協奏曲 (講談社文庫 え 1-18)

  • 講談社 (1979年5月1日発売)
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  • 本 ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061315587

感想・レビュー・書評

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  • 過去の恋人に会うために、しばらく仕事を休んでパリに旅立つ中年作家の千葉。その千葉に恋心をいだいている若いラジオアナウンサー弓子は見送りに行くくらいしか手がなかったが、ひょんなことからラジオ局の企画で、格安でパリに旅立つことができることになる。昔の恋人、しかし人妻の淑子と会うことができた千葉は、弓子がパリに向かっていることを知る。

    重いわけではないが、ユーモアとは違うタイプの遠藤周作。ズシンと来るキリスト教の話とはまた違い、新聞か雑誌の連載小説というような読みやすい文体で、流れるようにストーリーが進んでいく。

    弓子たち3人がたった10万円でヨーロッパまで(少し前の飛行機代と変わらんが)たどり着くため、かなり無理をする部分を広げていくのかと、ほんの少しだけ期待したが、そこはお友達の北杜夫の得意分野であるためか、思ったより盛り上がらずに終わってしまった。

    一方で、千葉の叶わぬ恋や弓子のちょっと少女漫画的な刹那的な恋が綴られていく。全体にメリハリの少ない作品で、女性向けなのかなあ。

    旅のもう一つの目的である、同行者の元水泳部員のドーバー海峡横断レースが、なんかこう別の作品に見えてしまった。

    全体に、現代でも漫画やドラマになりそうなテーマであったが、すごくおもしろいかといわれるとちょっと…。

  • 2019.04.21 読了。

    とりあえず買ったので読んでみた。
    時代を感じる表現や情景が多く、煙草吸いまくるね、と思った。
    いつの時代にも世代間での価値観の違いはあるんだね。
    結局それの繰り返しで、「最近の若い子は…」となるのは必然なんだろうね。
    それを描いた恋愛話。
    話としては綺麗だし、映画みたいに浮かぶんだけど、これといってパンチが無いというか、印象が薄い。
    その後の話も知りたい。
    というか千葉×淑子な恋愛じゃないのかよ。

    結局は臆病な男だと思った。
    本当に会いに行っただけかよ。
    うーん。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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