すばらしい新世界 (講談社文庫)

制作 : Aldous Huxley  松村 達雄 
  • 講談社
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本棚登録 : 881
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061370012

感想・レビュー・書評

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  • 文体がまわりくどい上に、視点がぽんぽん変わる。読むのに手こずらされた。

    壜の中での人工授精という古典的なアイデアの嚆矢は、『すばらしい新世界』なのだろうか。完全なる計画経済、あらゆる因習の否定、国家公認の抗鬱剤。日本が新感覚派だのプロレタリア文学だのと騒いでいた時期、H・G・ウェルズの国ではこんなにも進んだ小説が発表されていた。改めて、驚かされる。

    ディストピア文学としては、『われら』や『1984年』の方がいい。しかし『すばらしい新世界』は、科学と宗教の対立を掘り下げ、社会性と自己同一性の対立へと至る展開が頭ひとつ抜けて強烈だった。具体的にいって、ミスター・サヴェジ(野蛮人)とレーニナの関係だ。ジッドそこのけの敬虔主義。徹底された管理社会で人間性を保とうとすれば、こんなことになってしまうのか、という驚異のラストだった。

  • いわゆる共産主義的な理想国家像と資本主義的な退廃(幸福の追求)とをミックスさせてすばらしき新世界という悪夢を描き出している。ある意味、理想国家というものの持つ非人間性を突きつけてくれる良書ではあった。

  • ジャンルとしてはディストピアやアンチ・ユートピアなどと呼ばれるタイプのSFですが、徹底的に管理された社会ではなく、安定のために合理化が推し進められた世界というのは私には新鮮であり、おぞましくもありました。生まれる(この世界では「生産」といった方がふさわしい表現です)前から階級が決められ「条件反射教育で奴隷化」されている人々に気味の悪さを感じるのですが、よくよく考えてみれば私たちが暮らす現実の社会も近い面を持っているような気もしたりで少し複雑な気分です。娯楽性は低いですが、パンチの効いた作品だと思います。

  • 「犠牲なしの進歩はありえない」ぐへえ。気持ち悪くて読むのが苦痛。『ピダハン』と同時期に読んだので“蛮人”がピダハンに脳内変換。(でもピダハンは蛮人ではない。)久しぶりに講談社文庫よんだけれども文字に濃淡があるのは印刷の不手際?(作家の意図かと思ったくらい)
    くるしいかなしいなんて気分はナンセンス、いやなときは薬を飲めばいんんじゃない?という解決方法はまさに現代への警笛。
    この本を読んだあとで海外の本を読むと「ハクスリーが描くような世界」というのが比喩としてよくつかわれているように気がつく。この本自体は苦手だが今後の読書の理解には繋がる。

  • 【ノート】
    ・完全な管理体制が出来上がった未来の世界。人間は受胎によらず、遺伝子操作で生まれてくる。最初から社会的ヒエラルキーのどこに属するかも決定される完全な階級社会。しかも生まれた後の睡眠学習によって、自分が属する階級を素晴らしいと信じこむようにインプリンティングされるため、社会的な不満は皆無。私的所有は争いの火種となり、忌避されるためフリーセックスの世界。嫌なことやネガティブな感情が出てきたらソーマ錠という薬で多幸感を得る。

    ・ディストピアSF小説の古典だけど、実は初めて読んだ。1932年発表だけど古臭さは皆無。体制側の理屈にはかなりの説得力がある。しかも、その管轄者が、ちゃんと文化だとか選択のある自由の代償として、この文明形態を採った根拠や思想を自覚した上できちんと選択しているというのも盤石感、ハンパねっす。でも、そんな世界は、やっぱりイヤだよねえと感じている自分の心情(信条?)ってのは、じゃあどの程度のものなのかという不安感を呼び覚まされた。

    ・ハックスリーは「知覚の扉(未読)」なんて本も書いてるから、ディックみたいにラリった内容かとおもったけど、そういうことは全然なかった。

  • 近未来を描く小説。人工受精、肉体の人工的な物理的差異且つ条件反射教育による階級社会、フリーセックス、死、老いへの恐怖の克服…。これが1932(昭和7)年に書かれたとは。80年代に手にしたはずが読んでなかったのでこの歳になって初めて読了。

  • 完璧に管理された人口、完全なる階級制、家族制度の全廃、などによって実現されたすばらしい新世界に、ひょんなことから旧世界の野蛮人が登場するおはなし。

    登場人物たちの考え方は、共感できたと思いきやすぐに理解できないものになってしまう。ふしぎ。お前さっきと言ってること全然違くない?などとしょっちゅう思ってしまう。でも実際のところは変わってなどいないのである。
    なんとなく「みんな」に馴染めない気持ち、家族水入らずで過ごしたい気持ち、好きな人と早くいやらしいことをしたい気持ち、本を読みたい気持ち、なんも気にしたくない気持ち、などなど、どれもこれも身に覚えのある気持ちばかり…だけど、読者の私はどれかひとつだけで生きてるわけではない。
    それぞれ突き詰めるとこんな気持ちの悪いものになってしまうのか…と思った。

  • ジーザスがフォードに置き換わって、人工的に人口調節して母親が子供を産まなくなった世界。現代人はこの話の人物らの思考にどんどん近づいているように思えてしまう。それが良いとか悪いとかはわからないが…。

  • ディストピア小説、触手で。

    あのハックスリーのご子息とは知りませんでした。赤顔。

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