和宮様御留 (講談社文庫)

著者 :
制作 : 篠田 一士 
  • 講談社
3.80
  • (63)
  • (63)
  • (85)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 430
レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061317024

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • え~っ!これ本当のこと?と思わず読み終えて思いました。

    和宮様は仁孝天皇の第八皇女。
    有栖川家に輿入れが決まっていたにも関わらず、時の将軍・徳川家茂に降嫁が決まる。
    輿入れを嫌がる和宮は五ケ条という条件を出し、大奥へ行くのを先延ばしにする。

    その少し前、和宮の伯父のもと働いていた下女・フキが和宮のもとに呼び寄せられる。
    まるで影武者のように息を潜めて生活するようになるフキ。
    それはフキを和宮の替え玉として家茂のもとへやろうという和宮の母親、観行院の画策だった。

    何も知らないうちに公家の暮らしに身を置き、自分がどうなるのか分からないという不安のまま江戸へ向かうフキ。
    フキのお世話役として庭田嗣子と能登が任命されるが、二人は宮が偽者であると早くから気づき、下賎の者としてさげすみフキを扱う。
    旅の道中フキが心の拠り所としていたお世話係の少進の姿が見えなくなった時、とうとうフキの精神は破綻をきたしてしまう-。

    何故替え玉を立てるまで和宮が江戸に行くのを嫌がったのか。
    途中本文で出てきます。
    そしてここでも女同士の確執が。
    観行院、嗣子、能登がお互いがいないところで罵り合い、陰口、悪口などが関係を悪化させ、関係ないフキの身にふりかかるのです。

    それにしても公家の生活習慣の窮屈なこと!
    声を一切出してはいけない。
    御膳は全部食べてはいけない。
    用を足すのも人が見ているところで塗り椀にする。
    そして後の始末も人にしてもらう。
    鉄漿(おはぐろ)を毎日塗る。
    そんな自分の性に合わないところに身を置くつらさ。
    人に無視されるつらさ。
    皸で血が滲んでも外で思い切り体を動かしたい!
    思い切り声を出したい!
    という人間にはどんなにつらいか。

    とにかく難しい漢字が多く出て読みにくい印象の本でしたが、それだけに読み応えがありました。

    • 夢で逢えたら...さん
      はじめまして。
      有吉佐和子さんお好きなんですね。
      素晴しいレビューを読んで、私も読みたくなりました。
      私も有吉さんが大好きなんですが、...
      はじめまして。
      有吉佐和子さんお好きなんですね。
      素晴しいレビューを読んで、私も読みたくなりました。
      私も有吉さんが大好きなんですが、まだまだ未読本がたくさんあります。
      今後ともレビュー参考にさせて下さいね。
      よろしくお願い致します。
      2014/02/20
  • 京から江戸へ輿入れする、それだけでほとんど一冊費やすとはびっくり。それだけなんだけどグイグイ読めた。公家の言葉がとにかく難しくて回りくどくて、でもその盛大な「無駄」が面白かった。

    和宮様として生きた三人の女が哀れで、特にフキの辛さは計り知れない。歩きたい、走りたい、水汲みをしたい、そういうささやかな願いが胸に痛かった。冒頭のフキはあんなに生命力に満ち溢れていたのに。
    フキが泣いて訴えた日も、嗣子が何事もなかったかのように御留を綴っていたのにはゾッとした。

    あとがき、解説もおもしろい。

    おもしろい言葉:
    お嫌さん、ご機嫌さん、おするする、
    宮様おひるウ
    まことにお芽出とう忝う有難う存じ参らせます

    〜あらしゃりますえ とか使いたくなる。

  • ものすごいリアリティ。小説ということはわかっているが・・・、
    「え、和宮様って、身代わりだったんでしょ?」
    と普通に話してしまいそうだ。

    公家(京)と、武家(幕府)の、見ている世界のギャップが面白かった。
    京はしきたりやら格やらでがんじがらめになりながら、建前を大事にする文化。
    これに対して江戸は、実際に外患にさらされ、お上の命令に従い、実をとる文化。
    宮尾登美子の、「天璋院篤姫」を読んだときとは、がらりと視点が違った。
    ほんまに、京の女はイケズやわー。

    それにしても皇族のお姫様の、なんたる窮屈な生活か。
    部屋で用を足し、すべては侍女に行わせ。
    家の外に出ないどころか、家の中ですらほとんど移動しない。
    自由に口を開くこともできない。
    美味しいものを食べ、美しい着物を身にまとい、丁重に遇されながらも、
    そこに自由がなければ、軟禁とどう違うのだろうか。

    いつも几帳の中にいて、「ありがとう」「ごきげんよう」以外に声も出すことがないから、
    おつきの侍女以外には、身代わりだということも気付かれないのだ。
    (最初、フキが選ばれたのは、宮様に似てるからだと思ったが、、、実は、全然似てないとか。それでも、対面しない以上は気付かれないと。)

    不自由な体で、籠の中の鳥として、不自由な生活をしてきた宮様。
    ほとんど人と触れ合うことも、外に行くこともなかった宮様にとって、
    関東へのご降嫁は、今では想像もつかないほど、おそろしいことだったのだろう。

    他方で、宮様のため、一生懸命、一人耐えてきたフキちゃんの、
    眠れぬ夜が痛々しかった。
    最近、涙腺のゆるい私は、すぐにほろほろと。

    思い切り素足で走り回りたい。
    日をあびて、水をくみたい。
    祇園さんでコンコンチキチンと囃し立てたい。

    どれも、「生」に対する腹の底からの欲求だ。

    文体は難しいし、京言葉はイケズでむつかしいし。
    将軍と結婚してからどうなるんやろ?と思ってたけど、
    結婚の取り決めのあれこれと、京から江戸までの旅とで、
    ほとんど終わってしまった。
    宮様と、将軍のエピソードが楽しみだったのになぁ。
    でも、頑張って読んでよかったと思える作品だった。

  • 公武合体の証としての和宮降嫁。その和宮は替え玉だったのか?まるで本当の出来事のように流麗な筆致で描かれている。何度かドラマ化されているなあ、そういえば。

  • 複数の替え玉がいたという設定の和宮の話。京言葉が癖になりそう。

  • うーん、読んだタイミングが悪かったんだろうか?
    この小説のリズムに全然乗っていけないまま終了、有吉佐和子ってこんな感じではないと思ったんだけれども(こっそり言えば宮尾登美子の作品かと思って読み始めた、ご愛嬌ということでご勘弁をば)。
    率直に言って全く面白くなかったなぁ、説明があまりに過剰。こういうのは当方の好みではない。それ故の低評価かもしれないのであしからず。
    しかし歴史モノでここまで外れるのはあんまり記憶にない、その意味では珍しいかも。

  • 宮中ことばがちょっとクセになりそうでした。
    「なにごともおするするとおすみにならしゃります」。

    幕末、徳川幕府と朝廷の仲がわるかったときに、異国船がきて、けんかしている場合じゃない!ってなって、両者和平のしるしにって、皇族の和宮様が、徳川家に降嫁したときの話。
    面白かったです。

  • ともかく、幕府側と朝廷側のやりとりが、まどろっこしすぎる。兄と妹のやり取りにしろ、お付きの女房通りのやり取りにしろ、とにかく回りくどくて「もうさっさと決めて~!!」と飛ばし読みしたくなる。
    けども、そうやって、当時も遅々として進まず、のらりくらりとともかくなんとか自分たちの希望を押し通し、自分たちが有利になるようにとお互いにけん制しあっていたのだろうということはリアルに体験できた。

    大河ドラマや、連続ドラマでも取り上げられ、見るたびに面白く見ていて、きっとこの替え玉説も読めば読むほど調べれば調べるほど面白いのだろうな。

    とは思うけど、他の有吉作品と比べると、ちょっと・・・。

  • 本作では、とりあえずフキが主人公ということになるのであろうが、本作は“群像劇”的な印象も受ける。フキの他に、和宮、その母である勧行院、降嫁の一件で苦しい立場になる和宮の伯父に相当する橋本実麗、和宮の周辺で身近な世話を受持つ藤と少進、中盤から登場する“和宮様付”ということになる女官の庭田嗣子というような主要劇中人物達が各々に面白い。

    本作は「史実として伝えられることの“裏”を解明する」というような種類の論文ではない。飽くまでも“小説”だ…自身では理解していない、更に理解出来ない、また理解しようにも背景知識が皆無で手の施しようの無い状況に、自身の意思とは全く無関係に叩き込まれ、人生を損なってしまうというフキ…気に病んでいたことをあからさまに指摘されて傷付いた繊細な少女に過ぎない“個人”を無視され、飽くまでも“公人”として「人生が“政策化”されてしまう」という中で、ひっそりと姿を眩ませる和宮…そんな和宮をとにかくも護ろうとする勧行院…宮様が本物か偽者かは自身の責任ではなく、自身は自身の立場を護るために役目を果たすとする庭田嗣子…こういうような人達の“悲喜劇”という体裁に纏められている…

  • 少進が心底怖い。

全76件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

有吉佐和子(ありよし さわこ)
1931年1月20日 - 1984年8月30日
和歌山県和歌山市出身の小説家、劇作家、演出家。娘は作家の有吉玉青。日本の歴史や古典芸能から現代の社会問題まで幅広いテーマを扱い、多くのベストセラー小説を発表している。
東京女子大学英文学科入学後に休学を経て、1952年同短期大学部英語学科卒業。1956年に『地唄』が文學界新人賞候補、そして芥川賞候補となり文壇デビューを果たす。1963年『香華』で第1回婦人公論(中央公論新社)読者賞、第10回小説新潮賞を受賞。1979年 『和宮様御留』で第20回毎日芸術賞を受賞。ほか、多くの受賞歴がある。
その他の代表作に、『複合汚染』、『紀ノ川』、『華岡青洲の妻』、『恍惚の人』、『出雲の阿国』、『和宮様御留』など。

和宮様御留 (講談社文庫)のその他の作品

和宮様御留 単行本 和宮様御留 有吉佐和子

有吉佐和子の作品

和宮様御留 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする