海の向こうで戦争が始まる

著者 :
  • 講談社
3.28
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本棚登録 : 1223
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061316508

作品紹介・あらすじ

海辺で出会った水着の女は、僕にこう言った。あなたの目に町が映っているわ。その町はゴミに埋もれ、基地をもち、少年たちをたくましく育てる町、そして祭りに沸く町。夏の蜃気楼のような心象風景の裏に貼りつく酷薄の真実を、ゆたかな感性と詩情でとらえた力作。『限りなく透明に近いブルー』に続く作品。

感想・レビュー・書評

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  • 豊かなビーチから眺める、海の向こうの淋しい町。
    定まらない視点がふらふらと此方と彼方を繋ぎ、祭りに熱狂する町を彷徨う。
    描かれる人々には過去があり人生があり
    それらが境界のない混ぜこぜに
    全てが一続きになっている。
    一続きになって僕を通過していく。

  • 何度目の再読になろうか。鈍色の空の下、祭りの狂騒がやがて戦争の欲望へと雪崩れ込む人びとの心理過程の描写は圧倒だ。吐き気もよおす臭気と、血みどろの排泄物が混濁し、とてつもない破壊へのエネルギーが始動する。一方、対岸の若者は生にも死にも無気力に、太陽と青空を全身に浴びながら対岸の不穏な気配を冷たい目をして見つめている。向う側の死臭は、排泄物は、戦死体はここまで届くことはなかろうと。このコントラストの鮮やかさは不穏な空気を孕みつつ美しく、ただ途方に暮れるばかりだ。限りなく~に続く龍の2作目。限りなく愛おしい。

  • レビューを書くのが難しい話。
    限りなく透明に近いブルーのリュウと同じように俯瞰的な部分と、コインロッカー・ベイビーズのキクたちのように破壊的な部分を併せもつ作品でした。
    まさにそのそれぞれの傑作に挟まれた第二作ということで。
    日が昇って落ちるまでの海辺から見渡せる、向こうの町での祭りと戦争。
    場面と主人公がくるくると移り変わっていく不思議な構成でした。
    誰もが破壊と消滅を望んでいる。そこにあるのは熱狂と興奮と恍惚。
    フィニーと僕はただの代弁者であり、読み手はみなそのフィルターを通して自意識の迷宮に入り込み、自己の解放を目論んでいるのだ。

  • ダメだ、全く受け入れられない。村上龍の世界観も新しい試みも、台詞の運びも描写も。全てがダメだ。たぶん、自分がもっと熟成しないと理解出来ないんだと思う。

  • 表現が私にはちょっと気持ち悪すぎた‥。

  • 設定も話の筋もないおそらしくごちゃごちゃな話です。筋書きがない中、ひたすら退廃的な話が進行していく。一つ一つの話のつながりが見えないからえらく読むのに時間がかかりました。
    話というよりは、PVのような話。
    ただ、筋も何もない光景を楽しむしかありません。

  • 主人公の世界から向こうの世界にいつの間にか視点が移動してるのはかなり革新的な手法であると思う。客観的な文章と生々しいグロテスクな文章がグラデーションのように変わっていく。

  • すごいなー

  • ある海辺での男女の夢想とその終焉。海の向こうに黒い稜線になって見える町、そこに夢見る四つの物語。
    すべて夢想は人々の堪えきれないような限界としての戦争や、自然な連綿とした流れのなかの戦争へと結びつき、暴力的に破壊されていく。コカインの刺激とともに。
    あたかも「小説を書く」ことを代弁するかのような、「僕」とフィニーの夢想。戦争とはつまりこの「海の向こうで戦争が始まる」というテクストなのだ。村上龍は小説という形で、戦争を生んだ。

  • 配架場所 : 文庫
    請求記号 : BUN@913@M113@3
    Book ID : 80600050386

    http://keio-opac.lib.keio.ac.jp/F/?func=item-global&doc_library=KEI01&doc_number=001630984&CON_LNG=JPN&

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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