田中角栄研究全記録 下 (講談社文庫 た 7-2)

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  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061341692

感想・レビュー・書評

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  • 本巻の中心はロッキード事件であり、上巻と同様、当時の雑誌記事やその後に書かれたものなどで編制されている。

    必ずしもストーリーが一本でつながっているわけではないが、立花の取材力と洞察は見事である。

    本巻で印象に残ったのが、自民党という私的機関の、総裁選という私的選挙が、実質的にこの国の首相を決める選挙になっているという指摘である。私的選挙であるためカネで票を買っても公選法違反とはならないため、このことが田中の金権政治を生み出したという。

    現在はどうか分からないが、ちょうど本書を再読している時に、自民党の総裁選が行われようとしている。そして、その当選者がそのまま次の首相になる。

    こうしてみると、ロッキード事件当時と現在とで、それほど変わっていないのではないかと思う。

    この状況を変えるために何が必要なのかは明白だろう。

  • 1982年刊。ロッキード事件を中心に論じられている。著者自身の解説が付記されており、刊行当時から振り返った実相も触れられている。

  • [ 内容 ]
    <上>
    きのうまで田中角栄は日本の英雄であった。
    日中国交回復と列島改造を叫んで華やかに登場してきた男が、実はいま金権政治の元凶として裁かれている。
    首相の座が金で買われ、政治が金で動かされていった戦後保守支配体制下最大の構造的腐敗の暗部を、厖大な取材データの分析で実証する著者執念の記録。

    <下>
    ロッキード疑獄とは、田中金脈事件の一環であり、ひいては、日本の保守支配体制の構造的腐敗そのものの表われである。
    5億円収賄の発覚から田中元総理の逮捕にいたるまで、田中批判を戦闘的に持続させていった著者の論稿の数々は、困難な状況を切り拓き、現代ジャーナリズムの質を変革しつつある。

    [ 目次 ]
    <上>


    <下>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 児玉氏の部分を読む。立花氏と言えども、CIAとの関係を調べるのは難しかったようです。現在の研究では、周辺にはいたが、正式のエージェントではなかった。何故ならば、CIAが、児玉氏を信用できなかったからだそうです。真相は、どうなのでしょう。

  •  ロッキード事件における田中角栄逮捕について膨大な量の情報収集を基に記した、立花隆を一躍有名にした一冊。当時の週刊誌への執筆と本人の振り返りが書かれている。

     事件の根というより立花の膨大な情報にただただ圧倒される一冊。ロッキードはロッキードだけにあらず。児玉登志男に代表される戦時から戦後への日本政治の闇のフィクサー達の暗躍、戦闘機や航空機の購入に絡む謀略、金まみれの田中政治にCIA、アメリカとの関係... もうとにかくただただすごい。山崎豊子の「不毛地帯」をもっと激しくしたようなことが、現実に(おそらく)起こっていたのだ。これは歴史に残るノンフィクションだ。
     立花の徹底した田中への追求ぶりが光る。政治はお金に汚いものだからというあきらめを決して認めない。強い意志を感じる。

     フィクサー児玉との関係を全ての政治家が否定する中、ハマコーさんだけが「昔、児玉の書生をしてました」って答えてしまうのに大爆笑。
     こんなネタももりだくさん。もうとにかく情報の量と質がすごい。

     圧倒される情報量。とにかく読み進んでしまう、ひきこまれてしまう面白さがここにある。
     戦後日本を考える上で必ず読まなければいけない一冊。

  • 下巻は、主にロッキード事件について。ほとんどの記事は、事件がホットに動いている時期に書いてあるが、その背景説明の解説もあるので、あまり前提知識が無くても、読んでいける。
    それにしても、こういった事件に対して、(理系に進んだせいもあるかもしれないが)学校で習った記憶が全く無いが、それいいのか・・・?日本史、世界史も大事だが、自分と直接に関りがでてくる現代史もすごく大事なのでは?なぜか、学校の授業では、現代史はおまけ程度だった気がする。

  • 絶版なのが惜しいですね。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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