一絃の琴 (講談社文庫)

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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061317789

感想・レビュー・書評

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  • 読み応え十分。旧字や難読漢字がたくさんあって途中つまずきながら読了。
    一絃琴に魅せられた2人の壮絶な人生の回顧録。
    師匠の死後、とある理由により絶望を味わった苗。その後めぐり合わせに恵まれ、一絃琴の市橋塾を開く。塾は時世に合い大きく育っていく。若さ故に一絃琴を理解できずにいる弟子の蘭子。跡目となることを疑わない蘭子は、一絃琴の行く末を危惧する苗の目からすると目の上のたんこぶ。赤子をもらい受け跡目にすると公言してしまう。気が狂わんばかりの蘭子は一絃琴を金輪際弾かないと心に決めてしまう。
    「女人思い凝れば白蛇と化す」初めて聞く言葉だがすんなり入ってくる。これはお互いさま。苗が白龍、蘭子が白蛇か。境遇や所作は違うが似ているところがあるのだろう。離れてもお互い意識し戦いあっていたことがうかがえる。
    晩年の蘭子は寂しさから一絃琴に目覚め、人間国宝となるまで昇華させる。
    人生うまくいくも、頓挫するもすべてが今のため、七転び八起きしてはじめて境地にたどり着けることを教えられた一冊。

  • 琴をめぐる小説ですが、琴の話というよりも、女の一生の話だと思いました。女性を主役とした時代小説の中でも、女性の、社会に規定されて出来上がった内面性だけでなく、本質的な内面性を描くその密度、質量が圧倒的な作品の一つだと思います。

  • 美しい音色を奏でるのは絃ではなく、
    張り詰めた強い意志。

    (以下抜粋)
    ○一つのものが二つに増えました。お目出たいしるし。(P.122)

    ○それは一季節限りの寒稽古でも真夏の鍛錬会でもなく、
     三百六十五日、降っても照っても六時起床からかっちり一時間を、
     昔手ほどきの「姫松小松」から順に一曲も落さず丁寧に浚えてゆく。(P.225)

  • 土佐の上士の娘、苗は桑屋敷のお袖様と後々まで呼ばれた賢夫人である祖母に厳しく育てられながら、5歳の時、旅絵師の亀岡の弾く一弦琴に魅入られる。盲目の師・有伯への想いと別れ、丸紋の琴への執着、名門の子女らを集めた塾の開塾。そして、そこで稀有な才能を持った弟子、蘭子と出会う。一弦琴一筋に生きた気骨のある土佐女二人の生涯を土佐女である筆者がぶれのない確かな筆致で描ききる。

  • 24冊目

  • 一絃琴を通して描かれる女性の一生。登場人物である苗、蘭子、稲子の一絃琴に対する思い入れの違いもさることながら、子供ができない事に対する三者三様の選択も興味深い。

  • この本以上に、女の一生を考えさせられる物語にまだ出会ったことがない。
    女の子として、娘として、友人として、妻として、母親として、祖母として、そして孫として…
    色々な立場を経験する女達。
    前の世代から、新たな世代へと移っていく。
    その移り代わりの中で見る一瞬の共感と反発。

    読んでから、もう10年近くたっているが、
    最後の数ページが頭から離れない。

  • 綺麗な日本語に触れたくなったら宮尾作品を読みます。心が洗われます。やっぱり日本人は日本語ですね。

  • この作者の作品は、高校の時『蔵』を読んで以来。
    女性の一代記の面白さは折り紙つきの宮尾登美子さん。

    久しぶりのためか、文体の古めかしさとか、漢字表記の古さになかなか最初はとっつけなくってのろのろ読み始めました。
    でも、苗が武家の娘としてのわきまえを持ちながらも健気に一絃琴に打ち込む姿に引き込まれて後半は一気読み。

    江戸時代後期から昭和を生きた女性たちの生き方や考え方は、確かに今とはまったく違って、堅苦しくて、不自由したんだろうなって思いながらも、生活の寝起きのことから、言動一つにしても、道理を思い、自分の立場をわきまえながら筋を通していたんだなって、その生き方はとても凛として美しいと思いました。

  • 第80回直木賞。
    一絃琴の伝統を受け継いでいく女性たちの話。
    土佐藩で生まれ育った沢村苗は、一絃琴を習う。師匠の死後、結婚してからはまったく琴を弾かなくなったが、市橋家に嫁いで10年後、琴を弾き始めると、あれよあれよと話が進み、塾を開くことになる。
    塾の全盛期には生徒は400人にも膨れ上がり、苗50歳の頃、跡取り(次期塾長)を考えた時、腕が立つ2人の生徒、家柄の良い蘭子と雑品屋の娘・雅美の名が挙がる。
    一絃琴というアイテムを通して、苗、苗の祖母・袖、蘭子、雅美、苗の子・稲子といった女性の生き方にクローズアップした小説。明治維新前後という時代背景が現代とはいささか異なるものの、女性が女性に抱く憧れや嫉妬などが描かれ、女性のもろさやたくましさが感じられる。
    一絃琴普及に尽力した実在の文人も登場し、ノンフィクション的な要素も感じられ、物語に壮大さを加えている。

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著者プロフィール

宮尾 登美子(みやお とみこ)
1926年4月13日 - 2014年12月30日
高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。
『一絃の琴』『鬼龍院花子の生涯』『天涯の花』など映画・ドラマ化された作品は多い。2005年NHK大河ドラマ『義経』は『宮尾本 平家物語』と『義経』が原作だった。2008年には『天璋院篤姫』が大河ドラマ化されている。

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