はるねこ (講談社の創作絵本)

  • 講談社 (2011年2月16日発売)
3.98
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本棚登録 : 264
感想 : 23
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  • 本 ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061324558

作品紹介・あらすじ

四季ねこ えほん 春

今年はなかなか春がきません。“はるねこ”が「はるのたね」をなくしてしまったらしいのです。そこで、あやははるねこと、おりがみで春をつくることにします。

ふしぎな猫と少女の出会いを描いた、心あたたまる物語。

※読み聞かせ 5歳から
 ひとり読み 7歳から

・文/かんのゆうこさんからのメッセージ
以前、あるテディベア作家さんの作品を見ていたときのことです。
テディベアが並ぶ中、なぜかいっぴきだけ、ねこがちょこんとすわっていました。
そのねこが、今までに見たことのない、若草色をしたねこだったのです。
それがとても心に残り、いつか若草色のねこの話を書きたいなぁ、と思っていました。
季節は……そう、春がいい。そこには春を待ちわびる女の子がいて……。
だんだんと私のイメージはふくらみ、このお話が生まれました。
松成さんの描いてくださった、いのちの輝きあふれる春の世界を存分に味わいながら、
はるねこの物語を楽しんでいただけたらうれしいなぁ、と思います。

・絵/松成真理子さんからのメッセージ
はるねこ はるねこ わかくさいろのねこ なくしたきんちゃくぶくろに はるのたね。
「えー!わかくさいろの ねこですって?」と、最初にお話の中のあやちゃんみたいに驚いた後、猫を飼ったことがないので、近所の猫を観察に出かけました。こちらから声をかけると大抵、無視出来ずに振り向いてしまうようです。そして“目ぢからくらべ”をした後 、『私たちの猫時間に何か用でも? 用がないなら行くわよニャ~』と言って去っていきました。猫時間を大切にしているんですね。ごはんの時間、猫会議の時間、ひなたぼっこの時間はことさらに。どの猫も一人前(一匹前)に堂々と誇らしく見えて素敵でした。
丁度今頃、はるねこが、はるのたねをはこんでいます。もうすぐ春がやってきます。

感想・レビュー・書評

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  •  かんのゆうこさんの「四季ねこ」シリーズの、春バージョンは、これまで読んできた、「あきねこ」や「ふゆねこ」とも共通するものとして、その季節でしか味わえない雰囲気を、五感で見事に体感させてくれた、絵本ならではの、色鮮やかに柔らかく匂い立つような、暖かい春を楽しめる作品です。

     また、これまでの、ねこが何かをしてあげる物語とは対照的に、ねこが子どもに助けてもらう物語には、春の到来と重ね合わせた、希望の到来を叶うことが出来るのが、まるで純粋無垢な子どもであるようにも思われた、そんな前向きで健気な明るさが、爽やかな春の到来と見事に呼応しているようで、心地好く感じられると共に、それを叶えるための鍵が子どもの折り紙である点も、とても印象に残ります。

     折り紙には、子どもが自らの創造力と手で新しい何かを生み出すイメージがあり、私が子どもの頃、初めて鶴を折り上げた時の喜びが忘れられないように、その過程には、まるで命を吹き込んでいるような特別な気持ちを抱いていた、そんな子どもにとって、夢のあるものからは、もしかしたら、いろんな春も折り上げることが出来るかもしれないねといった、素敵な気持ちにさせられる展開が、まさに子どもにとって、春を心待ちにするだけでなく、自分で呼び寄せたくなる心境にさせてくれるような、そんなワクワク感があり、しかもそれが春の象徴でもある、はるねこにとっての喜びにもなることには、まるで子どもと春に共通点があるような様に、人と自然が共存するあり方を教えてくれるようです。

     そして、そんな子どもの無垢な気持ちを後押ししてくれるのが、松成真理子さんの、まるで子どもが描いたような夢の中の心象風景に近い、素朴でメルヘンチックな感覚の中に、色鮮やかで立体的な五感を心地好く刺激してくれる水彩画であり、表紙の絵こそ少し怖いイメージがあったものの、物語の展開を追っていく内に、それも次第に消えていき、そこには、女の子「あや」とはるねこが一緒に楽しみながら、春を作り上げてゆく過程を知ることで、絵も優しいものに感じられていった、そんな二人の純粋無垢な思いと、かんのさんの文章と松成さんの絵とが、こんなにも見事に結実した一体感は、淡い水色の空と、桃色と黄色の花々と、たくさんの動物たちに囲まれた中を吹き抜ける、春一番の風からも実感させてくれた、春の持つ、明るく爽やかな希望の力を、改めて教えてくれます。

  • はるをよぶ ねこの 絵本ですね。
    かんのゆうこさんの四季のねこシリーズのはるです。
    ぶんは かんのゆうこさん、東京生まれ。絵本作家。
    えは 松成真理子さん(1959ー)大分県生まれ大阪育ち。イラストレーター、絵本作家。

     あやちゃんのもとに いっつうの てがみと、わかくさいろの きんちゃくぶくろが とどきました。
    きょねんの はるさきに であった はるねことの
    ものがたりが はじまります。

    春にふさわしい、夢のあるファンタジーで、ワクワクする絵本です。
    絵も水彩画で、優しく春の薫りがわきたつような、ふわりとした爽やかな魅力的な作品です。
    今の季節にぴったりな絵本を楽しませていただきました。

  • たださんのレビューで春夏秋冬のシリーズだと知ったこの絵本。
    図書館で4冊まとめて大人借りをしましたのよ(*´∇`*)
    はるねこはずっと表紙だけ知っていて、今回初めて読みました。
    春が来るための仕事をしているのがはるねこなのね…!
    そして春一番に乗って帰っていく。
    可愛いー♡
    おっちょこちょいなところもまた可愛い。

    • たださん
      翠さん、こんにちは♪

      すごい、四冊全て同じ図書館にあったのですね! 横に並べてみると、さぞ壮観な眺めなのでしょうね(´▽`)

      「はるねこ...
      翠さん、こんにちは♪

      すごい、四冊全て同じ図書館にあったのですね! 横に並べてみると、さぞ壮観な眺めなのでしょうね(´▽`)

      「はるねこ」の翠さんの視点に、なるほどと感じまして、女の子の存在がはるねこにとって必然だった関係性だからこそ、はるねこの個性も活かされているのだなと感じ、明るい色合いも含めて、とても爽やかな絵本ですよね。
      2024/08/11
    • 翠さん
      たださん、こんにちは(^^)
      実は4冊まとめて予約しちゃったんです(=^x^=)
      4冊並べて見るのは読み終わってからのお楽しみにとってあるん...
      たださん、こんにちは(^^)
      実は4冊まとめて予約しちゃったんです(=^x^=)
      4冊並べて見るのは読み終わってからのお楽しみにとってあるんです♪

      表紙のはるねこの頭に乗ってる袋、裏表紙に落ちてるんですよね(*´∇`*)
      凄く近くに落ちてる感がなんとも愛らしいです♡
      2024/08/11
  • はるねこ
    かんのゆうこ[文] 松成真理子[絵]

    踊るような軽やかさの表題に、新緑のような柔らかなグリーンのはるねこちゃん、鳥さん、春の虫たちも喜んでいるような春の庭が、表装の一面に広がっています。(裏まで繋がっています!)

    開くと、始まりのページに2枚の葉っぱのお手紙に、肉球スタンプと巾着袋が描かれています。
    葉っぱのお手紙は1枚にお礼の言葉があり、もう一枚は半分だけしかありません。ちょっと気になる、
    小さな謎のようですね。笑

    そしてそして。
    はるねこちゃんがとにかく可愛らしいんです。
    はるねこちゃんのお手伝いをするあやちゃんも、
    大活躍です。

    絵もお話も、本当に素敵で、めくるページに春が溢れていきます。

    図書館で予約して、ようやく順番が回ってきました。人気なのも納得です。
    何度でも、はるねこちゃんに会いたくなってしまいますね〜

    最高に素敵な絵本です。

    (こちらも、ひだまりトマトさんの本棚で出会えた素敵な一冊です。ありがとうございました。)

    • ひだまりトマトさん
      ありがとうございます。
      新刊ですから、まだ図書館は無理ですね。
      リクエストしてみます。
      今年は暑いですから、ご自愛下さい。
      元気に(病気持ち...
      ありがとうございます。
      新刊ですから、まだ図書館は無理ですね。
      リクエストしてみます。
      今年は暑いですから、ご自愛下さい。
      元気に(病気持ちですけど、笑)読書を楽しみましょう♪
      2024/05/24
    • メメさん
      ひだまりトマトさんも、夏の日差しに注意して、ご自愛くださいませ。
      (お名前の表記、変換に気付かず失礼しました。(>人<;)日常も、こーゆー感...
      ひだまりトマトさんも、夏の日差しに注意して、ご自愛くださいませ。
      (お名前の表記、変換に気付かず失礼しました。(>人<;)日常も、こーゆー感じなんですよ〜汗
      これからも、笑ってお付き合いいただければ幸いです。また、愉しみに拝読させていただきます。)
      2024/05/24
    • ひだまりトマトさん
      ありがとうございました。
      こちらこそお願いします!
      ありがとうございました。
      こちらこそお願いします!
      2024/05/24
  • 春がなかなかやって来なかった去年、困っていた「はるねこ」を、お手伝いした、折り紙の得意な女の子「あや」。はるねことあやの手から、折り紙から生まれた春が広がる様子が素敵です。

  • ブクともさん(と言うのかな?)の感想を見て読みたくなったので図書館で借りた。
    柔らかく明るい色彩の本で、今の季節にもぴったりだ。
    春、ねこ、巾着袋、折り紙…。私の好きなものが出てくる素敵な絵本でした^_^

  • “春の種” を入れた巾着袋をなくしてしまい、春を運んでこれなくなった「はるねこ」...。気の毒に思った少女<あや>が、不思議な折り紙を使って、あたり一面カラフルな花を咲かせ、蝶々や昆虫を飛ばしてみせる “花吹雪の乙女” を描いた、「四季ねこ」シリ-ズの「春の巻」。

  • 絵や色彩が素敵。春を思いっきり感じられる絵本。

  • >今年はなかなか春がきません。
    “はるねこ”が「はるのたね」をなくしてしまったらしいのです。
    そこで、あやははるねこと、おりがみで春をつくることにします。

    まだ風は冷たいけれど確実に春はやって来ていると感じる今日このごろ・・・
    きれいな若草色の表紙に惹かれて手に取りました。

    なかなか春がやってこないのは、はるねこが「はるのたね」が詰まった巾着袋を落としてしまったからだそう。
    あやちゃんが折り紙で春を作る手伝いをする様子はとても楽しそうでかわいい。
    1年前を思い出しているあやちゃんがちょっとお姉さんになっているのもいいなと思いました。

    かんのゆうこさん文で画家は違う『なつねこ』『あきねこ』『ふゆねこ』も季節を待って読みたいです。

  •  もう春がやって来てもいいころなのに、野原には花が咲かず、ちょうちょうも姿を見せません。
     あやちゃんは早く外で遊びたいのに、外はとても寒そう。そこへ若草色の猫が迷い込んできて…
     本のページをめくると、春らしい色取り取りの花が目に飛び込んでくる、この季節にぴったりの1冊です。

    広報いわみざわ(2011年5月)
     わくわく図書館「この1冊読んでみませんか」より引用。
    http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      春爛漫って感じ。良い色合いだなぁ、、、現物を見てみよっと!
      春爛漫って感じ。良い色合いだなぁ、、、現物を見てみよっと!
      2012/04/12
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著者プロフィール

東京都生まれ。東京女学館短期大学文科卒業。児童書に、 「ソラタとヒナタ」シリーズ(絵・くまあやこ)、「はりねずみのルーチカ」シリーズ「りりかさんのぬいぐるみ診療所」シリーズ(ともに絵・北見葉胡)(いずれも講談社)、 『とびらの向こうに』(絵・みやこしあきこ/岩崎書店)など。 絵本に、『はるねこ』(絵・松成真理子)、『はこちゃん』(絵・江頭路子)、プラネタリウム番組にもなった『星うさぎと月のふね』(絵・田中鮎子)(以上、講談社)などがある。

「2023年 『はりねずみのルーチカ 精霊たちのすむところ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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