わたしクリスマスツリー

  • 講談社 (1990年1月1日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784061318724

感想・レビュー・書評

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  • いつもの図書館の絵本の特設コーナーが、クリスマス特集となっており、その中で一際、目を惹いたのが、佐野洋子さんの1990年の作品。

    そのタイトルを見て、とてもいじらしいものを感じさせられるのは、もみの木が自分で宣言しているだけで実現するかどうかは、まだ不明だからなのだが、その動機はやや具体性に欠き、とにかく『きれいな町でクリスマスツリーになることに』こだわっており、これを別の視点で見ると、今現在いる、その場所や環境に不満を持っているようにも思えてきて、さながら、大都会に憧れる地方の女の子みたいで、そこがまた、いじらしくもあるのだが。

    そんな思いを爆発させた、もみの木は、自ら根っこを引き抜いて、町へ向かう貨物列車の通過する駅に向かうのだが(その描写は中々にシュールなものがあり)・・結果として、町のきれいさよりも、心のきれいさに勝るものはないのではないか、ということを読んでいて実感させられ、色々あったけど、最後は温かい気持ちにさせられて、素敵なクリスマスになったね。

  • きれいな町でクリスマスツリーになりたいもみの木
    列車が通ったりする度に動物たちに様子を見に行かせるけれど、自分を迎えに来た様子はない
    待ちきれなくて根を引っこ抜いて町まで行くけれど、誰も相手にしてくれない
    しょんぼりして森に帰ると動物たちが木の実でもみの木を飾り立ててくれる
    上には大きな星も輝いている
    みんなでクリスマスを祝う

  • よく利用する図書室にクリスマスコーナーが出来ていたので、つい手を伸ばしてしまいました。

    山のふもとの雑木林に生えている、1本のもみの木。
    彼女は、林の中で静かな一生を送ることや、他の動植物たちと調和した生活をする事を潔しとしません。
    口癖は「わたしは クリスマスツリーに なるの。」。
    ある年、遂に我慢できなくなったもみの木は、力任せに地面から根っこを引き抜いてしまいます。目指すは、人間の元に運ばれていくもみの木たちを乗せた列車。ところが――……。

    「クリスマスツリーになりたい!」というもみの木は、お姫様やアイドルスターに憧れる頑是ない少女そのもの。
    後先考えずに突っ走ってしまうところは本当に冷や冷やするし、挫折する姿も痛々しいのだけど、そういう全てを糧にしてゆっくり大人になって欲しいなあと祈らずにいられません。
    何より、彼女の周囲の木々や動物たちが本当に優しくて、涙出そうになります。

  • クリスマスツリーになりたいモミの木が町を目指して駆け抜けます。
    動物たちの飾り付けがとても素敵です。

  • 町でクリスマスツリーになりたくて
    走るもみの木

    さすがのカオスっぷり

  • 大きな夢を持つのは構わない。
    だけどまずは、真っ直ぐ育て。

    そわそわそわそわ、周りに引っ張られて、そちらばっかり気にしていたのでは、幹が曲がってしまいます。
    それでは結局、立派なクリスマスツリーにはなれませんよ。

    まずは真っ直ぐ。
    大地に根を生やし、天に向かって真っ直ぐ育て。

  • クリスマスツリーになりたいもみの木は、ずっと自分が運ばれる日を夢見ていた。今年のクリスマスツリーになるもみの木が運ばれていってしまうと、意を決して根っこを地面から引き抜き、自分でツリーになるべく歩き出す!やっと辿り着いた駅は、寝静まっていて・・・・。自分のあるべき姿、居場所は、冒険したからこそ、見つかった。ラストもいい!!

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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