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本 ・本 (346ページ) / ISBN・EAN: 9784061313323
作品紹介・あらすじ
ぐうたら人生の味を開陳する狐狸庵山人の珍妙なる人間学。秀吉の夫婦喧嘩を仲裁する信長に英雄偉人の尻尾を覗き、酒癖のあれこれに人情風俗の妙を知る。権威や独善には背を向け、劣等生的人間に豊かさを見、親愛感を覚える。愛すべきはマヌケ人間、語るべきは気弱人間。人生の味をいかんなく示すエッセイ。
感想・レビュー・書評
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1983年、高校1年の秋、近所の800メートルほどの商店街には、まだ2軒の本屋があって、
僕はそのうちの1軒で、
”夏目漱石や森鴎外を買っても、自宅に置いておくだけで賢くなった気になるだけだし、SFばっかりというのもなぁ”
と思案しているうち、
『ぐうたら人間学』
という文庫本の背表紙を見つけた。
なんだこの「ぐうたら」という間の抜けた題名は。ハズレ感、丸出しやんか。
何回か本屋を出ようとして、でも、なぜか気になる。
「ええい、ままよ!」
気づくと、なけなしの小遣いで、この本を手にしていた。
40年近く前の、本屋での約1時間の迷い。
高校・大学とこの本を読み返すたび、
「買っておいてよかった」
あのときの本屋の光景がよみがえる。
ほとんど、くだらない話ばっかり。
ブクログのレビューも、「同じ話が出てくる」と辛口の感想があったりする。
それでもいいじゃないか。
インターネットや携帯電話が普及する前の「昭和」の時代は、今のように研ぎ澄まされてはいず、大らかだったのだから。
この本に出てくる遠藤さんの逸話と、僕の体験で唯一共通するもの、それは、
「雨降りに傘を差し、ジョウロで花に水をやっていた」
というエピソード。
「あんた、アホちゃうか」母親が言った。
花に水をやってなぜほめてくれないのか。
「雨」と「水」が頭の中でつながらず、半年後にも、
「アホかいな」
また、言われてしまった。
「鼻毛抜きつつ・・・」
『沈黙』の作者とは思えない、このフレーズ。
僕にエッセイの楽しさを教えてくれた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
遠藤周作の随筆。執筆当時の価値観が反映されていて、今だと首を傾げるところもあるが、総じて面白く読めた。
特に同時代の作家についてのエピソードは興味深い。また、他人にする様々な悪戯は著者のイメージから合わないものだったので驚いた。 -
あからさまで、飾らない、昔の匂いのするぐうたら。
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面白いけど昔の爺さん特有の一部の人間への偏見が満ちてる。
あと所々話盛ってるだろってのもチラホラ。
フィクションとしては楽しい。 -
説教臭くなく、媚びへつらうこともなく、多くの弱気な小心者たちと肩を組むようにして、親しげに語りかけてくれる
ただ、解説で江國滋さんが言うように、遠藤文学あってこそ、狐狸庵先生の偉大さが大きく感じられるんだろうな -
面白かったです
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小学生が喜びそうな下の話満載で声を出して笑ってしまうところが何箇所もあったが、ユーモラスな厚化粧が濃いほど遠藤周作のシャイで生真面目な素顔が際立ってくるように感じた。
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遠藤周作氏の本はいつも深く考えさせられる。
キリスト教信者で小難しい本を書く。そんなイメージを持っている人も多いと思う。
が、しかし。狐狸庵先生は違う。
下ネタ好きで嘘つきなただのオジさんである。
ただの嘘ではない。センスがいい。
遠藤周作氏の偉大さは狐狸庵先生を読んでしても変わらない。 -
面白くて、クスクス笑ってしまう本。旅行のお供みたいな軽い読み物が欲しい時に最適かと。
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くだらないシモの話が楽しい。エピソードが程よく短くてサクサク読める。終盤になると自称が「わし」になって偏屈親父っぽいキャラクターになっちゃうの。可笑しい!
著者プロフィール
遠藤周作の作品





