京まんだら 下 (講談社文庫 せ 1-7)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061313507

作品紹介・あらすじ

できれば僧衣をまとい、頭をすがすがしくした自分の、ちんまりした晩年の姿をそこに思い描いてみたりもする……。女は北嵯峨に住みつこうとしている。“「京まんだら」が瀬戸内さんの「源氏」だといっても誤りではなく、そして、これもまた男には書けない小説”(戸板康二氏)といわれる本篇は、祇園「竹乃家」30周年の秋に華麗に幕が下ろされる。

感想・レビュー・書評

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  • この小説は寂聴先輩が、
    身銭を切って京都の祇園に通って聞いた話をもとに
    作られたもの。
    祇園と言う世界の、
    舞妓さんや芸妓さんの日常、
    女将の、仲居の仕事、
    お客さんの話…

    ちょっとした取材では絶対にわからないであろう
    あれこれがみっしりと描かれている。

    また、祇園で生きる女性たちの
    しぐさ、表情、着物の柄に至るまで
    目に浮かぶほど細かく描写されている。

    でも、作品の世界にのめり込む、と言う感じではなく、
    祇園に詳しい人の話をへ~と聞かせてもらっている、
    と言う感じなのはなぜかしらん?

    私は花柳界を舞台にした小説って好きなので
    有吉佐和子さんとか、宮尾登美子さんの作品も熱心に読んできた。

    さて、有吉作品、宮尾作品で、この世界は恐ろしい世界…と
    覚悟を決め、腹をくくった私、
    ところがこの「京まんだら」では所謂「女同士の争い」と言うのが皆無で、
    ひょいっと肩透かし状態。

    有吉作品、宮尾作品はその中の世界に入っていけるのに、
    「京まんだら」はそれが無かったと言うのはその部分が大きいかな。

    女だらけで、良い旦那がつくことがその世界での幸せにある程度直結している、となると、みんなでひたすら和気藹々と言うのは考えにくい。

    寂聴先輩は祇園に通い詰めて連載時は舞妓さん、芸妓さんそれぞれ
    自分たち小説の中の役名で呼び合って遊んでいた、と言うから
    誰と誰が仲悪いだの、意地悪だの、怖い世界だのは書きにくくなってしまったのかな?

    あと連載されていたのが「日経新聞」だったらしいから、
    朝から殿方をおびえさせることもない、と控えたのかな?
    (だって「桐島…」の映画であの女子高生たちの世界を見て
    怖がっている男の人たちがたくさんいると聞いた。
    女性にとってあんなのは何も怖くないと言うか
    そういわれて驚くくらい「日常」なんだけどな)

    それか、この時点ですでに寂聴先輩はそう言う「女同士のつまらぬイザコザ」などは目に入らないほど、魂が超越してしまっていたのかな?

    ふ~ん、へえ~、そうなんだ…ばっかりだけど、
    やっぱり花柳界ものは、面白い。

  • 2012.4.21読了。

    女ってやっぱりいい、女の楽しみをもっと満喫しようと思える小説。

  • 解説は戸板康二氏です。祇園を書いた本を最近読みたくなって探していたけど、やっと見つけた感じがします。お茶屋さんに伺っても本のようにはならないけど(笑)、この本は学ぶべきことが多そうです。

  • 駅のポスターの舞妓さんみて、京都へ行こうと決めた17歳の頃が懐かしい。

    四季の流れの美しさと花街の人間模様が楽しみながら色々な人生が楽しめる小説でした。

    もっかい京都すみたいなあ。お茶屋さんも一度いってみたい!

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