独裁者の最強スピーチ術 (星海社新書)

著者 :
  • 講談社
3.73
  • (22)
  • (38)
  • (35)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 377
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385177

作品紹介・あらすじ

本書は独裁者に学ぶスピーチ術の本である。ただ、スピーチのみならず、人の心を動かしたい人にとっては非常に有効な人心掌握術の本でもある。独裁者は、なぜ「言葉だけ」で世界を動かすことができるのか?悪名高い独裁者であるヒトラー。そして現代日本で「独裁者」と呼ばれている橋下徹。この二人の演説を中心に、ストーリーブランディングの第一人者である著者が徹底分析。多くの人を行動に導く秘技をあぶり出す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 星海社の新書は、一般的な新書を文芸作品とすると、ライトノベル的位置付けを狙っている内容構成になっていると感じた。ペンよりもスピーチが世の中を動かすという理論になるほどと思いながら、イチ日本国民として、今後の社会・政治的動静を冷静に判断できる力が改めて必要であると思うことができた。

  • 会社のイベントや会議の場でスピーチをしなければならない事がしばしばある。何を話そうか練りに練って挑むと、本番では場の雰囲気に飲まれたり、薄い反応ばかりが気になってしまったりして、最悪内容が飛んでしまったりする。普段からニュースや書籍で時事的な問題を押さえていれば、ある程度アドリブで何とかやり切ってしまうのだが、話終わった後の中途半端、煮え切らなさは尋常ではない。毎回スピーチ後は暫く気落ちしてる。また突然話を振られて喋り出すと、ごく稀に自分でもよくこんなに言葉が出るなと、感心することもある。骨子も内容も全てアドリブでも話せてしまった経験がある。
    前者と後者の違いは何か。前者は事前準備の段階で普段の自分が思ってる事以上に内容を盛ったり、伝わりやすいように構成を工夫したりする。一方後者は準備がない分、その時に頭の中に浮かんだものをそのまま言葉にする。言わば自分の本当の考えと言葉だ。スピーチに必要なのは、まずは自分が本心で思っている事を話すという基本事項の徹底だ。
    本書は著名な演説を引用し、スピーチに必要なストーリー性・構成に加え、各種テクニックを解説していく内容だ。その際、民衆の心を捉え権力を握ってきた2人の政治家、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーと維新の会の橋本徹氏のスピーチを例に挙げて解説していく。一応前置きとして、2人の思想やその後の施策の評価・礼賛するものではなく、スピーチに限定して評価していく。
    ヒトラーは誰もが知る聴衆を前に身振り手振り(やや大袈裟な)演説し、当時第一次世界大戦の賠償金支払いや世界恐慌でドン底の経済に陥ったドイツ国民の心を鷲掴みにした。一方、橋本氏はテレビ番組でもよく見かけ、そのスタイルは上品とは言えないが、ズバズバもの言う弁護士として国民の人気を得て大阪府知事に上り詰めた人だ。私も学生時代は法律を先行していたから、よくテレビで意見や解説を聞きながら、同調したり反論したりしながらも、彼の話し方のファンになっていた事を記憶してる。
    この2人のスピーチ内容には共通部分が多くあり、筆者はそれを「ストーリーの黄金律」と呼ぶ。それは聞き手が自分ごととして捉え、自分のストーリーに置き換える事で、演説者との間に一体感、参加意識が生まれてくる。そしていつの間にか、自分と一緒に困難な課題に立ち向かってくれる仲間・リーダーとして認識してしまう。単なるストーリーだけでなく、言葉の抑揚やジェスチャーなど判りやすい表現が加わる事で、聴衆を引き込んでいく。また本書では更に細かく、それら演説に含まれるテクニックを紐解いていく。判りやすい言葉をキーワード化して繰り返し使うなどはその代表例だ。
    これらテクニックは前述の2人だけでなく、アメリカ大統領や日本の政治家達も「スピーチ上手」な人達の言葉の中に見られる。個人的に印象深いのはやはり小泉純一郎・進次郎親子だが、スティーブ・ジョブズやキング牧師、オバマ元米国大統領など、記憶に残るスピーチを多数例示し、そこに使われたテクニックを紹介していく。効果的な手法はすぐに活かせるものが多く、読み終わった後に確かな自信が湧いてくる。
    是非スピーチを控えてる方や、普段の話す内容に反省仕切りのリーダーの方に読んで頂ければと思う。

  • ●ヒトラーの武器は演説。ことばの魔力。
    ●二者択一を迫る。
    ●政治家がやらなければならないことは、今の国の仕組みを変えること。この一点のみなんです。橋下徹。
    ●みなさーん、と何度も呼びかけて連帯感
    ●3つ並べる。

  • 東2法経図・6F開架:809A/Ka94d//K

  • 人前に出て話すことは嫌いではない(むしろ好き)なのだが、スピーチは上手といえない。しかし、分析などにフレームワークがあるように、スピーチにもフレームがあることがよくわかった。とくに、ヒトラーと橋下のケースを何度も繰り返し引用して解説しているので理解が進む。全社会議など、大勢の前で話す機会がある前には再読してプレゼンを構成したいと思う。

  • 独裁者の最強スピーチ術。川上徹也先生の著書。独裁者が得意とするのは他人の心を動かす話術と人心掌握術。話術や人心掌握術を自分の利益や欲望のためだけに使ってはいけないけれど、話術と人心掌握術を正しく使えば円滑な人間関係の構築にもつなげられるはず。独裁者を頭ごなし、傲慢に全否定するのは簡単だけれど、独裁者の長所を謙虚に学ぶ姿勢が必要かな。

  • 独裁者がなぜ聴衆を魅了するのか?この疑問に答えようとする本書では、以下に指摘。①欠落・欠点の指摘。特に過去における欠落。②これを救う騎士としての振舞い。③提示するのは過程でなく、単純かつ抽象的な夢・結果。④2人で戦うべき敵の存在の設定に加え、敵が巨大であればあるほど有意味。⑤語るべき夢は、困難に遭いながらもその敵を打ち負かすこと。⑥こういうストーリー構築だが、語りは、偽悪的な振る舞い(自分を一旦貶め、下から目線としての振る舞い)。他方、獲得させるべき夢や結果は、名誉など精神的利益を含むが物的利益が一番。
    具体的には、①不利益の回避、②逸失利益喪失の回避ということになるだろう。まるで悪徳商品の販売勧誘のごとし、であるが、演説におけるストーリー構築は、勧善懲悪のマンガのストーリーになぞらえることができる、とも言えようか。

  • 響くスピーチをいかに作るかについて、ヒトラーと橋下徹を例に説明する。
    資料を含めてプレゼンに活かせる発見が多く得られた。橋下信者なこともあり、モチベート力も高く感じた。

  • 上司よりお借りした本。
    ヒトラーと橋下徹を例に挙げて独裁者の話し方、ストーリーの作り方について説明をしている本。
    読みやすくてわかりやすい。
    最後の方はまた同じフレーズ、と言いたいことがわかってくる。
    ひとつの勉強。

  • ヒトラーと橋下徹の演説を揚げて、独裁者が人を心をつかむスピーチについて説いた一冊。

    「独裁者=悪」という価値観に縛られつつも、偏ることなく丹念に分析している姿勢が印象に残った。

全55件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

コピーライター。湘南ストーリーブランディング研究所代表。
大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。数多くの企業の広告制作に携わる。東京コピーライターズクラブ(TCC)新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など受賞歴多数。特に企業や団体の「理念」を一行に凝縮して旗印として掲げる「川上コピー」が得意分野。「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」という独自の手法を開発した第一人者として知られる。現在は、広告制作にとどまらず、さまざまな企業・団体・自治体などのブランディングや研修のサポート、広告・広報アドバイザーなどもつとめる。著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』『コト消費の嘘』(いずれも角川新書)、『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)、『江戸式マーケ』(文藝春秋)など多数。海外においても「ストーリーブランディング」をテーマにした本がベストセラーになっている。

「2023年 『ストーリーブランディング100の法則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川上徹也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×