- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061361263
感想・レビュー・書評
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和平交渉に奔走した関谷の最後の言葉「私は軍人として正しい事をしたのだろうか?」が胸を打つ。今井書記官の返電「無念なり」もまた…。
本当に無念なり。それ以上言葉がない作品だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第二次大戦末期、中立国スイスで繰り広げられる諜報戦と終戦工作。破滅に向かおうとしている日本を救おうとする人たちの行動に涙しました。D機関とは、初代CIA長官アレン・ダレス機関のことです。
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最近、新装版が出たことに興味を覚え、本棚の奥から旧版を取り出し、30年ぶりに再読。
今では、十津川トラベルミステリーに特化している著者であるが、初期には実に多彩な作品を書いていた。
社会派推理の『四つの終止符』『天使の傷痕』、海洋を舞台にした『発信人は死者』『消えたタンカー』、ポアロ、メグレ、明智小五郎などが登場するパロディミステリーの『名探偵は・・・』シリーズ等々。そして本作。
第二次世界大戦終戦間近のヨーロッパに派遣された海軍将校の活躍を描いており、解説を読むとベースとなる歴史的事実があったとか。スパイ小説であるとともに、歴史ミステリーの側面もあり、新装版が出たことに納得。 -
スパイもので『D機関』
『ジョーカー・ゲーム』よりもだいぶ以前に、西村京太郎によってこんな話が書かれていたんですね。
昭和十九年三月十九日。海軍中佐関谷直人に密命が下る。
「中立国スイスに赴き、水銀を買い付けよ」
かくして関谷はジェラルミンケース二つに振り分けた金100キロを携え、潜水艦に便乗し単身スイスに赴きます。
さあ、そこからは誰が敵か味方か、無事に水銀は買い付けられるのか、はたまたどうなるのか。
スパイものでもあり歴史ミステリでもありました。戦争に翻弄される男達の苦さが伝わってきます。
この話もある種のサプライズエンディングというのでしょうか。「こういう落とし方もあるのか」と軽くショックを受けました。
そしてなによりベースとなる実話があったということに驚きます。 -
日本を守る、というのはどういうことなのかを考えるに、様々な考え方がある、ということを改めて目の当たりにした
関谷中佐の表裏のないところが、日本らしくもあり、哀しくもあり
めちゃくちゃ面白かった、、、 -
スパイ小説。 『ジョーカーゲーム』の「D機関」と関係が有るのか気になったので読んでみた。 主人公はスパイじゃなくて海軍の関根中佐。舞台はスイス。周りは各国のスパイだらけ。「私は××国のスパイです」って名乗る事は無いので憶測かも知れない。 超人的な活躍をするわけでは無いけど楽しめた。 全体的に読点が多くて読み難く感じる事もあった。 実話を基にしたフィクション。 古いけど読む価値は有り。 『ジョーカーゲーム』と同じく「D機関」は登場する。しかし日本の組織じゃなくてアメリカの組織。 あだ名は、結城中佐の「魔王」に対しDは「セイント」。解説によると、『D機関情報』が書かれた頃に数冊のスパイ小説が刊行。その中の作者の1人が結城昌治。
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イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/4396717.html)
日本推理作家協会賞候補(20回/1967年) -
<b>「私は、軍人として、正しいことをしたのだろうか? それが、気になってならないのです」<br>
「正しかったに決っています」<br>
今井書記官が励ますようにいうと、関谷は、頷いて瞳を閉じた。<br>
「祖国を破滅から救おうという行為が、間違っている筈がないじゃありませんか?」</b><br>
(P.331)
著者プロフィール
西村京太郎の作品





