大きな木のような人 (講談社の創作絵本)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 526
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (54ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061323926

作品紹介・あらすじ

人はみな心の中に、一本の木をもっている。パリの植物園。植物学者との出会い。少女の心に、小さな芽が育ちはじめる-。

感想・レビュー・書評

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  • 人はみな心の中に
    一本の木をもっている…。


    パリの植物園を舞台に
    日本から来た
    絵を描くことが好きな少女『さえら』と、
    植物学者の『わたし』が出会い、
    やがて少女の心に
    小さな芽が育ち始める…。


    パリにある
    2本の樹齢400年の
    アカシアの木。

    その1本は
    同じ作者の名作
    『ルリユールおじさん』で描かれ
    (今作では主人公ソフィーも成長した姿で登場します)

    今回はもう1本の
    植物園で大事に育てられた木にまつわる
    暖かいストーリーになっています。


    孤独な少年と3本足の犬との出会いと別れを描いた『あの路』も
    いせひでこさんだったけど、
    この人の描く絵は
    どうしてこうも
    心に響くんだろう…。


    まるで上質な
    フランス映画を観ているかのような
    叙情的で詩情あふれる
    美しいカット割りと

    フランス国立自然史博物館をモデルに
    沢山の植物を
    その生態と共に
    丁寧に丁寧に描いた
    淡いグリーンを主とした
    繊細で優しい絵。


    孤独な少女が
    デッサンに来た植物園で
    向日葵の種をもらい
    育てることの楽しさと意味を知り、
    出会いと別れを経て
    少しずつ成長していく…。


    愛を知った
    植物を愛する少女
    『さえら』の
    健気な姿が
    本当にいとおしくてまぶしい。


    人間よりも長く長く生き
    沢山のものを見てきたであろう
    アカシアや
    プラタナスの木。


    自分の高校にも
    樹齢100年の木がありました。


    木は何も語らないけれど、
    沢山の季節やモノをずっとずっと
    見続けてきたんですよね。

    懐かしくて切なくて
    心のどこかに必ずある
    誰もが持つ記憶と共に。


    自分もいつか
    自然に還っていくその日まで、
    心の中の木を大事に育てていきたい。


    どちらかというと
    大人向けの絵本ですが、
    いつまでも心に残る
    ストーリーは勿論、

    とにかくため息が出るほど
    美しい絵を見るだけでも
    充分に価値のある作品です(^_^)


    是非とも続編で
    大人になった『さえら』を
    見てみたいなぁ〜♪

  • 大きな樹のような人
    Saera et le Botaniste

    扉を開けると語りかけてくる。
    「その木は、何も語らない。でも、たくさんの物語を知っている」

    夏のひととき、パリの植物園にやってきた少女さえら、フランス語の
    発音では「Ca et la あちこち」という意味の言葉と同じだそうです。
    植物園の中を飛び回りながら、輝く目をもって木々や、花を観察して
    行きます。スケッチブックには花の絵がいっぱい。

    水彩画の淡いタッチで描かれる、長い時を生きた木々は、その周りを
    楽しそうに巡るさえらを静かに見ています。

    400年も生きたアカシアの木。多くの物語を見てきた中、短い夏の間の
    少女の物語も、記憶の中にとどめたのでしょう。

    ルリユールおじさんのゾフィーも研究者になって登場。夏の終わりの
    プラタナスの木を背に、寂しそうに俯くさえらと先生の静かな風景が
    印象に残ります。

    「人はみな心の中に、一本の木をもっている」

  • 子供が読んでももちろんいいのですがこれぞ大人のための絵本、ですね。

    絵の力がすごい。心が洗われるようです。彼の視線が暖かい。さえらちゃんの抱えているものをその周りごと掬い上げるかのような暖かさを感じさせられます。

    「さえら」ってそういう意味があったのだな、と思います。
    子供が出来るならそんな名前をつけたいなと思いましたね。産まれる予定は全くないのですけれども。

    こういう人と人の関わりがあったとしたならお互いの心に一生残るでしょうね。なかなか「大きな木のような人」には巡り合えないものです。

  • 『人はみな心の中に、一本の木をもっている。』私はまだ木を持ってない…木とはどういう物なのだろうか?それを探しながら生きるのも悪くないのかな。

    この話は植物園のお話でどのページも色鮮やかで素晴らしい。主人公は少女サエラ。サエラとはフランス語で〈あちこち〉。植物園のあちこちに出没しては植物学者や庭師をてこずらせる。
    そんなサエラと一緒に植物園のあちこちで色んな花、色んな木を見るのは楽しかった。
    巻末に絵本に登場した植物の名前があるのもいい。

  • いせひでこさんの絵は美しいな。特に木々のみどりが。
    いせさんの作品は、子どもだけじゃなく、大人でもじゅうぶんに楽しめる絵本だと、胸をはって勧めたい。

    短い夏のあいだフランスにやってきていた日本人少女、サエラと植物学者の先生との、なんのことはないやりとり。
    サエラに干渉し過ぎない、植物園のスタッフたちのスタンスがとても好ましい。

    サエラが大人になったら、植物に携わる仕事をしてるのじゃないかしら。
    (前後してしまったけれど)ルリユールおじさんのソフィーが成長した姿を見せてくれたように、いつか、成長したサエラがちらりと出てくるお話が読めるかも!

  • 人はみな心の中に、一本の木をもっている。

    フランス語で「あちこち」という意味の「さえら」。
    その意味通り、さえらは植物園のあちこちに出没しては庭師達をてこずらせる。

    広大な植物園の中にそびえ立つ400歳のアカシアの木や250歳のプラタナスの木。
    こんな大先輩達に囲まれ見守られていると思うと何とも心強い。
    さえらが生まれてはじめて育てたひまわりも、さえらの心の中にしっかりと根をおろす。
    今日も大先輩の木々が静かに優しく植物園を訪れた人間達を見守ってくれている。
    いせひでこさんの淡い水彩画がとても優しい。

  • パリの植物園を舞台にしたお話。

    "植物園。門をはいると、空気がかわる。"

    という始まり。そうそう!私の好きな植物園も、パリじゃないけど、門を入ると空気が変わる!などと思い嬉しくなる。
    植物園のいろんな風景や木々が本当に美しく、優しく描かれていて、他の作品と同じく静かなエネルギーが本と私の間の空気を通して伝わってくる。

    色使いにハッとし、構図に驚き、物語を味わう間に終わってしまう。絵本だけど、もっと10倍くらい分厚くてずっと見ていられたらいいのにと、ワガママなことを考えてしまう。植物園好き、樹木好き、生態好き、庭好きとしては、ものすごく好みな一冊。

    • naosampoさん
      10倍くらい分厚いいせさんの絵本に出会えるといいですね。^ ^
      10倍くらい分厚いいせさんの絵本に出会えるといいですね。^ ^
      2017/05/02
  • 日本からやってきて植物園に通いつめる女の子さえら。そして、優しく見守りながら植物の事をさりげなく教えてくれる植物学者さんとの交流。ルリユールおじさんに出てきたソフィーの成長した姿も見られました。一夏の出来事を木は確かに見つめて記憶している。表紙の木を挟んで背中合わせの二人がすごく好き。

  • 『ルリユールおじさん』と繋がっていて、ファンにはうれしい作品v

  • 「木のあかちゃんズ」で魅了された、いせひでこさんの世界。植物園に訪れるだけの目的で、パリを旅する贅沢な夢をみる。

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プロフィール

画家、絵本作家。1949年生まれ。

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