てんごくの おとうちゃん (講談社の創作絵本)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061323872

作品紹介・あらすじ

天国のおとうちゃん、元気にしてますか。 幼いころに亡くした父との、少ないけれど大切な思い出。人気絵本作家、長谷川義史が描く、温かいユーモアで包み込まれた父と子の交流が、心にしみ渡る一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 2008年発表。


    幼い頃亡くした父との思い出と
    父無き後の決意を、
    親しみやすい関西弁でユーモアと共に描いた
    心に沁みる絵本。


    この絵本は
    長谷川さん自身の
    子供の頃を描いた
    自伝的内容の
    亡き父への手紙です。

    キャッチボール、
    ひこうきショー、
    気前よく買ってくれたホットドック。

    小さな心に刻まれた
    思い出は尽きない。


    「かわいそうにと人は言うけれど、
    ぼくよりおとうちゃんのほうがかわいそうなんとちがうやろか」

    という言葉は
    まったくその通りだと思う。

    子供は大人が思うほど
    弱々しい存在じゃない。


    物語の中で、
    万引きをしそうになる「ぼく」をとどまらせたのは、
    天国へ行った
    おとうちゃんに会えなくなるという思いでした。
    (犯罪者になると地獄へ落ちるから)


    死んだハズのおとうちゃんに
    もう一度会うという不思議体験を
    セピア色に描いたページや、

    裏表紙のモノクロの家族写真が
    強烈に切なさを運んできます(T_T)



    自分自身、
    5歳の時に親父を亡くしています。

    昔気質な人で、
    飯食ってんのに平気でちゃぶ台ひっくり返すような
    リアル「星一徹」な人でした(笑)
    (漫画『巨人の星』に出てくるおとーちゃん)

    仕事はキラッキラのラメ衣装を着た
    プレスリーのイラストが
    バーンと描かれた(笑)
    ロックンロール号を操る
    長距離トラックの運ちゃんで、

    1ヶ月に2日しかない休日やのに、
    いつも俺たち兄弟が喜ぶ場所に
    ドライブに連れていってくれた♪

    周りのみんなは
    カッコ悪いってバカにしたけど、
    当時の俺は
    そのトラックに乗せてもらうのが
    なんや嬉しくて
    たまらんかったんですよね(^_^)


    自分が野球が好きで、本や活字中毒なのも
    親父の影響だし、
    バンドをやっているのもそう。

    カエルの子はカエルというか
    やっぱ血は争えんもんだし、

    自分の元となる
    揺るぎない『核』を作ってくれた人は、
    まぎれもなく親父だって
    今なら胸張って言える。



    生きたくても生きれなかった人たちがいる中、
    今生きてるって事は
    ほんまにありがたいことです。

    奢ることなく、
    先に逝ってしまった人たちの想いを
    無駄にすることなく、
    凛として生きていかなきゃって
    この物語を読んで改めて思いました。



    大切な人を亡くして戸惑う、
    沢山の「ぼく」に幸あれ。


    明日はもっと
    笑えますように。

    • まろんさん
      少ししか一緒にいられなかったとしても
      尊敬できるおとうさんがいるって、
      本当に素敵なことだと思います!

      円軌道の外さんは、草野球を教えたり...
      少ししか一緒にいられなかったとしても
      尊敬できるおとうさんがいるって、
      本当に素敵なことだと思います!

      円軌道の外さんは、草野球を教えたり
      絵本の読み聞かせをしたりの活動を通して
      おとうさんとはまた違った意味で
      たくさんのこどもたちの心と体を育ててあげていますよね(*^_^*)

      でも、勝手なイメージだけど
      「語らずとも何かを伝えられるような」というよりは
      言葉がすごく豊かな方なので
      ガマンしきれずに、思いの丈をついつい語りつくしてしまう気がします(笑)
      2012/06/06
    • onionさん
      円軌道の外さんのお人柄を作り上げる上で、
      大切で重要な思い出となるであろうこのエピソード。

      ちょっとだけ垣間見れた気がします。

      人は人と...
      円軌道の外さんのお人柄を作り上げる上で、
      大切で重要な思い出となるであろうこのエピソード。

      ちょっとだけ垣間見れた気がします。

      人は人と関ることで、成長していくものですよね。

      見知らぬ土地へ来て、確かにそばには一番の味方で同士と思える相手がいるはずなのに、友人もほとんどおらず、少々やさぐれた時期が長くなり、いよいよ日々の生活にも嫌気がさしていたそんなとき、ここで円軌道の外さんに出会えて、いろんな価値観や、それを作り上げているものに触れ、まだまだ出会いも捨てたもんじゃないなって、昨日頂いたコメント、それを受けてからの、本日偶然目にしたこちらの感想で、また少し希望みたいなものが沸いています。
      ステキな出会いに感謝。
      別件へ頂いたコメントを、場違いながらもこちらで返信。
      これからもよろしくお願いいたします。
      2012/06/29
    • 円軌道の外さん

      onionさん、
      あったかいコメント
      ありがとうございます(^O^)

      人は人と関ることで、成長していくって
      いい言葉だし、...

      onionさん、
      あったかいコメント
      ありがとうございます(^O^)

      人は人と関ることで、成長していくって
      いい言葉だし、
      共感同感です。


      人生は上手くいかないことのほうが実際多いけど、

      人と話すって
      気持ちが外に開いていくから
      悩み事があっても
      あれ、なんやったっけ?
      って話してるうちに
      忘れてたり(笑)


      凹んだ気持ちも誰かと話すと
      どっかへ飛んでいっちゃってますよね(笑)(^_^;)


      そう考えると
      やっぱ1人で生きてるつもりでいても、
      人は知らないうちに
      誰かに支えられて
      守られて生きてるって
      分かります☆


      それって
      気付くか
      気付けないかだけやと思うんです。


      自分が知らないだけで、
      誰かちゃんと見てくれてるんです。

      だから1人やと思っても
      1人やないです。


      誰も理解してくれへんと思う時は
      言って下さいね♪


      面白いこと言うのは
      得意なんで(笑)(^_^)v


      だから
      外に向かって
      声を出していくことや、

      誰かと繋がっていく強さを
      お互い投げ出さないよう
      肩の力を抜いて
      頑張りましょうo(^-^)o

      自分もここのみんなと話したり
      仕事でお客さんと
      どーでもいい会話してることが
      励みになってるし、
      笑顔の源です(*^o^*)


      こちらこそ
      できれば末永く
      よろしくお願いします☆


      2012/07/03
  • 夫を亡くした母親と父親を亡くした子ども。どちらが苦しくて悲しいのか。そして大変なのか。私の叔父さんは「子どもは周囲の人から『可哀想だね』と言ってもらえるけど、そんなことを母親は言ってもらえない。だから母親の方が大変」と言っていました。本当にそうなんでしょうか!?
    子どもと大人では背負える重さが違います。子どもは子どもの持てる分だけ悲しみや苦しみを背負うのです。大人にしたら、それは軽いのかもしれません。でも体の大きさと同様に心のキャパも違うのです。
    子どもは子どもで色々と感じて頑張っているのです。だから子どもも大人も大切な人を失ったのは同じで、その悲しみや苦しみは重さは違うけど同じなのです。
    この作品を叔父に読んでもらいたいです。

  • 天国のお父ちゃんに向けてのお手紙

    もうすぐ4年生になるぼくより

    読み聞かせ時間は4分ちょっとです
    ぶっつけで読むと読み手が泣いてしまうかも

  • これを淡々と読める人はいるんだろうか。毎回同じところで涙がこぼれる。

  • おとうさんを亡くした男の子が天国のおとうさんに向けて語りかけるように思い出を振り返る。
    大人が不用意に発する言葉…悪気は無いし、自分のことを思ってくれてるとを受け入れた上で「ちょっと違うなぁ」ってあたりに胸が締め付けられる。
    でも本人は至って淡々と語っているし、途中ぷっと吹き出す部分も。

    娘に読んでいて一番最後泣いてしまった。

  • 私は父の息子です。
    それは、私自身が父親となった今でも変わりません。
    将来、父が亡くなることがあっても、やはり変わりません。

    普段、これといって連絡を取り合わずにいても、父が私のことを折りにつけ心配していることは判ります。
    それは私が、思春期を迎えて無愛想になり、体格でも私を追い越した、息子に対して同じ思いを抱いているからです。

    私は、父の息子で、息子の父です。

    父親は、いつまでたっても、きっと死んでからも息子のことを心配するものなのでしょう。
    誤解を恐れずに言えば、それは妻や娘に対する愛情とは、ほんの少しだけベクトルが違うもののように思えます。

    私は、あえて歩調を合わせること無く、息子の前を歩きます。
    時折、思い出したように振り返り、「だいじょうぶかっ?」と声に出さずに尋ねます。
    息子は無愛想に頷くだけです。

    私が父に、そうしてきたように。
    かつて、きっと父も祖父に、そうしていたのでしょう。
    いつか、きっと息子も孫に、そうされるのでしょう。

    そんなことを考えさせられる、素敵な絵本です。

    全ての父親と息子達におすすめです。

  • 2008・12・18

  • 最後に近づくにつれて自然と涙が溢れてきました。

  • 長谷川 義史 (著)

  • 長男が幼稚園から借りてきました。どうしてこんな本を借りてきたんだ!って憤慨していたパパにこそ読み聞かせしてほしい一冊。私も途中涙ぐんでしまい危なかった。

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著者プロフィール

1961年、大阪府生まれ。『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版) で絵本デビュー。ユーモアあふれる作品を多数発表。2003年『おたまさんのおかいさん』(解放出版社)で講談社出版文化賞絵本賞、2005年『いろはにほへと』(BL出版)で日本絵本賞を受賞。2008年『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)で日本絵本賞、小学館児童出版文化賞を受賞。2019年『あめだま』(ブロンズ新社)で日本絵本賞翻訳絵本賞、読者賞受賞。2020年『マンマルさん』(クレヨンハウス)で産経児童出版文化賞翻訳作品賞、など多数受賞。

「2021年 『グーチョキパーのうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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