で借りようと思ってます(笑)
      2012/05/29
    • まろんさん
      私も3月にブクログ始めた時には、
      コメント書くのも返信するのもよくわからなくて
      ドキドキでした!

      井上ひさしさん、もしご存命なら77歳だっ...
      私も3月にブクログ始めた時には、
      コメント書くのも返信するのもよくわからなくて
      ドキドキでした!

      井上ひさしさん、もしご存命なら77歳だったんですね~。
      お芝居を見て、本を読み返して、って素敵だなぁ♪
      うちはイナカなので、なかなかお芝居を見に行けなくて。。。

      続編もあるとのこと、両方図書館できょろきょろ探してみますね♪
      2012/05/29
  • 新聞の書評欄から興味を持って。古き良き(?)昭和の香りむんむん。貧しさって、ある意味創造力の源なんだね…。

  • 聖パウロ学生寮で生活をすることになった小松という青年が、悪友の土田、日野とともにさまざまなアルバイトに手を出しては失敗し、その尻ぬぐいに寮長であるモッキンポット神父が奔走するユーモア小説です。

    三人の学生たちに振りまわされるモッキンポット師は、コテコテの関西弁をしゃべるアクの強いキャラクターですが、彼のひろく深い慈愛のまなざしのもとで、三人の学生の自由気ままな振る舞いが成り立っており、そんな彼にキリスト教の信仰に裏打ちされた強さをかいま見るようにも感じました。

    ただ古い作品だけに、ユーモア・センスが現代の読者の感覚からズレてしまっているように感じられたのもたしかです。エンターテインメント性の強い作品は、やはり賞味期限が短いところが弱点なのかもしれません。

  • 井上ひさしの連作小説『モッキンポット師の後始末』を読みました。
    『東慶寺花だより』に続き、井上ひさしの作品です。

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    食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の“不良”学生3人組。
    いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。
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    1971年(昭和46年)から1972年(昭和47年)に、講談社発行の月刊小説誌『小説現代』に発表されたモッキンポット師シリーズの5篇を収録した作品です。

     ■一 モッキンポット師の後始末
     ■二 聖パウロ学生寮の没落
     ■三 聖ピーター銀行の破産
     ■四 逢初一号館の奇蹟
     ■五 モッキンポット師の三度笠
     ■あとがきにかえて──
     ■解説 松田修
     ■年譜

    昭和30年頃の東京を舞台に貧乏学生の主人公・小松と寮友・土田、日野の不良学生3人組が巻き起こす騒動… 草野球向けの野球臨時要員派遣業を結成したり、アメリカからの救済衣料を着服したり、捨てられてるパンの耳からパン粉製造販売したり、犬の訓練業に手を出したり、大衆演劇の舞台に立ったり、、、

    発想豊かなで犯罪まがいの珍バイトを次々と考え出し、それぞれ最初は成功するものの、慢心等から失敗することの繰り返し、それを関西弁を喋るモッキンポット神父が後始末するという展開… しかし、モッキンポット師の善意は空回りし、何度も裏切られ、最後は旅回り一座の舞台に立った事を咎められ本国送還されてしまいます。

    井上ひさしの半生がベースの半自伝的ユーモア小説でしたね… 登場人物が生き生きと描かれているところが印象的でした、、、

    読みやすく軽快な文章でしたが、流石に時代が違い過ぎるせいか、物語に入り込めませんでしたねー ちょっと物足りなさを感じました。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18355

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN09392528

  • とりとめのないストーリーだが面白かった

  • 大学生3人組の引き起こす騒動と、後始末に奔走しながらも3人を温かく支える、関西弁のモッキンポット神父のお話です。コミカルなだけではなく、終戦間もないころの雰囲気が伝わってきます。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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