- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061315464
感想・レビュー・書評
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「観たら読む」は今村昌平監督作品に限っては当時の制作スタッフであった武重邦夫氏が書く回想記のことを指していたのであるが、その中で原作の素晴らしさが述べられていたもので、三段跳びの要領で本作にとうとう到達。むむ、前評判通りスゴイぞ。
なんといっても嬉しいのが映画でも味わった「事件調書を作成する過程に沿った回想記」というスタイルが、そのまま維持されつつしかも原作ではその逆の視点で書いてあるということ。まぁ、この「逆の」はそもそもはこの活字版がスタートなわけなのでより正確に言うと「正の」と呼ぶべくなのであろうが…。
つまりはこういうこと。
原作は最初の殺人事件を起点として、その容疑者を絞り込むために様々な参考人からの集めた証言とその証言を得るための過程をつらつらと綴っていってくれる。その道筋の中で容疑者榎津巌のひととなりが浮き彫りになってくるのであるが、映画版の脚本はその榎津巌が逮捕されて護送されて来るシーンから始まり、その彼に対して自白調書を取るという過程を通してその回想シーンがはさまれていく形をとっている。時には参考人証言とは食い違った容疑者証言のシーンも取り混ぜてあり、絶妙な表裏をなしているのだ。まるで鏡に映る像の表と裏をそれぞれにみせてもらっているような感覚を味わえ、「二度美味しい感」がハンパない。この脚本書いたひともスゴイ。池端俊策氏とのことで、今村版「楢山節考」もこの人。
そんな感じでさらっと上巻を終了、下巻へと手をのばしたところ。
これ読みきったらまた映画観たくなるなぁ…。Netflix確認しとくか。 -
畑
峠
車
血
猊
火
声
刃
汗
濘
繋
蠢
嗤
脚
海
幟
土
舌
影
爪
纜
目
街
雨
第74回直木賞
著者:佐木隆三(1937-2015、北朝鮮、小説家) -
事件をひたすら淡々と
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人を裁くのは人であり神ではない。
人を裁くのは神であり人ではない。
さあ、どっち。 -
1963年犯罪史上空前の全国捜査網を敷いた西口彰事件をモデルに、
徹底した取材で事件背景を周囲から克明に描写している。
(主人公の名前は変えている)
著者が国会図書館で調べたその事件の資料は、
積み上げれば2メートルにも及ぶという。
膨大な資料を駆使して構成されたこの小説の犯人像は、
<優れた知能犯でありながら、暴力的である>という、
それまでの犯罪者の定義を覆すところである。
そこを小説にした著者の力量。納得の直木賞受賞だと思う。
フィクションの枠の中におかれているが、ほぼノンフィクションに近い。
裁判員制度になった今、この作品を読むことは、
ひとつの事件背景を資料のうえから判断しなければならない立場におかれた時、
どう犯人像を捉えていくか、個人的な想像力を試されるのではないか。
緒方拳が演じた映画もとても印象深い。 <第74回直木賞> -
福岡などを舞台とした作品です。
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佐木隆三さんのノンフィクション小説の中で初めて読んだものです。昭和38年に実際に起きた殺人事件をもとに書かれており,全国を震撼させた殺人鬼が逃亡中に各地で詐欺や殺人を重ねていく姿がリアルに描かれています。
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げt
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殺人鬼榎津の行動力にはあきれるほど凄い。これが実際に起きた事件とは思われないほどだった。ただ、上下巻で多少長いと思わせるきらいがあった。