独裁者の教養 (星海社新書)

著者 : 安田峰俊
  • 講談社 (2011年10月26日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385047

作品紹介・あらすじ

悪の親玉としてイメージされがちな「独裁者」たちは、若い頃にいかなる知識や価値観、思想などの「教養」を得て、それをどう国家支配に反映させたのか-それらを考察したのがこの本だ。これを読めば、自由で平和な資本主義国・日本にいては理解しづらい、国家社会主義や共産主義、民族主義なども「わかる」ようになるはずだ。だが、堅苦しい本にはしたくない。そこで筆者は、独裁者がいる社会を等身大で体験するため、中国雲南省奥地の「秘境」に足を踏み入れた。なんとそこには、アヘンを資金源とする「アヘン軍閥」と、「鮑有祥」という謎の独裁者が割拠していて…。独裁者の姿から人生の成功を考える「革命の書」、ここに登場。

独裁者の教養 (星海社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 独裁者たちがいかに独裁者になったか、ヒトラーなどなどの人物のミニ伝記に加えて自分自身が現在の独裁者であるミャンマーの未承認独立国を訪れた経験を語っていて面白い。しかも今のおれと同じくらいの年齢でこれ書いたんだな。

  • ヒトラーをはじめとして様々な独裁者の経歴を読んでいくと、彼らに共通点があることが見えてきたり、意外にも善人であることを貫いた結果、独裁者になったような人物もいたりとちょっとした発見をしながら読み進められました。終盤はフセイン、カダフィと記憶に新しい独裁者が続き、そして最後は何と・・・日本人です。筆者がどのような意図で世界の独裁者と日本人を同列に置いたのか、ぜひ本書を読んで確かめてみてください。

  • ヒトラーから始まりリークアンユー、フセイン、カダフィなど名だたる独裁者達の評伝。

    刺激的な題名を裏切っている気がするのだが、オーソドックスな評伝。

    見どころは、独裁国家を直接レポートするために、中国とミャンマーの国境にある麻薬の独裁国家への密航取材。スリリングで、読む価値がある。
    独裁は悪であるとは、言い切れないという点においては、反論の余地を与えない。

  • 中国雲南省とミャンマーの国境地帯にあるワ州という、鳥取県ほどの面積の独裁地区で、アヘン輸出で持っている小さな独裁国家、その潜入記はなかなかおもしろい。独裁者たちのミニ伝記には真新しいところはないが、最後の日本になると語気荒く、雑な書きぶりが好感が持てる。筆者はタフで、そこそこいい加減な若者だが、筆者のようなポジションへの憧れを抱く若者は少なくないだろう。「ジャーナリスト」を称したい若者がふらふらとISに飛び込んでは首切りに遭う時期に手放しの賛辞は送れないが、自身を「阿Q」かもしれぬという自覚をもつ本著者は骨のある書き手の一人、かもしれない。

  • 読了。

  • 実際に独裁国家(?)に潜入したレビューあり、独裁者の紹介ありと面白く読み終えた

  • ワ州密航記、面白かったがこっちを中心にもっと読みたい気もした。
    独裁者というのは奇妙なもので、国民ではなくその国の国民ではない人が批判をする。もちろん、絶対悪のような行為も多数行っているが、それは資本主義・民主主義的価値観から見たものである可能性もある。

    ということを、意識した。
    なかなか表だって主張できる内容でもないし、する気持ちもないが。
    日本に関しては、要らんかったんちゃうかなーと

    とはいっても、ナチスの民族浄化、民族衛生とかいう概念はあかん。
    そういった人たちが生きていける社会こそ、強い社会だと思う。

  • 著者は若いが、面白い。本から得た知識を巧みに引用しながらも、実地に赴くフットワークの軽さ、現場主義、頭でっかちにならぬ思考の柔軟さ。そして何より、中国では名のしれた加藤くんを敵視しているのが素晴らしい。ワ州という国を初めて知った。同世代としては、この著者に一票。

  • 成功者の伝記はよく見かけるが、独裁者の伝記はみることがない。
    ステレオタイプな型にはめ手しか見れない独裁者から学べるところがないか、新たな視点を提供してくれた。

  • タイトルが気になって読んだ本。
    過激に突っ走った独裁者がどんな教養を持っているのか、知りたいと思います。
    ページを開くと、スターリン、ヒトラー、毛沢東、ポル・ポトといった有名な独裁者のなまえがずらり。

    ニヤゾフやリークアンユーという、知らない人物も紹介されています。
    その人物がとった政策は知っていても、人物自身についてよくわからないままの独裁者たち。
    着眼点が面白いです。

    読み始めてみると、人物紹介と言うよりは、密航記がメインだと気が付きました。
    中国の国境近くのワ州に密航したレポートが生々しく記されています。
    この手の手記として、辺境ライターの高野秀行風だなと感じました。
    著者自身も意識しているようです。

    著者は探検家ではなく、肩書きは中国ネットウォッチャー。
    今回は机上を離れて体当たりの調査に臨んだようです。
    (青いな~、軽いな~)と思う向こう見ずな考え方と、かなりの行き当たりばったり感があるため、危なっかしさにはらはらしながら、ドキュメンタリータッチの緊張感あふれる文章に引き込まれていきます。

    ただ、密航記は独裁者の紹介ページの合間に挿入される形になっています。
    この体裁は読みづらく、読む側にとってはあまり歓迎できません。
    密航記のその後の展開を気にしながら独裁者ページを読んで欲しいという気持ちなのでしょうけれど、双方の時代が異なるため、スッキリしないのです。

    当初の「独裁者について知る」ではなく「密航記を読む」が読書目的となってしまいましたが、現代もなお存在する、日本ではほとんど未知の世界の紹介は、確かにインパクト大。
    ワ州特区は中国雲南省とミャンマーの国境地帯にある、鳥取県ほどの面積のミニ独裁政権で、アヘン輸出で持っている地域だとのこと。
    外国人の入国は禁じられており、警察に捕まりかけた著者は一旦は諦めたものの、思わぬ方法で案外簡単に潜入します。
    今なおこんな場所が存在するんだと驚くばかり。
    そして著者の、危険を犯しての体当たりの調査には頭が下がります。

    すっかり独裁者の紹介の方の影が薄くなっていますが、やはり独裁者たちも、子供の頃は普通の教育を受けてきたんだと改めて気づきます。
    マルクスは弁護士、レーニンは物理学者の家に生まれたという、ハイソな育ちだったのが意外。
    スターリンは貧しい靴職人の家に生まれ、少年時代に馬車に轢かれて左腕が不自由な上に、生まれつき左足の二番目と三番目の指がくっついていたとのこと。
    そんな肉体的なハンディキャップがあった人物だったとは。これも意外です。

    恐怖政治を敷く独裁者のはずが、トルクメニスタンの独裁者、サパルムラト・ニヤゾフは、自分の大好物であるメロンを称えるため、メロンの日を国民の祝日にしたとのこと。
    そんなエピソードに笑ってしまいました。

    難しい専門書ではないため、読みやすく、著者の知識に助けられて、理解し得ないと思っていた独裁者について、人間的な近さを感じられるようになった、一読の価値ある新書です。

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