幼い子は微笑む (講談社の創作絵本)

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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061332805

作品紹介・あらすじ

「幼い子は微笑む」は、長田弘氏の詩集『奇跡-ミラクル-』(2013年刊行、みすず書房)の巻頭を飾る詩です。
 この一編の詩に魅了された絵本作家のいせひでこ氏が、生前の長田氏との約束を果たし、ついに絵本として完成させた入魂の一冊です。
 前作『最初の質問』に続く、詩人と画家の奏でる交響曲のような絵本です。

「人がほんとうに幸福でいられるのは、おそらくは、
何かを覚えることがただ微笑だけをもたらす、
幼いときの、何一つ覚えてもいない、
ほんのわずかなあいだだけなのだと思う」(抜粋)

※すべての漢字にルビ付

感想・レビュー・書評

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  • あと、どれくらい生きれるか分からないが、あるがままの自分でいたい。
    そして微笑んでいたい。
    幼い子は微笑む (講談社の創作絵本)
    2016.02発行。字の大きさは…中。

    【思い】
    大好きないせさんの絵を見て、長田さん詩を読んでいると、この「幼い子は微笑む」の全文を書き写して置かなければと思い、Wordに打ちこんでしまいました。読みながら書き終わって、少し疲れました。何か、重いです……。
    工藤直子さんの詩「よいしょ」を読んで、ニコニコしていた顔が、長田さんの詩を読んで書き写した、いまは、無表情に、重く疲れています。なぜ、これほどまで心に深く沈んでいくのか……。
    この衝撃と書き写したあとの重さは、どこからきているのだ……

    【読後】
    これを読んで、全文を書き写して、重く疲れた。
    なぜなのか…と、考えてみた。
    微笑ことを忘れている自分に行き当たるのか?
    そして、この70年で得たものより失ったものが多かったのか?
    否定するのは簡単だ。
    言葉が、人と人を結びつけ。笑顔が、繋がりを生む。
    人生は、後戻りはできない。
    これからの生き方にかかっているのか…と。
    あと、どれくらい生きれるか分からないが、あるがままの自分でいたい。
    そして微笑んでいたい。
    32ページ
    2021.08.05読了

    【全文】
    声をあげて、泣くことを覚えた。
    泣きつづけて、黙ることを覚えた。
    両の掌(てのひら)をしっかりと握りしめ、
    まぶたを静かに閉じることも覚えた。
    穏やかに眠ることを覚えた。
    ふっと目を開けて、人の顔を
    じーつと見つめることも覚えた。
    そして、幼い子は微笑んだ。
    この世で人が最初に覚える
    ことばでないことばが、微笑(びしょう)だ。
    人を人たらしめる、古い古い原初のことば。
    ひとがほんとうに幸福でいられるのは、おそらくは、
    何かを覚えることがただ微笑だけをもたらす、
    幼いときの、何一つ覚えていない、
    ほんのわずかなあいだだけなのだと思う。
    立つこと。歩くこと。立ちどまること。
    ここからそこへ、一人でゆくこと。
    できなかったことが、できるようになること。
    何かを覚えることは、何かを得るということだろうか。
    違う。覚えることは、覚えて得るものよりも、
    もっとずっと、多くのものを失うことだ。
    人は、ことばを覚えて、幸福を失う。
    そして、覚えたことばと
    おなじだけの悲しみを知る者になる。
    まだことばを知らないので、幼い子は微笑む。
    微笑むことしか知らないので、幼い子は微笑む
    もう微笑むことをしない人たちを見て、
    幼い子は微笑む。
    なぜ、長じて、人は
    質(ただ)さなくなるのか。たとえ幸福を失っても、
    人生はなお微笑するに足りるだろうかと。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ※工藤直子さんの最初に読んだ詩集です。
    そして、工藤直子さんが大好きになった記念すべき詩集です。

    詩を読みながら、くすくすと微笑んでいる自分にビックリする。
    詩集を読むのは、何十年ぶりかな…。
    皆様のレビューの中に、「にこにこ微笑みながらおしゃべりしているような詩集」と有ったので、すぐ図書館に予約しました。まさにレビューのとおり、「にこにこ微笑みながらおしゃべりしているような詩集」です。
    有難う御座います。
    いま何回も繰り返し読んでいます。
    このレビューを書きながら、顔がニコニコしているのが自分でも分かります。

    「なんとなく・青空」 2019.12.11読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4579304314#
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 希望に満ちている幼い子。
    未知の世界へと一生懸命な姿。
    目にするもの。
    できること。
    覚えることが、失うことにもなる。

    とても優しく愛らしい絵に淡々と現実を語る詩。

    印象深い詩は、

    人は、ことばを覚えて、幸福を失う。
    そして、覚えたことばと
    おなじだけの悲しみを知る者になる。

  • 詩人である、長田弘さんのことは、いせひでこさんの絵本を図書館で探している時に、初めて知りました。

    幻想的で壮大な木と共に描かれる絵柄の中で、幼い子の微笑みを、「この世で人が最初に覚えることばではないことば」と表現されていることに、すごく神秘的なようでいて、何か納得させられるものも感じられました。

    確かに幼い子の微笑みは、自分の子でなくても、見ているだけで、本当に幸せな気持ちにさせられるのは、何故だろうと思う。純粋に可愛いというのもあるとは思うが、異性に対する気持ちや動物に対するそれとも違う気がする。

    まして、私自身にも、その幸福でいられるわずかなあいだを体験しているはずだが、全く思い出せない。ただ、何も言わずとも微笑みが訴えかけるものを、相手が無意識に感じ取っているからこそ、微笑みだけであっても、何かを投げかけているような感覚にさせられるのかもしれない。「人が人たらしめる、古い古い原初のことば」というのも、人だけの特別なものに感じられ、おもわず不思議で畏まった気分になる。

    また、その後の

    「覚えることは、覚えて得るものよりも、もっとずっと、多くのものを失うことだ」や、

    「人は、ことばを覚えて、幸福を失う。そして、覚えたことばとおなじだけの悲しみを知る者になる」

    には、自意識を持つが故の、生きることの困難さを表現していると共に、長田さんの優しさのようなものも感じられました。人生の無常さを実感しながらも、悲しみを知ることは悪いことばかりでは無いと私は思いたい。

    そして最後の

    「なぜ、長じて、人は質さなくなるのか。たとえ幸福を失っても、人生はなお微笑するに足るだろうかと。」

    には、辛く厳しいと感じながらも、今後一生考えていくことだろうなと、思わずにはいられなかったし、この詩が書かれたのが、東日本大震災の後ということを鑑みると、また違った思いもこみ上げてきます(長田さんは福島市出身)。

    私のように、いせひでこさんの作品で初めて長田さんの存在を知る方もいらっしゃると思うので、こうしたコラボレーションは、すごく良いと思いましたし、長田さんの詩集も読んでみたいと思いました。

    • Macomi55さん
      たださん、はじめまして。いつも有難うございます。
      長田さんの言葉、本当に深いですね。
      そういえば、苦労や悲しみを知って、学習して言葉を覚えて...
      たださん、はじめまして。いつも有難うございます。
      長田さんの言葉、本当に深いですね。
      そういえば、苦労や悲しみを知って、学習して言葉を覚えてきた気がします。
      失敗を繰り返す子供にも「覚えておきなさい」と言って傷つけて、そのたびに微笑みを一つずつ失わせていったのかも。
      あの幸せな微笑みを思い出す一瞬一瞬を大切にしていきたいと思います。
      私も読んでみようと思います。

      2021/05/04
    • たださん
      Macomi55さん、はじめまして。
      こちらこそ、いつもありがとうございます。

      そうですね、私も長田さんの言葉には深いものを感じて、最初は...
      Macomi55さん、はじめまして。
      こちらこそ、いつもありがとうございます。

      そうですね、私も長田さんの言葉には深いものを感じて、最初は現実の辛さを思い知らされたようで、落ち込んだりもしたのですが、これを書かれた時の長田さんは、どんな気持ちだったのかなと思うと、勇気づけられる思いにもなりました。

      最後の一文には、微笑に足る可能性があるかどうかは、その人次第だと言われている気もしますしね。

      それから、Macomi55さんの言うとおり、幼い子供の微笑みが最大の幸福にしているのもまた、私たち人間なのかもしれませんね。他の人の微笑みを絶やさないように心掛けることは、私たちはひとりでなく、つながりがあるようにも感じられて、これからの生き方を考えさせられました。

      私の感想で、興味を持っていただけたなんて、大変恐縮なのですが、嬉しいです。
      Macomi55さんの感想、楽しみにしてますね。
      2021/05/05
  • 長田弘さん・いせひでこさんのコンビは絵本「最初の質問」以来かと思います。ので目に止まってすぐに手に取りました。
    帯のいせひでこさんの一言に今はもういらっしゃらない長田さんを思う気持ちが滲んでいてまず、心が揺れます。

    いせさんの絵は優しく暖かい。透明感のある繊細な赤ちゃんの絵が続きます。
    長田さんの詩は暖かくも厳しく人生の確信をついています。一番最後の絵のないページの長田さんの詩は、長田さんの、詩人としての最後の厳しいメッセージが籠められているかのようです。

    もっとお二人のコンビの作品が読みたかったですね。
    大人にこそ読んでいただきたい絵本です。

  • 数少ない言葉をとても大切に選んで紡いでいる。
    素晴らしい。
    新生児のパワーと幸福と、周りを幸せにする微笑みと
    いせひでこ氏の絵がまた優しくふんわりと包み込んでいる。素晴らしい。

    なぜ、長じて、人は
    質さなくなるのか。たとえ幸福を失っても、
    人生はなお微笑するに足るだろうかと。

  • 長田弘氏の、詩集、エッセイどれも必読、、、

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    「幼い子は微笑む」は、長田弘氏の詩集『奇跡-ミラクル-』(2013年刊行、みすず書房)の巻頭を飾る詩です。
     この一編の詩に魅了された絵本作家のいせひでこ氏が、生前の長田氏との約束を果たし、ついに絵本として完成させた入魂の一冊です。
     前作『最初の質問』に続く、詩人と画家の奏でる交響曲のような絵本です。

    「人がほんとうに幸福でいられるのは、おそらくは、
    何かを覚えることがただ微笑だけをもたらす、
    幼いときの、何一つ覚えてもいない、
    ほんのわずかなあいだだけなのだと思う」(抜粋)

    ※すべての漢字にルビ付
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061332805

  • 我が子が、孫が、初めてみせた微笑みに、どれだけ感動したことか、その笑顔に思わず微笑み返さずにいられませんでした。<いせひでこ>さんの優しさに包まれた絵のなかで、<長田弘>さんは、人は長じて世の中の悲しみを知って言葉を失い、微笑が絶え、幸せを失っていく。それでも人生はなお、微笑むに足るものなのかを問いかけます。人は波乱の人生を生きていかねばならない、だからこそ、幼い子が微笑むような清らかな心をもち続けよう、というメッセ-ジを受けとめました。

  • 「幼い子は微笑む」は長田弘氏の詩集『奇跡-ミラクル-』の巻頭を飾る詩だそう。
    この詩に魅了されたいせひでこさんが、生前の長田さんとの約束を果たし、ついに絵本として完成させたとのこと。

    絵と詩が寄り添っている感じでとても素敵だけど、じっくり読んでいくと、なんて深くて難しいんだろう・・・

    >人がほんとうに幸福でいられるのは、おそらくは、
    何かを覚えることがただ微笑だけをもたらす、
    幼いときの、何一つ覚えてもいない、
    ほんのわずかなあいだだけなのだと思う

    幼い子の微笑みを見て感じるほわっとした気持ちの理由が分かったような気がしました。

  • 『人がほんとうに幸福でいられるのは、おそらくは、何かを覚えることがただ微笑だけをもたらす、幼いときの、何一つ覚えてもいない、ほんのわずかなあいだだけなのだと想う。』

  •  立つこと、歩くこと、立ちどまること、ここからそこへ一人でゆくこと。できなかったことが、できるようになること。人はことばを覚えて、幸福を失う。まだことばを知らないので、幼い子は微笑む。 長田弘・詩&いせひでこ・絵「幼い子は微笑む」、2016.2発行。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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