- 本 ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061385153
作品紹介・あらすじ
交渉は、若者が世の中を動かすための必須スキル
本書は、私がいま、京都大学で二十歳前後の学生に教えている「交渉の授業」を一冊に凝縮したものです。いくら自分の力で決断できるようになっても、いくら高い能力や志を持っていても、世の中を動かすためには自分一人の力ではとても足りません。共に戦う「仲間」を探し出し、連携して、大きな流れを生み出していかなければならない。そこで必要となるのが、相手と自分、お互いの利害を分析し、調整することで合意を目指す交渉の考え方です。交渉とは、単なるビジネススキルではありません。ときには敵対する相手とも手を組み、共通の目的のために具体的なアクションを起こしていく―そのための思考法なのです。さあ、「交渉思考」を手に、この閉塞した日本の状況を一緒に変えていきましょう。
感想・レビュー・書評
-
実際に役立つ情報も多々あって面白かった。
初めのガイダンスでは、期待していた内容とは違うかもしれないと考えていたが、そうではなかった。
交渉は、若者が世の中を動かすための必須スキル
本書は、私がいま、京都大学で二十歳前後の学生に教えている「交渉の授業」を一冊に凝縮したものです。いくら自分の力で決断できるようになっても、いくら高い能力や志を持っていても、世の中を動かすためには自分一人の力ではとても足りません。共に戦う「仲間」を探し出し、連携して、大きな流れを生み出していかなければならない。そこで必要となるのが、相手と自分、お互いの利害を分析し、調整することで合意を目指す交渉の考え方です。交渉とは、単なるビジネススキルではありません。ときには敵対する相手とも手を組み、共通の目的のために具体的なアクションを起こしていく―そのための思考法なのです。さあ、「交渉思考」を手に、この閉塞した日本の状況を一緒に変えていきましょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに瀧本哲史本を読む。
もう新作が読めないのが残念だ。
既読の本と重なるところが多いが、それでも十分ためになる。
一見お手上げと思われるような状況での交渉例はとても知的で面白い。
最高の実例は、セオドア・ローズベルトの大統領選挙戦で、写真の著作権を押さえ損なった状態で、何百万部ものポスターが刷り上がった状況下での、写真家との交渉例。
「いくらで写真の使用を許してもらうか」、ではなく、「写真家の知名度アップのチャンス、いくら払えるか?」から交渉をスタートし、「大金は寄付できないが、写真で大統領選候補を支援したい」、というレターにサインさせた、というオチ。
うーん、素晴らしい。
アンカリングの話。
-
ガイダンスにある言葉、「合意をもたらす手段こそが交渉である」が、テーマであり、「言葉こそが、最大の武器である」が結論です。
気になることばは、以下です。
・ふたりの人間がお互いに同意すれば契約が成り立つことになる。ローマ人は、この考え方を「パクタ・スント・セルヴァンダ」Pacta sunt servanda(同意は拘束する)。現在の法秩序の根本となっています。
・この合意を創り出す手段こそがこの本のテーマである「交渉」となります。
・交渉とは、前提となるルールそのものを変えていくゲームであるともいえる
・ロマンは長期的で抽象的でもかまわないが、ソロバンはできるだけ具体的で、短期的に結果がわかることが望ましい
・交渉には、意思決定権をもった相手が存在する
・自分がかわいそうだからどうにかしてともっていくのではなく、あなたがこうすると得しますよと提案するのが交渉
・相手にいかにメリットのある提案ができるかだ。「どれだけ相手の主張を聞けるか」の勝負だ。
・交渉においてとにかくいちばん大事なのは、「相手の利害に焦点を当てる」ということだ
・交渉に大切なのは、複数の選択肢をもつこと
・バトナとは、相手の提案に合意する以外の選択肢の中で、一番よいもの
・コモディティ人材とは、他にいくらでも替わりがいるということです。
・交渉というのは結局、情報を集めるだけの勝負である
・交渉というコミュニケーションがディベートに比べてやりやすいのは、相手側に直接聞いて情報を集めることができるということです。
・交渉のポイントは、たくさん聞いてたくさん提案すること
・合意できる範囲のことを、ゾーパという。ゾーパがかさならない交渉は合意に至ることはない。即刻交渉を打ち切ること
・交渉をするときお勧めするのは、自分のことだと思わずに、代理人として交渉を頼まれたと、マインドを切り替えてみるといい
・
・アンカーリングとは、最初の提示条件によって、相手の認識をコントロールすること
・交渉はスタート地点ですでにある程度の結果が決まってしまう
・相手が何かしらの条件を提示してきたときには、それがアンカーリングされないように、この条件の設定自体に何かおかしいところがあるのかどうかを、常に疑ってみる
・最初から自分が戦いやすい条件を初期にオファーすることが必要
・最終的に交渉の結果得られる果実は、最初に置いた目標以上にはならない
・最初の交渉で、自分にあまりにも有利な条件を提示して、あとから「あいつはひどい」「騙された」という噂がたったら、のちのビジネスに悪影響を及ぼす。それはビジネスを長期的に行う上で、きわめて不利益をもたらします。継続的に市場で勝ち続けるためには、あまり暴利をむさぼらないということが重要。
・必ず、何かしてくれたら譲歩します。自分は損をこうむるのだから、あなたも何かしらの損をこうむってください。ともっていく。
・相手の判断条件を理解するためにも、さまざまな条件付きの譲歩を提示することは有効。
・即座に受諾しないことが大切
・争点が複数あって、「この争点では譲歩するが、こっちの争点では譲歩しない」というように分けて考えなければならないケースがほとんど。
・自分の立場ではなく、相手の利害に焦点を当てる
・相手の利害関係を分析・理解し、それを満たしながら、さりげなく自分の要望も実現するのが賢い交渉のポイント
・お互いに何が大切なのか?、交渉のそもそもの目的な何なのかという争点を明確にして、交渉にのぞむこと。どれが目的で、どれが手段なのかを明確にすること。
・自分にとって重要度は低いが相手にとって高い争点を譲歩し、自分にとって重要度は高いが、相手にとっては低い争点を譲歩してもらうことで、お互いの目的が達成できる道を探る。
・直接の交渉相手だけではく、背後にいる人の利害争点にも配慮する
・交渉時の注意、2点
①沈黙に絶える
②相手が情報を出してこないときは、情報をだしてこないことを自体を利用する。
・非合理的人間6つのタイプとつきあう
①価値理解と共感
交渉者が相手のその価値感にまったく共感できないときに、大きな問題となる
合理的ではない相手と交渉するときには相手の価値観に合わせなければならない
②ラポール
行為の返報性
スモールギフトをおくる
相手と似た境遇にあることを発見して、それを会話を糸口にする
相手の好む話し方でつき合う
共同作業の時間を持つ
③自律的決定
自分で決めたを大切になるタイプ
相手が自分で判断・決定するための材料を提供することに徹する
④重要感
相手が自分のことを「より重く」「より大切」に扱ってくれることにこだわるタイプ
とりあえず、相手の話を全部聞く
ものすごく地道で相手の感情に配慮した営業努力をする
口だけの称賛は必ずばれる
相手の嗜好などを把握して、それを満たしてあげることで「この人は自分のことを重要だと思ってくれている」と印象付ける
顔の表情、声のトーン、立ち振る舞いが雄弁に本心を語る
できるだけ反応をはやめて連絡を頻繁にとることが大切
⑤ランク主義
肩書を把握して対応を決めるタイプ
ランク主義にはランクで対応
人をレベルではなくラベルで判断する
お前はみどころのあるやつだ、と思われたら勝ち
⑥動物的反応
相手の精神的負担を軽減することを優先する
できるかぎり交渉の時間を快適な環境にする
相手のネガティブな感情的な反応には、こちら側はつき合わない
一見すると自分のロジックがまったく通じない相手でも、その人の「行動原理」というものを見通すことで交渉可能になる
自分のことではなく、「相手を分析する」ことが、合理的・非合理的な交渉を問わず極めて重要
・交渉メンバーが共有すべき3つの注意点
①アウトプット 何を達成するか
②ドレスコード 非言語的メッセージを与えるものすべてに気を遣う
③NGワード 相手に絶対に伝えてはならない機密事項や、発してはいけないワードを共有する
・言葉こそが最大な武器である。ふつうに使っている言葉には、すさまじいパワーが秘められており、その使い方を磨くことで、とても大きなことを成し遂げることができるものです。
・具体的な「成果を出す」ということにこだわる
・地上には最初から道があるわけではない。多くの人が歩けば、そこが道になるのだ。
・「他力本願」で改革を願うのは、日本人の特性のひとつ
・いろんな場所、いろんな組織に小さなリーダーが現れ、そのときどきで活躍していく。そういうシステムを私は、「群雄割拠型」のモデルをよんでいます。
・自分自身が、自分今いる場所で小さいながらも集団をつくり、そこでリーダーとなっていく。
目次
ガイダンス なぜ、いま「交渉」について学ぶ必要があるのか?
1時間目 大切なのは「ロマン」と「ソロバン」
2時間目 自分の立場ではなく、相手の「利害」に焦点を当てる
3時間目 「バトナ」は最強の武器
4時間目 「アンカリング」と「譲歩」を使いこなせ
5時間目 「非合法的な人間」とどう向き合うか?
6時間目 自分自身の「宿題」をやろう -
そこまで重要視してなくて積読になっていたのだが、7年越しに読んでみたところ、いいことが多く述べられていてかなり参考になった。良書。
自分は交渉というものを、やはり自分の目的を押し通すために相手を説得する技術、のようにネガティブに捉えていたが、お互い根本的な目的を果たせるような着地点を見出すための、マインドであったり切り口であったり論理という部分こそが交渉であって、取り付く島もないような強硬な態度ではそもそも交渉にならず、お互い利益にならない。
交渉しないことの方が不利益があるからこそ交渉の場につくのである。これは確かに盲点だった。
デモに意味がない、という部分は非常に納得。
最近はデモに参加したりそういったムーブメントを応援する風潮も、特にSNSを中心に見聞きすることも多い。
しかしやはり若い世代であったり、そもそも社会系経験や思考力や想像力が少ない人、抽象度の低い人などは、往々にして自らの要望をぶつけて、その要望に耳を貸さない相手を感情的になじるような形で意見を表明してしまう。または数の論理で戦おうとする。これは北風的な戦法だし、あまりにも稚拙。
むしろポピュリズムによって利益を為そうとする扇動者や、狡猾な為政者の面従腹背な態度で手のひらで転がされるリスクを上げることすらある。
そういった現実があるからこそ、デモに意味がない、ということになってしまう。
国家は暴走するのが前提であるから、国民、大衆も意見の表明は必要だし、国家を制限できる方法はしっかりと握っておくべきなのは言うまでもない。そしてそのための武器として、基礎的な交渉思考は身に付けておくべきだろう。 -
クレーム対応の勉強をしている時にあわせて読みましたが、タイトルの通り交渉の思考について書かれてます。
P237の「非合理な人間」とどう向き合うか?の章で6タイプのパターン別の向き合い方は参考になりました。
ただ現場ではそう簡単にいくものではなく、あくまで交渉思考についての知識を土台に現場でいかに応用出来るかにかかっていると思いました。 -
自分の立場ではなく、相手の「利害」に焦点を当てる...。合意形成や協調を進めるうえで必要なものの見方、考え方が整理された良書だなあと改めて認識。20代のときにこの本に出会っていたら変わったかなぁ...。40代で手に取った私は既に支援者側に...。未来ある若者に投資しよう!
-
瀧本さんの著作これでほぼ読んだ。
なんとなく交渉思考だけ内容が想像つかなくて読んでなかったけど、めちゃおもろいやんっていう。久々にお酒飲んで頭働かんし寝たいから長々とは書かん。
言葉を磨いて、他者を引き込める力手に入れたい。
アンデスの職人とスティーブ・ジョブスの話めっちゃすこ。。
Do my homeworkします。 -
王様と家来モデル。つまり、トップダウン型の組織は時代の変化に対応できない。
束縛があって初めて自由が得られる。全員が完全な自由になると、衝突しかえって不自由になる。
自分達で新しい仕組みやルールを作り、その合意を作り出す手段こそが、本書のテーマの交渉である。
世の中を動かすのは若者、ただし大人(エスタブリッシュ層)のバックアップは必要。つまり、大人から投資対象と見なされる必要がある。
常にロマン(夢やビジョン)とソロバン(時間やお金)の両方を考える。
人を動かすためには、相手に具体的なメリットを提示する。
交渉はコミュニケーションの一つ。
1.指令 決断は相手
2.ディベート 決断は第三者
3.決断 決断は自分
4.交渉 決断は相手と自分
自分のことばかり主張していては交渉にならない。相手の主張を聞く。
パイを奪い合うのではなく、パイという前提を見直したり、パイ自体を大きくしようとする努力が必要。
交渉は利害の調整が最大のポイント。
交渉ではまず、複数の選択肢を持つこと。目の前の選択肢とバトナ。つまり、他の選択肢の中で一番良いものと比較をしながら、交渉を行う。
バトナがいないとコモディティになる。
交渉が決裂したらどうなるか。をまず考える。交渉とはとどのつまり、情報を集めるだけの勝負。
交渉のポイントはたくさん聞いて、たくさん提案する。
交渉時は自分のことと思わずに、代理人というマインドに切り替えることも一つの手法。
交渉は最初のアンカリングによって決まる。
アンカリングの条件は高い目標。現実的。説明可能。
無条件の譲歩は絶対にしない。
譲歩する際はもったいつけることで、交渉の満足度を高めることができる。
交渉の面倒なやり取りが仲間意識を作る。
自分にとっては重要度は低いが、相手にとっては重要度が高い点を譲歩したり、逆に自分にとって重要度は高いが、相手にとって重要度の低い点を譲歩してもらう。といった道を探る。
ゼロかイチの思考に陥らない。
交渉時に沈黙に耐えることは、重要。譲歩の引き出し合いをしている時に忍耐は必要。
情報が出してこない場合、そのこと自体を利用する。
非合理的な人間との向き合い方。
1.まず相手の価値観に合わせる。
相手の価値観を変えようとは絶対に思わない。
共通の敵を設定して、共犯関係になる。
ラポールを築く。つまり、信頼関係を築く。
その具体的な手法は、相手を好きになること。相手と共通点を見つけること。共同作業の時間を持つ。などがある。
自律的決定にこだわる人には、判断材料をとにかく提示する。
重要感にこだわる人には、本心で、丁寧に、敬意を持って、相手に接する。
反応速度も重要である。
ランク主義の人には、ランクで対抗する。
相手を分析することが、交渉ではきわめて重要である。
言葉には力がある。言葉は最大の武器である。だから、言葉を磨く。
本書を読み、交渉の見方が少し変えることができた。
-
相手側にいかにメリットのある提案ができるか。交渉ではくれぐれもそこを考えるようにすること。交渉というのは結局、情報を集める「だけ」の勝負なのです交渉のポイントは「たくさん聞いて、たくさん提案すること」であると、覚えておくこと。本書は前作「武器としての決断思考」に続いて二者間で行われる利害調整「交渉」について語られる。著者の言うとおり人間だけが言葉を話し、言葉によって文化を発展させてきたのである人間にとっては「言葉」こそがすべての鍵であり武器だと思う。いかにして言葉を磨くべきか。ますますモチベーションは高まるばかりだ。
-
気になった
・またGREE褒めてる。時代感じる。
・太字の多用
良かった
・最終章具体例多めで面白かった。
・若い人向け
著者プロフィール
瀧本哲史の作品





