ひつじが丘 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061316492

作品紹介・あらすじ

愛とはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ……つらくよみがえる父母の言葉。良一への失望を胸に、奈緒実は愛することのむずかしさをかみしめる。北国の春にリラ高女を巣立った娘たちの哀歓の日々に、さまざまの愛が芽生え、破局が訪れる。真実の生きかたを真正面から見すえて感動をよぶ「愛」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの心の中が表現されていて、しかも展開が早いのでテレビのような印象が強かった。

    テーマは愛。
    恋ではなく愛。
    愛とは許し続けること。
    美しい女性が見た目がよい男性に惹かれる。
    本質を見誤る。
    そして結末は。

    読んでみて良かったけれど、なんだかすっきりしないような。
    あまり見ないけれど、NHKのドラマのような印象でした。

  • 50年以上前の作品。
    それでも現在でも難なく読めた作品。

    舞台は戦後四、五年後の若き女子高校生達(女学校から高校生に変わる頃)の、男女間のもつれなお話。

    どなたかが感想に“コンパクトな氷点”と表現していたが、確かにそんな感じがしました。

    テーマは“愛”と“赦し”。

    とは言え、氷点よりドロっとした感じは否めない。登場人物を若めにしているせいか、まだまだ人生経験が足りない者も居れば、駄目の三冠王みたいな男も居る。

    良一の扱いが今作のキーとなるだろう。
    駄目の三冠王・良一(酒に溺れる、女たらし、妻に手を挙げる)は、初めのうちは見るに耐えないクズ男だが、肺病の初期段階における吐血するところから、自身の生き方を見つめ直す。

    奈緒実にプレゼントするはずの絵、十字架にはりつけられたイエスの足下で、イエスの血を浴びながら両手を掲げ赦しを乞う自身を描きあげていた。
    洗礼までには至らないが、それでも主に赦しを乞うまでに心境が変化するシーンには、以後どうなるものかと気になっては来る。

    しかし、おっちゃん的には気付きが遅すぎであったとしか思えない。
    作者的には若気の至りも赦しの一つ…になるのかどうか…。
    完璧な人間は居ない…とも表現されているが、もっぱらこのお話では男女間の関係ってのを赦し続けられるか…にある。
    倫理観の捉え方なんだろうが、浮気や不倫はNGではなかろうか。

    類は友を呼ぶと言うが、奈緒実の父親が昔良一と同じことをしていたってのもキーだろう。だから義理の息子の気持ちもわかる…んだろう。
    牧師とて道に誤ることはある、そう言うならそうだが、ここら辺に読者の好き嫌いが現れる気がします。

    ただの犬も食わない愛憎劇ならそれまでだが、作者が敬虔なクリスチャンだからこそ、その後どう考えるのかが気になる。

    だから三浦文学は面白いと思えます。

  • 牧師の娘として生まれながら、人間くささを感じさせない完璧な両親に疑問を抱く奈緒実。和風美人であることを鼻にかけつつ、奈緒実の抜きん出た容姿に敵意を抱く、社長令嬢の輝子。輝子に理不尽な暴言を投げつけられ困惑する大人しい気性の京子。

    彼女らを受け持つ教師の竹山、京子の兄で絵描きの良一。主な登場人物はこれだけ。かなり狭い世界のストーリーである。

    娘に言い寄る相手の本性を見抜いて反対する親、反対されたことによりかえってムキになる娘…ありがち。。

    結局反対を振り切って一緒になるも、夫はろくでなし。「愛することは、ゆるすこと」を胸に、なんとか彼をゆるそうとするがゆるせない潔癖な妻。

    私もこの夫はゆるせないかなぁ…
    何が悲しいってジンギスカンが大好きでこのタイトルに惹かれたのに、一度もジンギスカンが登場しない…。ジンギスカンジンギスカン…食べたい。

  • 【恋とは。夫婦の愛とは。ゆるすこととは。】

    青春から、
    憧れから、
    理解不能な、
    また自分の辞書をひいてもわからないことに
    惹かれ、
    知りたいと思い、
    やがて真実を知り、
    酸いも甘いも噛み分けて、
    許し、
    許され、
    生きていく。

    良一のように、悔い改めるというのは稀だと思う。
    そして奈緒美のように
    葛藤をしながらもゆるし続けることは
    相当に気力の要ること。
    守るべき弱き者の存在があれば
    なおのことゆるさない選択だってあるだろう。

    ひつじが丘は美しい。
    現実はそんな画になるようなことばかりではないけど
    そのような関係もあるんだろうな
    あってほしいなと思った。

    許すことは難しい。
    気づくこともまた。

  • 10年前、20歳くらいの時に初めて読みました。
    当時は「良一のような男性を選んじゃいけないな」くらいの感想しか持てなかったのですが、
    30歳のいま、「愛するとは、相手を生かし続けること。ゆるし続けること」この意味がよくわかります。
    自分の成長を感じた読書となりました。
    三浦さんの別の本も再読したい気持ちになりました。

  • 美しく聡明な主人公、奈緒実は級友の兄である良一に惹かれるようになり、周囲の反対を押し切り家を出て行くが…。
    この話のテーマは「ゆるし」。
    ゆるすことの難しさ、その反面自分がゆるされていることにどれだけ鈍感なのか…奈緒実たちを通して思わされました。
    ラストは、「多く赦された者ほど、多く愛する」という聖書のことばを彷彿とさせます。ただ、何といっていいのかわからないくらい、やるせなく切なかった…。

  •  北海道を舞台に、ヒロイン奈緒実をめぐる「愛」の形を描いた作品です。
     牧師である、奈緒実の父が反対をおしきって良一と結婚しようとする娘に伝える言葉が心に残ります。愛するとは生かすこと、ゆるし続けるということ・・・。人間は過ちをおかすもので、いつ自分がその立場になるかはわからない。故に、人は人を「裁く」ことはできない。人にできるのは「ゆるす」ことなのだと、この作品を通して教えられました。
     言葉で書くのは簡単なことですが、とても難しいことです。
     けれど、なるべくゆるし、ゆるされながら生きていきたいと感じさせられます。三浦綾子の小説は人に対して優しくなりたいと思える作品です。高校生の初めに読んだ「塩狩峠」も良かった!!今でも心に深く残る作品です。こちらもオススメ。
     感動の1冊。中・高校生に読んでほしい1冊です。

  • 著者の「氷点」に続く第2作。青春小説のごとく始まる札幌のミッション系女子高校生(奈緒美、京子、輝子たち)と若い美男子の英語教師・竹山哲哉先生、青春真っただ中の純真な姿の冒頭のシーンからの激動の数年間を経て感動のラストへ!惹き込まれるようにその面白さで一気に読んだ。しかし、テーマは極めて重い。京子の兄・良一という女泣かせの青年の登場により、若い女性たちが不幸に巻き込まれていく。牧師である奈緒美の父・耕介が「愛とは赦すこと」と語る言葉に著者の問いかけがあり、耕介自身そして主要な登場人物たちの心の奥にある罪が抉られる。見事な展開で、最後に冒頭のシーンを想起させる青空と白い雲を見る場面で終わる。数年しか経ていないにも関わらず、大きな時間の隔たりを感じさせる場面だ。しかし、人物造形(奈緒美、良一、哲哉、輝子、京子たちの心の動き)が少し粗削りで、やや無理を感じないでもなかった。

  • 人をゆるすことの尊さと難しさを痛感する大作。人間誰しも弱くて完全にはなれない。だからそんな自分も受け入れゆるしてもらわなければならないし、周りの人をゆるす心の広さを持たなければならない。今年の自分のテーマとなる作品に出会えた。

  • 愛するとはゆるすこと

    どこまで
    ゆるしつづけることができるか

    愛するって
    やっぱり苦しいことなのだ

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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