- 本 ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061323339
作品紹介・あらすじ
ぼうしの中には、まだ夏がある。
みんなであそんだ、あの海が。
「絵本にっぽん賞」受賞、「よい絵本」選定の名作を、新装版で!
感想・レビュー・書評
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わたしの なつは、
どこへ いって しまうの?
主人公「るるこ」の、おねえさんが秋だと言っても、まだ夏だと言い張り、むぎわらぼうしを被ろうとする、その一途な思いとは、いったいなんなのか?
それは、るるこの、繊細な心に触れる美しい物語。
表紙の、るるこの印象的な立ち姿は、決して恥ずかしがっているわけではなく、物語を読むと、その意味するところが分かり、背景の美しい海の光景が、まるで幻想味を帯びてくるような気がしてしまい、より切なさが増す。
むぎわらぼうしは、むぎわらの匂いであるとともに、ひなたの匂いがする。
それは、ちょうどあの時、飛んできたぼうしが、お日さまと重なった瞬間への入り口でもあった。
むぎわらぼうしさえあれば、夏は何処へもいかないと思っていたのに・・・背景の色の変化が、そのまま、るるこの心の思いを表している。
いや、無くたって、夏は毎年来るに決まっているじゃないかと、思われるかもしれないが、そうではなく、るるこにとっては、そのむぎわらぼうしと共にあった夏こそが、夏なのである。
繊細な少女が、かけがえのない一瞬のひと時を、どれだけ愛おしく大切に過ごし、かつ、それを、ずうっと思い続けているのかを教えてくれる物語は、いせさんの、きらきらした、美しくも胸に刺さる絵柄と共に、少女の心象風景も瑞々しく表現された、安易に「また夏は帰ってくるよ」とは言えないような、るるこ本人にしか分からない、るるこの感傷の物語であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
〝夏の初めに買ってもらった、<るるこ>の大好きな麦わら帽子・・・麦わら帽子の中には、みんなで遊んだ、あの夏の海がある・・・〟<竹下文子サン>作、<いせひでこサン>絵による「絵本にっぽん賞」を受賞した、懐かしい夏の日の思い出といじらしい子ども心が描かれた名作絵本。
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寂しげな少女、波のしぶき、風の描き方が良かった。
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色使いがきれいで、色による夏から秋へと季節が移り変わるさまの表現がよかったです。むぎわらぼうしに思い出のつまった夏が終わる切なさが感じられました。もう少しあとの季節に読むのにいいと思います。(メイ)
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懐かしくぼやけた自分の中の過去と再会できた。
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夏も終わりなのに大好きな麦わら帽子で出掛けようとする女の子。
お母さんは麦わら帽子を被るなら行かないのね、と。
壁に向かって麦わら帽子を深く被っているうちに麦わら帽子が降りてきて肩まで入ってしまい、ついに体がすっぽり入ってしまう。
そこは夏の海で兄弟たちと海に来ていたのだった。
風で海に飛ばされた麦わら帽子を兄弟が取ってくれて受け取ったところで気がつくと壁に向かって立っていた。
麦わら帽子は縫い目がほつれて被れなくなっていた。
麦わら帽子が肩まで降りてきたときに縫い目が破けたと思った。
夏の終わりを爽やかに感じる。
著者プロフィール
竹下文子の作品





