武器としての決断思考 (星海社新書)

著者 :
  • 星海社
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本棚登録 : 8335
感想 : 1006
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385016

作品紹介・あらすじ

2019年8月10日、瀧本哲史さん逝去―。代表作が本書となります。

本書は、著者がいま、京都大学で二十歳前後の学生に教えている「意志決定の授業」を一冊に凝縮したものです。今後、カオスの時代を生きていく若い世代にいちばん必要なのは、意思決定の方法を学ぶことであり、決断力を身につけることです。もう過去のやり方は通用しないし、人生のレールみたいなものもなくなってしまいました。「答え」は誰も教えてはくれません。となれば、自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていくしかないのです。仕事をどうするか、家庭をどうするか、人生をどうするか?この本で私と一緒に「自分で答えを出すための思考法」を学んでいきましょう。きっと、あなたの人生を変える授業になるはずです。

感想・レビュー・書評

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  • 瀧本氏が京大で教えていた講義内容をまとめた本。
    ディベートの考え方をもとにした「決断思考」について、若い世代が武器としての教養として身に付けられるように、ということで、ディベートの際の論理思考を繰り返し説いている。

    相手の主張の突き崩し方も書いてあるが、1番大切なのは、世の中は急速に変化しているから、完璧な正解を導き出すことよりも「今の最善解」を導き出し、状況が変化したら、またそのときの最善解を出せばよい=自分の主張を変えたっていい、ということ。これには完全に同意する。

    意外だったのは、相手を油断させると本音を引き出しやすくなるから、ディベートにおいても、「バカを装って知らないフリをして、話全体を自分の知りたい方向性に持っていくのが、優秀なディベーターの条件」だと言っていること。瀧本さんでもそんなフリをしたんだろうか??

    ともあれ、自分は直感で判断しがちなので、普段から、もっとディベートの考え方を意識しようと思う。

  • さっそく要約してしまうと、

    情報を、自ら求めて、自分の脳に汗をかいて考える癖を身に付ける。その考え方は常に主観と客観を行き来できるような柔軟性を持つこと。
    こういったことが分かる本だと思います。

    この思考法はディベートで鍛えられ、ディベート方法のやり方をこと細かにレクチャーしてくれています。なので、本書ではディベートのハウツー本としても使えます。

    20代のビジネスパーソンは必読書です。

    • りまのさん
      20代ではないけれど。論理思考が苦手な私は、気になる本です。
      20代ではないけれど。論理思考が苦手な私は、気になる本です。
      2020/08/02
    • SHO_0113_さん
      論理思考はどんな年代においても身につけていると便利なスキルですよね
      論理思考はどんな年代においても身につけていると便利なスキルですよね
      2020/08/02
  • 【感想】
    本書ではディベートのやり方を紹介しながら、個人が頭の中で行う意思決定までその原理を拡張し、「決断思考」こそがこれからの武器になる、と論じている。討議の準備の進め方から反論の際のポイントまで細かく紹介してあり、かなりためになる一冊だった。

    ディベート思考とは「迷わないための技術」ではなく、「迷うための技術」だ。

    私たちは日々決断にさらされている。色々なモノと選択肢が身の回りに溢れるようになった弊害として、人は些細な選択から人生を決める大きな決断まで、常に取捨選択を行っている。ときにはその多さに辟易してしまい、「もう迷いたくない」と思うかもしれない。

    しかし、一番まずいのは「一切迷わないこと」である。
    一切迷わないとは、自分の頭が凝り固まってしまっていて、どんな反論をされようとも自説を曲げない状態にほかならない。有益な情報や多様な意見に対しても門戸を閉ざすようでいては、生き方が自分本位に狭められてしまう。

    これを解きほぐすのがディベート思考である。

    ディベートの際には、賛成陣営か反対陣営かはディベート「直前」に決められるため、AとBの両方の意見を調べ、どちらになろうとも対応できるようにしておかなければならない。自分に都合の悪い意見や、自分の価値観からは出てこなかった意見もすべて含めて、頭の中で咀嚼してからディベートに臨まなければ、勝利は見えないだろう。

    これが考え方の多様性を産む。自分以外の思考に目を向け、反対意見を一度受け入れるという土壌が整うのだ。(一方、ディベートは正反対の意見で争う討議のため、見解が多様化するわけではなく、むしろ極端な意見に偏るとも言われている。ここは注意すべきポイントだろう)

    そして、ディベートは何も話し合いのためだけに使うものではない。自分の頭を整理し、重大な局面における決断に磨きをかける方法としても使える。

    ディベート思考は迷わないための技術ではない。いくつもの選択肢に迷った末に、自分の頭で決断を下すための技術なのだ。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    【本書のまとめ】
    1 知識ではなく考え方を学ぶ
    20代の若者が身につけるべきは「意思決定の方法」である。決断するための思考法といってもよい。

    実学には「知識・判断・行動」という三段階が存在する。知識を持っていても、それがなんらかの判断に繋がらなければ、そして、判断に繋がっても行動に落とし込めなければ、意味はない。

    目指すべきなのは、エキスパート(専門家)ではなくプロフェッショナルである。プロフェッショナルとは、
    1 専門的な知識・経験に加えて、横断的な知識・経験を持っている
    2 それらをもとに、相手のニーズに合ったものを提供できる
    人物のこと。
    要は、学問の横穴をつなぎ、全体を見て判断できる人物のことだ。

    自分の人生は自分で決める時代において、意思決定の方法を学ぶことは最大のリスクヘッジになる。


    2 ディベート思考
    ディベート思考の考え方:結論の内容以上に、結論にいたる筋道が重要。また、正解ではなく、現状の「最善解」を導き出すことが重要である。

    ディベートにはテーマがあるが、「日本をよくするためには」や「若者が活躍するためには」といった、漠然としたものではいけない。ディベートでは漠然とした問題を「具体的に」考えることが必要になる。
    1 二者択一になるくらい具体的なものを選ぶ
    2 議論に値するものを選ぶ
    3 明確に結論が出るものを選ぶ
    上記3つに加えて、論題は「具体的な行動を取るべきか否か」にする。(例:原発を停止させるか否か)

    論題を考える際には、大きな問題から小さい問題へ、同時に複数の論題について考えていく。
    (例)
    「サッカー日本代表がワールドカップで活躍するには何をすべきか?」
    →・監督の強化
    ・選手の育成方法
    ・協会の運営方法

    大きな1つの論題から3つの小問題に分け、その施策を取ることで、どういった因果関係を経て、日本代表が強くなるのか考えていく。

    監督の強化→監督が海外にいくことで、世界中のサッカーチームの戦略やノウハウを学べる
    →海外チームと選手のネットワークができる
    →選手のレベルアップにもつながる
    →選手の育成方法にもつながる

    絞り込んだ論題から起きる展開を考えていって、横に拡散し、繋げていく。
    このようにして、他の三要素とどんどんリンクしていくことができれば、よいディベートの論題になる。


    3 意思決定の際、メリットとデメリットを比較する
    どのような基準に照らし合わせて意思決定を行えばいいのか?
    答えとしては、ある行動を取った時に生じるメリットとデメリットを比較して、やるやらないを決めるのがよい。

    〇メリットの条件
    ①ある問題が存在し、(内因性)
    ②その問題を放置しておくとさらに大きな問題が生まれるため、(重要性)
    ③この行動を取れば解決できる(解決性)

    〇デメリットの条件
    ①その行動により新たな問題が発生し、(発生過程)
    ②その問題が深刻であり、(深刻性)
    ③現状ではそのような問題が生じていない(固有性)

    以上のようにメリットデメリットを比較検討し、どちらのウエイトが大きいかによって決断すること。


    4 反論
    ディベートは反論の応酬によって討議を深めていく。
    反論のやり方は、メリットとデメリットの3つずつにそれぞれツッコミを入れることである。
    各条件2つずつ、計6つの方向から反論すれば相手を崩せる可能性が高まる。6つの方向は以下の通り。

    ●メリット
    「内因性への反論」=そんな問題はそもそもないのでは?
    ①プランを取らなくても問題は解決する
    ②そもそも現状に問題はない
    「重要性への反論」=問題だとしても、たいした問題ではないのでは?
    ③質的に重要ではない
    ④量的に重要ではない
    「解決性への反論」=重要な問題だとしても、その方法では解決しないのでは?
    ⑤プランを取っても別の要因が生じるため、問題は解決しない
    ⑥プランは問題の原因を正しく解決しない

    ●デメリット
    「発生過程への反論」=新たな問題は生じないのでは?
    ①プランだけではデメリット発生にはいたらない
    ②プランの影響はデメリット発生にいたるには弱すぎる
    「深刻性への反論」=問題が生じたとしても、大した問題ではないのでは?
    ③質的に問題ではない
    ④量的に問題ではない
    「固有性への反論」=重要な問題だとしても、すでにその問題は生じているのでは?
    ⑤プランを取っていない現状でも問題は起こっている
    ⑥プランを取らなくても、将来、同様の問題が起きる

    大切なことは、「できるかぎり多くの視点から自分の意見や相手の主張をチェックする」ということだ。もれなく、ダブりなくが基本となる。


    5 正しい主張
    ディベートを終えた後は、審判がどちらが優勢だったかを判定するわけだが、そもそも、議論における「正しい」「正しくない」はどうやって決めるのだろうか?
    それは次のとおりである。

    ①根拠に主張がある
    ②根拠が反論にさらされている
    ③根拠が反論に耐えた

    「お年寄りに道案内をしていたから」→「Bさんはいい人だ」
    この2つの間には、「人助けをする人はいい人だ」という「推論」が潜んでいる。ディベートの際には、相手の主張を支える根拠や推論に対して直接、反論を行うとよい。推論の部分は相手も無意識に言っていることが多いので、そこに対して重点的にツッコミを入れると効果は絶大だ。

    ●よくある推論の詭弁
    ・因果関係が逆
    ・因果関係と相関関係を混同している
    ・他の原因があるかもしれないのに、特定の原因にのみ着目している


    6 決断すること
    賛成側、反対側の立場でそれぞれツッコミを入れていき、一番反論に耐えたメリットとデメリットを比較して、メリットがデメリットよりも大きければ賛成側の主張、デメリットが大きければ反対側の主張で決断する。

    メリット側であれば、「内因性」「重要性」「解決性」の3つに対して
    反対側が反論→賛成側が反論→反対側2回目の反論→賛成側2回目の反論
    と2回ずつ反論を交わし、主張が生き残ったか潰されたかを判定する。
    これをデメリット側の「発生過程への反論」「重要性への反論」「解決性への反論」にも同様に行い、生き残ったメリットとデメリットで判断する。

    生き残ったメリットとデメリットを比較しようとしても、なかなか難しいかもしれない。そういうときは、どのくらいの量と質、確率的に起こりそうなことなのか、という定量的な要素を検討するといい。

    そして何より大切なこと、それは「最後は主観で決める」ということである。ディベート思考とは自分自身で思考に決着をつけるための方法であり、決着までのプロセスを如何に正確で妥当なものにするかという方法論である。

  • 久し振りに読み返してみた。身についている部分とついてない部分を再確認。情報が溢れている現代にあって、適切に情報をつかみ取り、自分で考え、決める。ちゃんと話し合うためのディベート...。若者もそうだが、マネジャー層や経営層にも読んで欲しい一冊。

  • 変化が激しい現代において、昔の人生のあり方に比べて個人が決断を下す頻度が高まっている。そのような背景に対して、ディベートの考え方を援用して決断方法を指南する内容。

    職場における意思決定について考えたかったので、少し期待に対して方向性の違う話だったけど、参考になる部分もあった。

  • 前から気になっていた一冊、図書館の新刊棚にあったので手に取ってみました。
    折々に挟まれている演習を省けば、小一時間ほどでサラッと。

     「正解ではなく、「いまの最善解」を導き出す」

    これだけ変転が激しくなってしまった状況ですと、
    成功体験のみを正解としてしがみつくのは、ハイリスクかなぁ、、と。

    実体験から得た知識も大事ですが、それを時代時代に適合させていく、
    そんなスタンスも今後は求められるのかな、、と。

     「情報に接したら、それが本当かどうかをまず疑ってください」

    基礎学問が歴史学なせいか、これはスルッと入ってきました。
    まず疑うこと、そして咀嚼し、自分の言葉で発酵させて、定着させる事。

    「疑問=反抗」と捉えるような文化の中では結構厳しいのかな、とは思いますが、
    そこをどううまく適用させていくのか、も必要なんでしょうね。

    そういった意味で、「武器」と定義しているのは非常に興味深いです。
    ん、ディベートって大事だなと、そして、専門バカは生き残れない、深いです。。

  • 京都大学客員准教授でありエンジェル投資家であり星海社新書の軍司顧問でもある瀧本氏による意思決定のマニュアル。
    ・前提を疑う。
    ・情報は原典にあたる。
    ・裏をとるのではなく逆をとる。
    ・反論に耐えたメリットとデメリットを比較して決断する。
    ・どちらが重要か「質×量×確率」で考える。
    ・客観を経て主観で決断する。
    ・賛否両論でも決める事が大事。
    ・正解ではなく今の最善解を導き出す。
    といったような流れでディベートの方法がかなり詳しく掘り下げられている。
    具体例もわかりやすく、かつ興味深い。「日本は原発を全廃すべきか否か」「第二志望の会社のみ内定が出た状況で就職活動を続けるべきか否か」など。
    エンジェル投資家としての経験談(暴落した会社の株を買って儲かった話など)も面白かった。
    <メモ>
    三大推論である演繹・帰納・因果関係のうちもっとも詭弁を生みやすいのは因果関係。因果関係を用いて推論する場合には「因果関係が逆になっていないか」「因果関係と相関関係を混同していないか」「特定の原因にのみ着目していないか(原因をMECEに分解できていないのではないか)」の3点に注意する。
    <印象に残ったフレーズ>
    賛成の意見と反対の意見を適当にばらまいて、議論の収拾をつかなくし、現状を存続させる方向にもっていくのは、情報コントロールの基本中の基本。

  • 決断するってどういうことだろう。
    決断するには、情報がいる。
    情報ってどこから集めるんだろう。
    情報はどれが有効なんだろう。
    有効かどうか判断するにはどうしたら…

    目まぐるしく変化する時代にあって,何をどう判断して、決めていくか
    自分で考えて、決断していくとはどういうことか
    その手順を読みやすいページ数で書いてくださっている。

    頭は使えば使うほどよく動く。
    体もそうだけど、急に動かしてうまくうごくわけないのです。

    普段から、情報を集めるアンテナ
    取捨選択の方法
    判断すること

    最初はゆっくりでもいいから、続けているといつか「こういうことか」と理解できるようになるかも。

    ニュースやネットの記事を見て、脊髄反射のように判断していたことが
    「まてよ」と記事の行間、あえて表に見えないことが浮かんでくる。
    そして自分で調べてみると、違う側面が見えてくる。
    ポジショントーク、「相手が話さないことが大事」205頁にある通りだと思う。

    本に書かれていた参考のバグを出したゲームの会社の株を買い利益を出したり、
    新しい駅ができる地域に土地を買うまでいくようになるには遠いけど
    日々の積み重ねが大事なのです。


    毎日、毎日積みかさねた思考が自分のものになると、
    きっかけとともにフックがひっかかり、判断がうながされていく。
    そんな気がします。


    易経の講座で、目の前で起きた現象から、株の暴落を予測した~という話を聞いたことがある。
    それに似ている気がする。


    そもそも、世間に興味を持ち、文字を読み、考える癖がないことにはお話にはならないんだけど。
    勉強、学習をすることは、そういうことかな。



    意外だったのは、「インタビューでは舐められたものがち」とコツが紹介されている207頁
    相手を油断させたほうが、本音を引き出せる。
    的確な質問、論理的な反論をすると相手が警戒をしてポジショントークしかしてくれないとある。
    素人丸出しで、教えて欲しいと下でに出ることで、相手の心をくすぐり、知りたい事を引き出すということ。

    以前、読んだ映画評論家のエッセイで
    憧れの映画監督にインタビューできることになり、
    滅多にないチャンスを生かそうと監督の懐に飛び込めるような、決め手になる質問を用意した。
    そのおかげで、自分の作品をよく見ている、本当のファンだと伝わり、監督と打ち解けていい話がいっぱい聞けたとあった~と思う。

    インタビューするときは、最低限、相手の事をしっておき、さらには相手がこちらに興味を持ってくれるような質問力があるといいと思っていた。

    その真逆になる話ですよね。

    近年のネット記事では(ソースは不確かで本当かどうかわからないけれど)
    小説家へのインタビューで、相手の作品を一切しらないままインタビューしてる~てな話を読んで、びっくりしたのだが

    もし相手の作品を一切、知らないでインタビューした人が、この「バカを装いインタビューしていたなら悲劇だな。

    インタビューの種類に寄るんじゃないかと思うのだがどうだろう。


    7時限目には、
    ・内定1社もらえたあとも、より良い会社をさがすべく就活すべきか
    ・年金は何歳からもらうと得なのか
    と具体的ディベートの進め方、考え方がある。

    あらゆる客観を出し尽くして、最後は主観で決める。
    自分の人生は自分で考えて、自分で決めていく。
    面倒臭そうだなっと思うかもだけど(私もそう思った)
    でも、やり慣れてくると、自然にできるようになる。

    私も昔は短気で脊髄反射系だった。

    「大学以降の人生では、情報に接したら、それが本当かどうかまず疑ってみてください。」それは本当に真実です。
    脊髄反射をやめると、そこから少しはマシになるかも。

    若い人たちは、本当にこういうことを学んで、あぶなげな情報、SNSの利用などに注意してほしい。

    241p「どんな困難な状況、困難な時代にあったとしても、前を向いて歩いていくしかありません。
    その時に必要になるのが「思考」であり、そのしこうをもとにした「決断」なのです。

    最近、こういう言葉をきくと、本当にしみる。
    困難な時代だからこそ、励ましてもらっていると思える。

    レビューをみると厳しいものもある。
    ニーズにあってないからですよね。
    いつも自分にピッタリの本が選べますように☆

  • 若者はもちろん、今を生きる全ての人が読んでおくべきと思った。

    知識・判断・行動のすべてをセットでこなすことができるのが交換不可能な人材。知識だけではだめ。
    エキスパートではなくプロフェッショナルを目指せ。プロフェッショナルとは、
    ①専門的な知識・経験に加えて、横断的な知識・経験を持っている
    ②それらをもとに、相手のニーズに合ったものを提供できる
    エキスパートは「○○しろ」「これが正解だ」と自分のやり方を押し付けるが、プロフェッショナルは相手側を理解して相手側の条件に合わせてトータルなサービスを提供することができる。
    歯医者の例で言えば、ただ虫歯を直すのがエキスパート。虫歯にならないように予防から治療、もっと言えば生活習慣の改善まで提案できるのがプロフェッショナル。
    もっと俯瞰の視点で捉え、本来の目的を達成するための価値を提供していかないとならない。

    論題は、○○すべきか否か、などの二社択一できるくらいに小分けにする。
    それぞれ(○○すべき/しないべき)のメリット(すべき側が考える)とデメリット(しないべき側が考える)を比較する。

    メリットの3条件
    ・内因性:(その行動をとらないと)何らかの問題があること
    ・重要性:その問題が重要(深刻)であること
    ・解決性:その行動によって問題が解決すること

    デメリットの3条件
    ・発生過程:その行動をとったときに、新たな問題が発生する可能性があること
    ・深刻性:その問題が深刻であること
    ・固有性:現状ではその問題が発生していないこと

    【メリットへの反論】
    ・内因性への反論
     ①その行動をとらなくても問題は解決する
     ②そもそも現状に問題はない

    ・重要性への反論
     ③量的に重要ではない
     ④質的に重要ではない

    ・解決性への反論
     ⑤プランをとっても別の要因が生じるため問題は解決しない
     ⑥プランは問題の原因を正しく解決しない

    【デメリットへの反論】
    ・発生過程への反論
     ①プランだけではデメリット発生には至らない
     ②プランの発生はデメリット発生に至るには弱すぎる

    ・深刻性への反論
     ③量的に重要ではない
     ④質的に重要ではない

    ・固有性への反論
     ⑤プランを取っていない現状でも問題は起こっている
     ⑥プランを取らなくても将来同様の問題が起きる

  •  2022年3冊目は、瀧本哲史さんの本としました。 実を言うと昨年末に読んではいたのですが二度読み、まとめが出来ておらず年を越してしまっていた本で、早起きできたタイミングで一日で再読・付箋作業を実施しました。 瀧本哲史さん、この本書かれたのはもう10年以上前で、多くの若者に「今の時代を生きるための武器」を与えようとされていたんだなと改めて感じます。
     文末にある「パスカルは難病のため、30代で死ぬ運命にありましたが、そんな彼が、何もかも思うようにはならない厳しい人生を生き抜くために依って立ったこと。それが、『自分で考える』ということでした。」という表現からの一節が、過ぎ去った事実を考えると、すごく心に響きました。 本当にすごい方です。改めましてご冥福をお祈り申し上げます。
     
     本としては、星海社新書から出ている瀧本さんの「武器としての…」関連の書籍の最も初めに出た本であり、京都大学で教鞭を振るわれていた内容を、とにかくわかりやすく学生に届け、「行動」に変えていただきたい、というメッセージを込められた本。「武器としての…」関連のほかの本とも並行して読んでいくと瀧本さんの熱量がすごく伝わるし、今回の本は主にディベートの思考法を軸とした本なのだけれど、最後のメッセージにはこうある。

     「この本を読んで、一つだけ忘れずに心に留めておいてほしいのは、『自分の人生は、自分で考えて自分で決めていく』ということ。思考停止だけは避けるべきだ。決断思考を手に入れたら、明日からの人生を力強く歩んでいってほしい。武器を持った君たちが、未来を作るのだから。」  

     僕としては、瀧本さんのご指摘のようにこうしてディベート思考で考え抜いて決断をということがあまりできるタイプではなく、どちらかというと直感で決めて、黒田博樹さんの「決断(決めて断つ)」から学んだ通り、「決めたほうを正解にする」というタイプなので、決める前に、きちんと「根拠を比較して得た結論」を出せるための参考書として、手元に置いておくこととします。


    以下、引用です。自分へのまとめも含めて記載しています。
    ===========
    P43 これからの時代における最大のリスクは、「変化に対応できないこと」です。
     これまでのやり方や生き方が通用しなくなって困るのは、それが他人が過去に決めた仕組みやルールだからでしょう。誰かの意思決定が役に立たなくなっただけであって、だったら自分で一から決めていけばいいだけの話です。
    (中略)
     こんな状況になったら、このカードを切ろう。あんな状況になったら、あのカードを切ろう――そういった感じに、たった一枚のカードではなく、複数のカードを用意して、変化に応じて最適なカードを切っていく。決断していく。

    P55 議論は、異なる意見、複数の意見をぶつけ合うことで、正解ではなく「いまの最善解」を導き出すためのものであり、その条件として、「言っている内容」で判断する、反論をきちんと認める、ものでなければなりません。
     この掟がまもられていないと、価値観の問題もあるので、議論は平行線をたどって、いつまで経っても結論が出ず、結局、声の大きい人の意見が通るということになりがちです。

    P65 「準備と根拠」がディベートの鍵をにぎる
     さて、ディベートのルールをひと通り確認してわかることは、以下の2つの点が重要になってくるということです。
    ・準備が8割
    ・根拠が命
     まず「準備」。賛成・反対どちらの立場に立つかがわからないということは、あらかじめ準備をしなければならないということです。
     この準備が、ディベートの質を決定的に決めます。
     賛成側・反対側でそれぞれ相手がこう言ったらこう返すとか、考えられる反論の可能性をすべて洗い出しておかなければ、ディベートは一方的で短絡的なものになってしまい、最善解を導き出すようなこともできないでしょう。
     イメージとしては、かぎりなくカードゲームや将棋に近い。

    P103 メリットの3条件
    ①内因性(なんらかの問題があること)
    ②重要性(その問題が深刻であること)
    ③解決性(問題がその行動によって解決すること)

    P124 デメリットの3条件
    ①発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
    ②深刻性(その問題が深刻であること)
    ③固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと

    P158 「正しい主張」の3条件
    ①主張に根拠がある
    ②根拠が反論にさらされている
    ③根拠が反論に耐えた

    P193
     根拠と推論を正しく捉えることができるようになれば、自分の主張を補強できる(反論に耐える主張を作る)だけでなく、相手の主張を崩すこともたやすくなります。
     ディベートというと、自分の主張を通すことに重点が置かれがちですが、実は逆で、自分の主張を無理やり通そうとしている人に反論することのほうが大事です。

    P237 最後の最後は「主観で決める」
     ディベート思考とは、客観を経て、主観で決断する方法です。
     最初から主観的にものごとを決めるのではなく、一度、客観的に考えてみてから、最後は主観をもって決める。
     そう、最後の最後は、みなさんが自分の頭で考えなければならないのです。
     そこまでの筋道はつけてあげることができますが、価値観や哲学の問題には、自分自身で決着をつけるしかありません。
     (中略)
     どういう生き方を望むか――。
     ずっと何かに頼っていく生き方を望むのか?
     それとも、自分の人生は自分で決めるという、困難ではあるけど自由な生き方を望むのか?
     後者を望むのであれば、ディベートをはじめとする一般教養(リベラルアーツ)は、あなたの大きな武器となるでしょう。 
     人間を自由にするのが、学問本来の姿なのです。
    ===========
     
    以上

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著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者
麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用されるも、自分の人生を自分で決断できる生き方を追求するという観点からマッキンゼーに転職。3年で独立し、日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家としてアイデアとメンバーしかいないような極めて初期の段階の企業を支援し続ける。京都大学では「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の少人数自主ゼミ「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。ツイッターは@ttakimoto

「2020年 『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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