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本 ・本 (225ページ) / ISBN・EAN: 9784061313880
感想・レビュー・書評
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沖縄慰霊の日が近づいてきたので、沖縄関連の本を読む第一弾。
太平洋戦争末期の沖縄。女学生で結成されたひめゆり部隊は、負傷者を解放しながら米軍の攻撃を避け、洞窟から洞窟へと避難する。
ひめゆり部隊の仲間が次々と戦死していくなか、主人公のカナは希望を捨てずに生きようとする。
「玉砕」「自決」が美とされ、生き延びることが「恥」とされる。こういう価値観がたった80年前のことだなんて。狂ってるよなぁ。
そんな中、カナが選んだ道を一人でも進もうとする力強さに感動。
一般人も大量に巻き込み、捨て石とされた慟哭の島の歴史は忘れてはいけないと改めて思った。
中学のころ、沖縄のひめゆりの塔とガマを見学したことがあるけど、小説で読むとまた感じ方が違うな。
もう一回沖縄行きたい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いい意味でも悪い意味でも、沖縄の憎悪を理解するにふさわしい一書。
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沖縄県立第一高等女学校と沖縄師範学校女子部の生徒からなるひめゆり学徒隊の中で、最も被害を受けた第三外科壕の学徒隊が南風原の陸軍病院から糸満市米須まで従軍した様子が描かれます。沖縄出身の作者が戦後すぐに連載をはじめた作品であり、当時の世相を色濃く反映している反戦小説だと思います。本作はフィクションですが、現実はここに書かれていた以上の地獄絵図だったはずです。修学旅行で"ひめゆりの塔"に一度だけ行きましたが、その時の事を全然覚えておらず、本当に申し訳ない事をしたと思います。もう一度気持ちを入れかえて訪れたい。
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初めてひめゆり部隊について読んだ。内容がわかりにくいがひめゆり部隊について調べるきっかけになった。
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本書『ひめゆりの搭』は、その悲劇の僅か4年後、1949(昭和24)年に発表されてゐます。
おそらく当時の本土人(やまとんちゆう)は、ひめゆり部隊の存在すら知らなかつたでせう。
ノンフィクションではなく小説として書かれてゐるので、史実そのものではありません。
しかし大筋では、主人公伊差川カナを通して、実際の流れをなぞつてゐるやうです。
南風原野戦病院に、移動指令の伝達が飛び込んできました。軍医長は恨み節です。
「せめて二時間早く指令を出すべきだよ。こんな時間に、そとへ出すなんて法があるもんか!伝令の小僧めら、道草していやがったんじゃねえのか」
死の行進が始まるのです。
カナは独力で、或いは助け合ひながら行進を続けますが、冷静な思考を失ひません。
もうこのいくさは終つてゐる、投降するのが一番なのだが―
現在でも基地問題などで、沖縄は振り回されてゐます。
結局大和人は、沖縄のことは他人事と感じてゐますね。自分も含めて。
「こんなちっぽけな島のために、こうしてわれわれは命をかけてきてやっているんだ」
「友軍機は、大事なところで戦ってござるんだ!おら、ちゃんと知っとる。―こんな貧乏な島なんか、あとまわしでじゅうぶんだい!」
まあここまで極端なことを言ふ人は現在滅多にゐないでせうが、事実を良く知らぬままに思ひつきの意見を押し付けることは避けたいものであります。
本書は、その入門篇として今後も存在価値を持ち続けるでせう。
追記 沖縄の北谷町に、親戚がゐます。カデナエアーベースのすぐ近くです。いはゆる嘉手納基地からも直線距離で3キロ程度。しかし全然飛行機の音などしないのですよねえ。聞いてみても、いつもこんな感じで静かだと...
不思議であります。
http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-94.html -
夏なので、夏と言えばみたいな本を読もうと思って選んだ。私が中学生の時に聞いた、ひめゆりで生き残った人の話を思い出した。
最初の章からして非常に重たい。ひめゆり部隊の移動経路を追うように書かれているため、まるでドキュメントを読んでいるような…。いつ死ぬか分からない状況なのに、日本軍さえ恐怖の対象だったら、住民はどんな精神状態だったのだろう。逃げ場もなくただ追い詰められていくだけの運命で、生きようと思う方が難しいのかもしれない。
解説を読んだら、同じ女の人が書いたからか、切なくなってしまった。考えることはいっぱいあるけれど、とりあえずこの本を読んで、ますます沖縄本島に行きたくなった。
偶然にも、終戦記念日の前日に読み終わった。(20100814) -
(メモ:中等部3年のときに読了。)
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戦争関係のものを読んだり見たりすると、
「こんな恐ろしいものはやっちゃあいかん、平和が一番だ」と
月並みな感想しか思い浮かばない。
だって本当にそう思うのだからね。うん。
あとがきで、戦後に沖縄に立ち寄った筆者が
骨の粉でいっぱいだったという部分を読んで
ぞっとした。
一番、輝いていると言っても過言ではない青春の時に
彼女たちはボロボロになって生きようとしている姿を
読んで、本当に今の時代は豊かすぎる、平和ボケしているなあと思った。
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