ガラスの城 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061315983

作品紹介・あらすじ

エリートコースの販売課長が社員旅行の晩に行方不明となり、やがて惨死体で発見された。課長殺害で微妙に動揺する社内の空気の中で、執拗に死の謎を追う女子社員……。ガラスの城のような、都心の高層ビルに勤める一流サラリーマンの世界にうずまく、さまざまな欲望と犯罪の構図を鮮烈に描く傑作推理長編。

感想・レビュー・書評

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  • 慰安旅行で上司が殺され二人のOLが独自に
    調べはじめて・・・
    一人目のOL視点が第一章、二人目のOL視点が
    第二章で物語が展開された
    一人目でモヤモヤ状態のまま二人目に入ったが
    結末にはおどろかされた
    それにしても読み終わるまでだいぶ時間がかかって
    しまいました
    古い作品で文字がとても小さくその分文字数も
    多かったのかな?
    今、調べたら新装版がでていることを知りました
    この作品がドラマ化されるということでそちらも
    気にはなります

  • 二人の女主人公視点からの数少ない小説。
    エリートコースの販売課長が社員旅行の晩に行方不明となり、やがて惨死体で発見された。課長殺害で微妙に動揺する社内の空気の中で、執拗に死の謎を追う女子社員……。ガラスの城のような、都心の高層ビルに勤める一流サラリーマンの世界にうずまく、さまざまな欲望と犯罪の構図を鮮烈に描く傑作推理長編。

  •  松本清張1962(昭和37)年の推理小説である。
    「若い女性」というそのまんまのタイトルの雑誌が当時あったらしく、そこに連載された。
     読み始めておや?と思ったのは、『黒い画集』などのこれまで読んできた短編集に顕著だった「文学的表現」がほとんど無く、非常に平易で漢字も少ない。この小説は前半が三上田鶴子、後半が的場郁子という二人のOLの手記の形を取っているので、文体を変えているようだ。
     女性誌掲載ということもあり、家庭に完全に閉じ込められてきた近代の女性が社会の高度成長とともにいよいよそのディスクールを明らかにし始めた時代にふさわしい文体が採られているのだろう。
    「ガラスの城」のようなビルの2フロアを占める大きな会社の販売第二課、それでも50名いるというオフィスが舞台となる。
     そこでは女性社員の扱いはお茶汲み・掃除などのお手伝い程度でしかなく、何年在籍しようが絶対に出世することはあり得ない。結婚した女性社員はすぐに退社して家庭に入るのが常識とされており、独身のまま何年も勤務を続けたり結婚したのに仕事を続行したりすると男性社員中心の社会の中では疎まれ、嫌がらせをされたりもする。支配者然とした男性陣は若い女性がどんどん入れ替わりに入ってきてくれることを期待している。つまり飾りとして使用されているのだ。
     一般企業の大きなオフィスのことは私はよく知らないが、日本社会におけるこのような男性至上主義の不公平は、この頃から60年を経た現在でも、そんなに大きくは解消されていないのではないか。少なくとも、
    「今は少子化で労働力不足だから女もパートで働け、だが主張はするな、家庭と子育てには一切手を抜くな」
    といった調子の自民党の老議員どもが舞台を去らないあいだは、状況は改善されないと思う。
     男たちは出世を競うゲームに必死で、飾り程度に配置された女性社員たちはひっそりと仕事するが仲間内では殊に美醜や男性受けなどを巡って火花を散らしている。
     本書の魅力の一つは、当時のOLによる「女のディスクール空間」を楽しむことである。清張は観察眼は確かであり、女性の心理描写も上手いように思うが、当時この女性誌で連載を読んだ同じ境遇の女性たちはどう捉えたのだろう? 清張の読者には女性も多かったようだから、やはり女性の描写に共感するところも多かったのだろうか。

     50名くらいの課の社員旅行で、課長が何者かに殺害されるという、本格推理小説である。
     しかし思い直してみれば、小説上の課長だかなんだか、平凡な中年男性が誰に・どのように殺されようが、私には全く興味が無い。そんな興味-外の「謎」にいかに読者を引きつけて行くかが、推理小説の作法である。
     推理小説の叙述(ストリーム)が進行していくあいだに、絶えず「こうだったのではないだろうか」といった<推理>が挟まれてゆく。そして、視点となっている探偵の推理は、必ずしも読者に全面開示されず、ちょっと思わせぶりなことを口にしてそれの説明はしないという、シャーロック・ホームズもいつもやる手口が、ここでもしばしば出てくる。そこで読者を考えさせる。
     真意、真実が空白とされているこの<不在のシーニュ>の連発が、本格推理小説では、文脈ストリームで読者を巻き込んでいく鍵となっているようだ。この<不在のシーニュ>への<欲望>こそがストリームの走行燃料となる。
     そしてこのストリームは、途中で何度も捻転するのがミステリでは定石だ。新しく出てきた情報や手がかりによって、これまで見てきた情景がぐるっと変容し、<意味の体系>は更新され続ける。ディスクールの転回は何度も繰り返されることで読者を興奮させ、ラストでは最も大きな転回が用意されていなければならない。
     そのような推理小説の構造を意識しながら読んだ。
     定石を活用しつつ、当時の女性社員たちの社会状況や心理を巧みに活写した作品と言うことで、これはなかなかに優れたものと思われ、楽しんで読んだ。

  • 昭和の時代背景を反映したミステリーですが、今の時代にも通じるものが感じられます。
    第1部『〜の手記』、第2部『〜のノート』、この手記とノート、嘘と本当の違いを最初から示し、読者に警鐘しているようです。とてもユニークなミステリーです。

  • 50人もの社員旅行で、課長が失踪、そしてバラバラ死体として発見される。2人の女性社員による手記で構成されるストーリー。


  • 2度ほどギアチェンジを食らう。

    ストーリーテラーが変わって、しかも信用できないあたりがアクロイド殺しを思わせる。
    これは意外感も相まってよかった。

    最後の犯人は... どうなんだ。それでいいんだろうか、で減点1。

  • 105円購入2013-03-03

  • 久しぶりで徹夜しました!!

  • 上司の殺人事件の謎を追う2人のOLの手記による話。
    ミステリーとしては地道な謎解きの話。
    当時の会社様子、女性の地位などが面白ろく、男性の補助的な仕事な故によく観察をしている。

  • 読んだことないかと思っていたら、読んだことありましたw。
    でも、色々細かい部分は忘れていたので。。
    途中の展開で「えええ?」となった私はまあまあ楽しめているとww。
    手記がそんな風に使われてたなんて。。
    すっかりセイチョウに騙されたワテクシ。。
    楽しめましたw。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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