限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 6413
レビュー : 758
  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061315310

感想・レビュー・書評

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  • 「コインロッカーベイビーズ」から村上龍作品にはまりだし、代表作と聞いて手に取った一冊。「69」を読んだときにも感じたが、正直、一読した今でも物語の概要を説明しろと言われたら簡単には説明できないと思う。特別なことは沢山起こるけれど物語が何か進展するわけでもないし、このレビューを書くのもとても難しい。けれど、ただ感じた書いてみると、この作品が強烈なのはテーマが刺激的だからという理由だけでなく、やっぱりその文体や表現にあると思った。映像でもないのに目をそむけたくなるようなシーンもあって、だけどその体験をする度、うわあと感じると同時に著者の表現の豊かさや伝えようとしている鮮烈なイメージをひしひしと感じた。「鮮烈」という表現は背表紙にある表現を借りたが、村上龍作品にぴったりな言葉だと思った。

    もっと村上龍作品に触れてその真意をくみ取れるようになりたい。

  • 青年たちが繰り広げるドラッグ、酒、乱交パーティ、音楽、暴力を、その雰囲気のまま包み込みながも、その行為自体を透明感にあふれて描写した青年群像小説。
    彼らの過激な言動は生々しくエロ・グロな描写も表現豊かで細にいるのだが、なぜか躍動感が感じられず、流れるように読める。リアルな情景を再現させる「動」を題材としながら、どこか入り込むの余地がないほどの「静」を描き、そこに登場する人間たちがまさに透き通っているように感じる。安定感を求める彼らの意識を柔らかく受け止めることができるようだ。
    ところで、あの表紙の横顔はリリーなんだろうか?

    • lacuoさん
      この小説は、私も、なんだか好きなんですよね。

      ありきたりの表現だけど、瑞々しい感性が、気持ちいい。

      私にとっては、エロティックで...
      この小説は、私も、なんだか好きなんですよね。

      ありきたりの表現だけど、瑞々しい感性が、気持ちいい。

      私にとっては、エロティックでもグロテスクでもなく、純粋に、気持ち良い小説でした。

      この、過去の小説の、現在形が『蛇とピアス』だと思うんだけど、私にとっては、こちらのほうが、はるかに空恐ろしい、グロテスクなものに思えたんです。
      2016/11/14
    • mkt99さん
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      なるほど確かに瑞々しい感性の作品でしたね。
      エロ...
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      なるほど確かに瑞々しい感性の作品でしたね。
      エロ・グロな内容でありながら透明感があり、なぜか生々しさを感じずさらさらっと受け入れることができた不思議な作品だったように思います。

      『蛇とピアス』も読みましたが、自分には生々とした異物に対する気持ち悪さを感じた作品でした。

      ちなみに『ヌーベルヴァーグ』という作品のDVD特典映像で、ジャン=リュック・ゴダールと若かりし村上龍との対談を観たことがあるのですが、こちらの方は逆にゴダール=蛇に睨まれたカエルのように硬直していた村上龍をみて、本来的には突拍子もないグロテスクなものには弱いんだなと思いました。(笑)
      2016/11/18
  • 20代のころ村上龍作品をたくさん読んでいた。暴力/エロ/快楽/思想/アルコール/麻薬/狂乱/パーティーなど刺激的な要素が盛りだくさんで、まだ子供で田舎者だった自分にはワクワクドキドキするような内容の話が多かった。
    けどデビュー作である本作は何故か手に取っていなかったなぁ~おそらく当時の僕は映画化されたのも知っていたし話題作だったのも知っていた。けれど題名が琴線に触れなかったんだろうと思う。
    見城徹氏の「読書という荒野」で紹介されていて興味が湧き、今更ながらに読んでみるとバブル期の退廃小説のような印象を受けたが、時代的には70年代半ば頃の安保闘争や学生運動やベトナム戦争などの残滓が残る時代の話なんだよね。バブルより一昔前なんだな…そんな時代の大音量で騒々しく破天荒な青春を謳歌する仲間たちとの日常に、熱を持たない主人公が漂っているような、そんな印象を受ける作品でした。目に映るモノ、感じるモノを文学的な言葉で描写する能力には非凡な才能を感じるし、現世と幽世を行き来するような理解の難しい感性に魅力を感じる作品でした。
    面白かったです。

  • 透けて見えないみっしりとつまった空間。
    一秒が数日にも感じられるような密度感。
    だが実体は空虚で儚く、霧散して残らない。

  • 昔1度読んだ時、もう2度と読むかと思いました。SEX、ドラッグ&rock’n’roll。歳を重ねあの時代を勉強した今ならわかります。今、村上龍さんに影響を受けた人が多いのもうなずけます。ただこのキーワードを見て拒否反応を起こす人は見るのは絶対やめましょう。傑作ですが意味がわからなく今の時代から見るとひどい描写が多いです。わかる人だけの小説では?

  •  最新作を読んだ後に、処女作を読むと、小説の密度の違いに驚く。このころは社会のひずみを訴えようとはせずに、ただ自分を描き続けて、うるさい描写はない。強烈な性描写ににドラッグがまとわり続けるけど、感情を排して淡々と進められる物語は静かさがある。と思ったら、解説でも、そう書いてあった。「ここにあるのは、ただ、見ること見ることへの異様に醒めつづけた情熱である」。中毒性がある小説。

  • ただアレなだけの本かと思ったら、そうではなかった。
    退廃的に堕ちていくんだけど、頭のどこかでは何かを熱望してるみたい。ずっとピントがずれていたのがいきなり細部まで鮮やかに見えるようになったり、途中で時間がゆるやかになったり溢れ出したり。

    後書きにあるように、それを遠くで眺めている視線だから、静謐で切ない雰囲気なのね。

  • 麻薬と乱交パーティしか描写のない最初の50ページを過ぎたあたりから止まらなくなった。
    解説を見て納得した。没主体性。それだ。
    非現実感と現実感。「僕」と「他者」。
    そんな感じ。

  • 村上龍の小説を読んでいると、吐き気がしてきそうなきがして、だけどそこがよかったりするのだが、この作品は、吐き気がしそうどころか、吐き気そのものだった。

    暴力的な描写の羅列に何度も読むのをやめようかと思ったが、なんとか読んだ。読んでよかった。若者の喪失感やら絶望感の描写が、なんとも絶妙だった。暴力的なシーンがあったからこそ、それが際立っていた。主人公が発狂しそうになるところもよかったな。

    • るるるさん
      初めてコメントいただきました。ありがとうございます。
      表現はグロテスクでも、読み終わったあとは、タイトルの通りさわやかで、ただただよかったで...
      初めてコメントいただきました。ありがとうございます。
      表現はグロテスクでも、読み終わったあとは、タイトルの通りさわやかで、ただただよかったです。
      2012/09/07
  • 勝手に想像していたものと大分違ったけれど24歳でで芥川賞を受賞したというのはやはり衝撃的。よく消化するには時間がかかりそうだが、選考委員に「清潔」と評価されたという文章は何となく不思議な余韻を残す。

  • 酒を飲み煙草をふかし麻薬をキメて、音楽を聴き騒ぎ踊り狂い、喧嘩をし暴力をふるい、セックスしたり乱行したり、しょうもないヒッピー達のどうでもいい話が延々と続く。同情も共感も出来ない話が延々と。しかしこの作品の登場人物たちは何故か興味深くて、何処か面白くて、どうしてか凄く魅力的だ。欲に支配されて、自由を追い求めて、どうしようもなく死に惹き付けられて、やる気が見つからなくて、からっぽで、いつの時代も若者の本質は変わらないのかもしれない。ヒッピー描写がリアル過ぎだし、主人公の名前リュウだし、おそらく著者である村上龍本人の体験談だよね。別にヒッピー文化を肯定してる訳じゃないけど、かなりクレイジーでイケてるよ、この小説。正直気持ち悪い所は気持ち悪いし、よく分からなくて混乱する所もあるけど、村上龍のギャグセンの高さとラストの清々しさがあって読んでいて非常に気持ち良かった。

  • これが群像新人文学賞を受賞したとは...
    純文学の新たな道を開いた作品だと思う。

  • 自分の人生・経験とは似ても似つかない、最初から最後まで非現実世界を漂っていましたが…なんだろう、そんな中でも虚無感とか不安感とか、対象は違えど通ずるものがあるんだなぁと思える作品。
    最後は希望が垣間見えて、どうしようもない空虚感を残さず終わって良かった。

  • 村上龍の原点が描かれる半自叙伝。セックス、ドラッグ、バイオレンスの描写がえぐく、読み進めるのが辛い瞬間もあった。今井裕康の解説が、この作品の本質は決してそうした過激な描写にあるわけではないことをはっきり認識させてくれる。

    享楽的かつ退廃的に惰性で進んでいく青春の時間。その時の流れにリュウはただ力感なく身を任せる。どこか第三者の視点から自分の人生を傍観しているような感覚。主観の不在。そして未熟な自己を窒息させる社会という名の「鳥」。

    終始淡々と無感情な1人称で語られるこの作品において、リュウの自分の人生に対する能動的な思いが語られているのはたった3行しか無い。

    『限りなく透明に近いブルーだ。僕は立ち上がり、自分のアパートに向かって歩きながら、このガラスみたいになりたいと思った。そして自分でこのなだらかな白い起伏を映してみたいと思った。僕自身に映った優しい起伏を他の人々にも見せたいと思った。』

  • 不潔で猥雑で、登場人物全員に同情できず、理解不能と一蹴してしまいたくなる物語。ただ、嫌悪感から登場人物と自分を突き放すことで、却って物語を冷静に見つめ直してしまう。すると、彼等に見えて自分に見えない、見えても目を背けてしまうものが見えてくる。

  • 題名の透明感さながらの静寂に満ちた世界観。
    非現実感?烈火のごとく激しい生活に漂う虚無感。
    とっつきにくくてあんまり気持ちの良い作品じゃないけど、がむしゃらなどうにもならない気持ちが心に刺さる。

  • 24歳の時に読んだ。著者がこの作品を書いたのが24歳だったことを知り愕然とした。「飛行機の音ではなかった。」はあまりにもあまりにも衝撃的。ぼくの中では「吾輩は猫である」クラスの仰天書き出し。

  • 本自体が暴力とも言えるない過激な内容だったのにもかかわらず何故か冷静に読んでいる自分がいたことに驚きました。解説ありきの本だと思います。

  • 乱交パーティーや酒場での混沌を見事に描いているとは思うが、読みにくいのも事実である。しかし、弱冠24歳にしてこの作品を上梓したのは評価に値する。

  • これは最高傑作!!

著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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