すばらしい新世界 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061370012

作品紹介・あらすじ

人工授精やフリーセックスによる家庭の否定、条件反射的教育で管理される階級社会――かくてバラ色の陶酔に包まれ、とどまるところを知らぬ機械文明の発達が行きついた“すばらしい世界”!人間が自らの尊厳を見失うその恐るべき逆ユートピアの姿を、諧謔と皮肉の文体でリアルに描いた文明論的SF小説。

感想・レビュー・書評

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  • いわゆる共産主義的な理想国家像と資本主義的な退廃(幸福の追求)とをミックスさせてすばらしき新世界という悪夢を描き出している。ある意味、理想国家というものの持つ非人間性を突きつけてくれる良書ではあった。

  • 『愛するということ』や『ハーモニー』でも言及されていたので、ぜひ読みたいと思っていた一冊。

    この本が書かれた時代背景にナチスによる全体主義的な活動が活発に行われていたというのがあるが、実際に物語の中にもそのようなことが、暗に表現されている箇所が散見された。

    読み応えがあったのは、やはり後半の総統とジョンとのやりとりで、幸福を実現するためには、芸術、科学、宗教を抑制し、本来の人間的なあり方を追究させないようにする必要があるというところに、大いなる矛盾があって考えさせるところがあった。

    安直に「全員幸せな世界にしたい」というと、衣食住は保障され、嫌なことがあるとソーマを飲んで忘れることができ、好きな時にフリーセックスができるような世界になってしまうことを考えると、幸せや幸福という言葉は軽々しくは使えないと思った。

    『ハーモニー』で出てくる「リソース意識」は、本書の「万人は万人のためのもの」と合致するしこの手のユートピア系の小説は、ある種全体主義的な側面が必須なのかもしれない。

    J.S.ミルの「満足した豚よりも不満足なソクラテスの方が良い」という言葉が思い出される。

  • 人に薦められて読みました。文体がまどろっこしく(良くいえばリアルで丁寧な描写)、場面がぽんぽん変わる部分もあって、最初はとても読みづらくわかりづらい。けれど、よく練られた世界観と、そうあらねばならない理由(賛同するかは別として)に一貫性があって、だんだん話に引き込まれます。今読んでも面白い内容ですが、娯楽的ではないです。

  • 本や芸術に興味を持たないようにプログラムされて生まれてくる人々。
    人々の幸福と引き換えに、科学と芸術、宗教を犠牲にすることに決めた総統とそれに反発する野蛮人の後半の対話は、もはや物語の全て!!

    その中でも、
    人々は今や孤独を感じない、孤独に強く反発するように訓練されている、
    という総統の言葉にゾッとした。
    SNSで常に友達と繋がっている、今日の世界かなぁ。

  • なにがきっかけかは覚えていないが,気づいたらAmazonのウィッシュリストに入っていたので読んでみた。家族を持たず,母親や父親を持たず,機械から生まれてくる子どもたち。子どもたちは生まれながらにして社会的階層が予め,しかも,人為的で残酷な方法で決まっており,知的生産をするものから,体が不自由で満足に仕事ができないものまで,この世界に存在する。そして,彼らは「ソーマ」という薬物によって自らの不安や憂いを消し,ただただ,機械的に過ごしている。最初は「なんとおもしろい世界だなぁ」と思っていたが,読み進めるうちに登場してくるジョンの視点を通して,その世界がいかに狂ったものであるかを感じるようになる。そして,自分自身の世界が,ここに描かれたディストピアと実は表裏一体なのではないかとドキドキした。個人的には,世界統制官のムスタファ・モンドが魅力的なキャラクターだ。彼がこの物語で最も報われない悲しい人物なのではないかと思う。
    この物語が1932年に記されたものだ。そうとは思えないほど,おもしろい話であった。

  • ジャンルとしてはディストピアやアンチ・ユートピアなどと呼ばれるタイプのSFですが、徹底的に管理された社会ではなく、安定のために合理化が推し進められた世界というのは私には新鮮であり、おぞましくもありました。生まれる(この世界では「生産」といった方がふさわしい表現です)前から階級が決められ「条件反射教育で奴隷化」されている人々に気味の悪さを感じるのですが、よくよく考えてみれば私たちが暮らす現実の社会も近い面を持っているような気もしたりで少し複雑な気分です。娯楽性は低いですが、パンチの効いた作品だと思います。

  • 「犠牲なしの進歩はありえない」ぐへえ。気持ち悪くて読むのが苦痛。『ピダハン』と同時期に読んだので“蛮人”がピダハンに脳内変換。(でもピダハンは蛮人ではない。)久しぶりに講談社文庫よんだけれども文字に濃淡があるのは印刷の不手際?(作家の意図かと思ったくらい)
    くるしいかなしいなんて気分はナンセンス、いやなときは薬を飲めばいんんじゃない?という解決方法はまさに現代への警笛。
    この本を読んだあとで海外の本を読むと「ハクスリーが描くような世界」というのが比喩としてよくつかわれているように気がつく。この本自体は苦手だが今後の読書の理解には繋がる。

  • 対価無くして幸福を、得るのは良くないと感じた。
    今後、人が科学技術に隷属しないか心配になった。

  • 解説
    年譜

  • 17章のジョンとモンドの対話シーンのアツさ。何年か経ってから読み返したい。

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