井上ひさし笑劇全集 (下) (講談社文庫)

  • 講談社 (1983年12月1日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784061313354

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  • 笑劇の基本的なパターンは、「騙す者」vs「騙される者」の対立

    コミュニケーション手段であるはずの言葉が、逆に、ディスコミュニケーション、あるいは「対立」のための手段に、さらには、人をペテンにかけるための方策になり変わっていく

    言葉は、日常生活の中で何の疑問もなく使用する場合には、いわゆる極り文句として、表面的な意志の疎通手段として便利なメディアである。しかし、それは絶えず、陳腐で弾力性のない表現手段に転化する危険性を帯びている。そうした陳腐な媒体に成り下がることから言葉を救うのが、狂言を始めとして井上作品に至るまでの笑劇の伝統に連綿として伝えられた使命

    同音異義、つまりダジャレは、言葉及びそれをとりまくディスクール(表現のパターン)を浮遊状態に移行させるという役割を担っている

    井上コントの8割は、この同音異義による言葉のトリックに頼っている

    言葉と言葉のダジャレを介した出会いによって、それぞれの言葉は、それらが本来属していた文脈から切り離されて、新しい文脈を作る。この文脈の中で、言葉はより大きな広がりの中に意味の宇宙を解き放つ

  • 初版

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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