- Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061361355
感想・レビュー・書評
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「西村京太郎」の長篇ミステリ作品『殺しの双曲線』を読みました。
『新装版 天使の傷痕』に続き、「西村京太郎」の作品です。
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差出人不明で、東北の山荘への招待状が6名の男女に届けられた。
彼らは半信半疑で出かけて行く。
雪に埋もれ、幸福感に酔っていた彼らはやがて恐怖のどん底に突き落とされた。
殺人が発生したのだ。
しかも順々に……。
「クリスティ女史」の名作『そして誰もいなくなった』に、異色の様式で挑戦する本格推理長篇。
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1971年(昭和46年)に発表された作品、、、
「アガサ・クリスティ」の名作『そして誰もいなくなった』への挑戦、吹雪の山荘ものの傑作… とか、双生児の替玉トリックとクローズド・サークルを主眼とした本格推理の傑作… と呼ばれている作品なので、いつかは読みたいと思っていた一冊です。
差出人不詳の、東北の山荘・観雪荘への招待状が、六名の男女に届けられた、、、
東京在住のタイピスト「戸部京子」は、婚約者の「森口克郎」とスキーを楽しみに雪深い観雪荘を訪れた… そこで自分たちと同じように東京から招待された風俗嬢の「太地亜矢子」、サラリーマンの「矢部一郎」、犯罪学を研究している大学の研究生「五十嵐哲也」、タクシー運転手の「田島信夫」と合流した。
そして、彼らを観雪荘の主人「早川」が出迎えた… ところが、初めから暗く沈んだ顔をしていた「矢部」が内側から鍵のかかった部屋で首を吊って死んでいるのが見つかった、、、
自殺かと思われたが、壁には「かくて第一の復讐が行われた」という言葉と、奇妙なマークを描いたカードが画鋲でピン止めされていた… さらに電話線が切られ、唯一の交通手段である雪上車も何者かに破壊され、宿泊客全員のスキーが折られてしまい、深い雪に囲まれた山荘は交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。
そして、そこで巻き起こる連続殺人… 雪のために孤立した山荘で順番に殺されてゆく……。
「西村京太郎」の作品は相変わらず読みやすいですね… もちろん、作品が魅力的だということもあるし、テンポが良いので飽きさせずに一気に読ませる感じ、、、
東京で起こった連続強盗事件と、雪山の山荘で繰り広げられる連続殺人事件が並行して描かれ、どこでこの二つのエピソードが交叉するのか… 気になって次々とページを捲りました。
オープニングでいきなり「この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。」と種明かしされることによりミスリードさせられる… という展開も印象的でしたね… 面白かったです。
以下、主な登場人物です。
「戸部 京子」
「観雪荘」の招待客。鉄鋼会社に勤めるタイピスト。22歳。
「森口 克郎」
「観雪荘」の招待客。京子の婚約者。平凡なサラリーマン。25歳。
「太地 亜矢子」
ソープランドの風俗嬢。23歳。
「矢部 一郎」
「観雪荘」の招待客。サラリーマン。25,6歳。
「五十嵐 哲也」
「観雪荘」の招待客。犯罪学を研究している大学の研究生。25歳。
「田島 信夫」
「観雪荘」の招待客。タクシーの運転手。25,6歳。
「早川 謙」
「観雪荘」の主人。25,6歳。
「小柴 勝男」
セールスマン。利男の双生児の兄。25歳。
「小柴 利男」
勝男の双生児の弟。25歳。
「工藤」
警視庁捜査一課の警部。連続強盗事件の捜査主任。
「宮地」
連続強盗事件担当のベテラン刑事。
「鈴木」
連続強盗事件担当の刑事。
「沢木」
タクシー強盗殺人事件担当の若手刑事。
「西崎 純」
中央新聞社の記者。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古い。
当時はとても衝撃的な作品だったんだろうな。
本作を参考にした作品は多そう。 -
普通のミステリ。古い。
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高校生の頃読んだ本だが、当時かなりの衝撃を受けた
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久しぶりに『推理小説を読む』ということを堪能した。
作者は、メイントリックが双生児であることを利用したものであるということを冒頭で明かしている。これでわたしたち読者に対してフェアであるということなのだ。
さあ、推理を楽しんでごらんと言っているかのように。
勿論それを言葉通りに受け取ってしまったのでは、犯人は当てることができない。
東京で一卵性のとてもよく似た双子であることを利用した強盗事件が起こる。犯人の目星はたっているがある理由から逮捕することはできない。
もう一方で、宮城県の雪深い山奥にあるホテルに招待された男女とオーナーを含めた計7人が閉ざされた建物の中で次々と殺されていく。そしてその犯行現場には、謎のマークとともに復讐が行われたと書かれたカードが残されていた。
もちろん、東京と宮城で起こった事件は関連があるに決まっている。
が、しかしどうやって?
ちゃんと読めば犯人は分かるようになっている。
ミスリードもなくどんでん返しもない、読み終わったあとに騙されたという腑に落ちない気持ちにもならない、正統派の推理小説だと思う。分かりそうで分からない、薄々真実が見えてくる(ような気がする)感じがワクワクした。
太地亜也子の職業が、わたしが読んだ本ではトルコ嬢という記載になっており、セリフの語尾の「~だと思うワ」「ひどいワ」の片仮名の使い方が古さを感じさせたが、内容的には今でも充分に斬新なトリックだと思う。
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1971年発表の作品ですが、そんなに古さは感じませんでした。
最初に双子を使ってると読者に教えてくれるところから一気読み。続きが気になってページをめくる手が止まりませんでした。
犯人は最初から思っていた人で当たってましたが、それでもめっちゃ楽しめました。
西村京太郎さんはトラベルミステリーばかり書いてはるイメージでしたが、こんな本格ミステリーも書かれていてやっぱり凄い方ですね。
ただ「そして誰もいなくなった」のネタバレがちょいちょいあるのは残念でした。
私は以前読んでいたので大丈夫でしたが、これから読まれる方は楽しめないと思うので・・・
それ以外は本当に楽しめる作品でした。 -
双子が二組はわかったが、何のために入れ替えトリックをしたか不明