無名碑 (下) (講談社文庫)

  • 講談社 (1978年1月1日発売)
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  • 本 ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061314207

感想・レビュー・書評

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  • 話が急展開する終盤。
    「それでも道はできる」というブローマンの台詞は意味深だ。タイトルにもなっている土木技術者の「無名」性について、上巻では礼賛しているくだりがあるが、ここではむしろ「無名」であるゆえの空しさ(無力さ)を示そうとしているように思えてならない。すなわち小説全体を通じて「無名」性のもつ二面性をあぶりだしていて、これは今日の土木の本質を鋭く突いているとも思う。

    あとがきの一節には、感動して泣きそうになった。
    「一つだけつまらぬことを覚え書きしておこうかと思う。今後初めて、私はこの作品が書き上るまでは、できることなら死にたくないような気がしたのである」
    …自分の人生のなかで、そんな風に思えるプロジェクトに、いくつ出会えるのだろう!

    (上巻に対するレビューはまた別途)

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著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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