ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061380851

感想・レビュー・書評

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  • 今年は作者のトーベさん生誕100周年ということで、ムーミンを改めて読み返してみました。
    やっぱりムーミンの世界観は大好きです。
    世界観といっても、ムーミンたちと私たちの考え方は似ているように思います。
    1人になりたくなったり、面倒な人付き合いをしたり・・・大人ならこれを読んで、「分かるなぁ」と思ってしまうのではないでしょうか。

    あくまで児童書の分類ですが、大人こそ読むべき、大人にしかわからない話もあります。
    このムーミンは短編集なので、気軽にムーミンの世界を覗けて楽しめる一冊だと思います。

  • スナフキンのような生き方に憧れ、ムーミンママのような暖かい女性になりたいけれど、いまの私は皮肉屋さんの小さいミィ。

    ラストの『もみの木』がおもしろい☆

  • 「この世のおわりにおびえるフィリヨンカ」が一番好き。
    なんということはないけれど、なにかが起こるのではないかと怯えていたフィリヨンカ。
    カーテンを洗っていても、お茶を飲んでいても、心のどこかに怯えを持っていて、それを分かち合える人もいない。

    人はみんな、多かれ少なかれフィリヨンカなんだと思う。

  • ムーミンシリーズの短編集。原作では「彗星」から数えて6巻目にあたる。各編のタイトルは、春のしらべ/ぞっとする話/この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ/世界でいちばんさいごのりゅう/しずかなのがすきなヘムレンさん/目に見えない子/ニョロニョロのひみつ/スニフとセドリックのこと/もみの木。

  • <絵本喫茶の思い出>


     カビの生えそうなほど古いビルの最上階が、童話のイメージで内装を変え、雰囲気のあるレストランに生まれかわっていました。夜の食事&バータイムはなかなかの繁盛なので、一人でふらっと立ち寄るなら、昼間のカフェタイム。一息には飲めないこっくりしたコーヒー、絵本の中から抜け出てきたようなセンスのよいデザートと、静かな時間を楽しめました。
     温かい黒すぐりのジュースが美味しかった。店主は旅好きで、姿かたちは似ていないけれど、全身からスナフキンのようなオーラを揺らめかせていました。お茶やスイーツを運んでくる女の子は、さらさらの綺麗な髪を結い上げ、歩きながら柔らかな空気を辺りに放っていました☆ 髪型だけはミイみたいな、優しそうな、不思議な女の子。ひそかに憧れていました。
     店の人がコーヒーを淹れている隙に、片隅の本棚に近づいてみました。やっぱりひっそり並んでいました、ムーミンの文庫版や漫画本が! 大事に読まれているのが手触りで分かりました。
     本棚を少し目立たせて、絵本フェアということにしていた時期もありましたね。二日続けてお茶に行ったものです。一日目は何となく緊張してコーヒーだけ頂き、鞄に入っていたいつもの本を読んでしまいました。古い香水のしみた汚い栞を忘れていった。捨ててしまっただろうと思ってました。
     二日目、特製の絵本喫茶セットを頼みました。今度こそ、お店の本棚にあった絵本をめくっていたら、憧れの女の子がふわっと現れました。先日忘れていった栞を手に☆ 私は不器用に「ありがとうございます」を三遍繰り返すしかできなかった。注文以外で彼女の声をきけた嬉しさ半分、まともな会話を成立させられなかった情けなさへの自己嫌悪も半分。

     その後、カフェ時間はなくなってしまったけど、あの女の子は今でも働いているだろうか? 深夜ざわめく店内で彼女がお酒を運んでいる絵は、どうしても想像できないでいます。

  • 素晴らしい短編集。登録してなかったとは。

    たたかうってことをおぼえないうちは、あんたには自分の顔はもてません。
    ミィはいつも良いことを言う。

    ムーミンパパはいつも別の人生に憧れている。そして自分の人生から立ち去って、自分自身を見失って、確かなのは自分を愛してくれた人の愛情だけと気づいた時に、居心地の良い小さなベランダと愛しい妻の傍にある人生こそが最高の人生だと確認するんだ。それにしても、一体何回家出するんだか。

    自分自身のいうことと、いくとこを持っているかが重要だ。

  • いやーこりゃすごい。どの短編も名作。

    ・春のしらべ
    p16
    スナフキンのセリフがすごい。
    「おまえさん、あんまりおまえさんがだれかを崇拝したら、ほんとの自由はえられないんだぜ。ぼく、よく知ってるがね。
    はい虫に対して言う言葉。だけどつれなかったスナフキンも、ティーティ=ウーと名前をつけてやったこのはい虫のことが気になって仕方なくて。。
    素敵なお話です。
    わたしはこのお話を春になったら必ず読むことにしよう。

    ・ぞっとする話
    想像力豊かな子供が、現実と想像の世界との境界がわからなくなって、頭の中で考えたことが現実になってしまったりする様子がなんともよく表現されていて面白い。

    ・この世のおわりにおびえるフィリフィヨンカ
    凝り固まった頭で何かに怯えていたフィリフィヨンカが、執着していたものを失ったことで解放され、自由を得るというのがなんとも清々しい。重要な教訓を含んでるよなあ。

    ・世界でいちばんさいごのりゅう
    スナフキンとムーミンとりゅうを恋愛における三角関係として読むと、なかなかに悲しいお話。スナフキンの優しさが沁みる。

    ・しずかなのがすきなヘムレンさん
    ほんわか、しみじみします。
    とくに公園ができあがったとき。

    ・目にみえない子
    これはほんと考えさせられるお話。
    虐待を受けた子は透明になって見えなくなってしまう、という。
    自分の本当の感情をあらわにしたとき、初めて姿をあらわすのです。

    ・ニョロニョロのひみつ
    電気を起こすニョロニョロ。
    最後の「家にかえったら、けっして電灯はひかないことにしよう。いつまでもふるい石油ランプをつかんだ」というパパのセリフから、もしやニョロニョロって原発の隠喩か?と思ったけどそれはうがった読み方かな。
    パパの締めの言葉、「家にいても、ほんとうのパパがそうであるべきほどには、自分はじゅうぶん自由で冒険ずきでいられるのだ、と。」ってのもいい。ほんとにそうだと思う。

    ・スニフとセドリックのこと
    未読。

    ・もみの木
    ムーミンたちはクリスマスを知らないんだねえ!
    とてもユーモラスなお話。

  • 短編集。
    彗星、ムーミン一家を読んでから読むとやや挿絵のクオリティが気になる。
    短編ということで、ムーミン以外の登場人物が主役になることが多く、楽しめた。
    話のオチをじんわり考えさせられる終わりが多い。
    特に「ニョロニョロのひみつ」のラストで、パパがあることを悟る終わり方がとても好き。

  • ムーミンシリーズで最高傑作だと思います。
    後半の冬シリーズなので、かなり完成度の高い短編集になってます。

  • ムーミンシリーズの中でも異色の短編集です。他のシリーズでは、主役はムーミン一家といつもの面々ですが、この短編集では主役が「誰それ?」と言いたくなるようなマイナーな顔ぶれ。まさしく「ムーミン谷の仲間達」が短編作品ごとに主役になっています。「しずかなのが好きなヘムレンさん」と「目に見えない子」が特に好きです。

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著者プロフィール

1914年、ヘルシンキ生まれ。画家・作家。父が彫刻家、母が画家という芸術家一家に育つ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。66年、国際アンデルセン賞作家賞、84年にフィンランド国民文学賞を受賞。主な作品に、「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)、『彫刻家の娘』『少女ソフィアの夏』(以上講談社)など。

「2023年 『MOOMIN ポストカードブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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