キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書)

著者 :
制作 : 石黒 正数 
  • 講談社
3.97
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本棚登録 : 596
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385276

作品紹介・あらすじ

山の上の高校に通う2年生の僕は、放課後に寄り道した喫茶店「赤ひげ小人」で、近所にある港湾大学のキヨミズ准教授と出会う。大学で「受講生0人の法学入門」を受け持つ少しヘンなその先生は、お願いもしてないのに、法的思考のすばらしさを高校生相手に嬉々として語り出して-。「高度な内容を分かりやすく」を信条に首都大学東京で教鞭をとる若手憲法学者が、進路に迷う高校生や法学に拒絶反応を示す文学部生にも分かるように、物語の手法を用いて生き生きと、そして最高に面白く語る「日本一敷居の低い法学入門」。

感想・レビュー・書評

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  •  大学1回生の時に読みたかった! と思わされる本がまた一冊出ました。

     本書を手に取れば、表紙からラノベチックとも言えるイラストがあり、パラパラとめくると章のトビラ毎にイラストが入っているのがわかります。物語の中でキヨミズ准教授により説明される法学の話を読んでいると、『もしドラ』や『夢をかなえるゾウ』を思い出すかも知れません。

     取っつきやすく読みやすいのは確かですが、そういう"外観"に惑わされてはいけません。ものすごく理解しやすく、わかりやすく書いてくれてはいますが、その内容は深いです。
     例えば、法学部に入ると「法的三段論法」(大前提(規範)を小前提(事実)にあてはめ、結論を導く)というものを習います。が、なぜ法律家がこのような思考要式を採用するか? と聞かれると、おそらく少なからぬ法学部生でも答えに詰まるのではないでしょうか?
     そういう「お約束」や「作法」とされているものがなぜそうなっているのか、その理由から説明してくれているので非常に読み応えがあります。

     本書では、高校生のキタムラ君と、近所の大学のキヨミズ准教授、そしてキヨミズ准教授の同僚・ワタベ先生があちこちで出会い、そこで法学についての話が開陳される、という流れになっています。著者らしいユーモアが随所に溢れていて「単に物語、ラノベ形式にしました」というおざなりな作りではないので、ちゃんと物語としても楽しめます。
     その上、本書の中で説明されるのは、法的三段論法(Chapter1)の他に、他の文系学問の特徴とそれらの違い(Chapter2)や法律の体系(Chapter3)、法解釈の仕方(Chapter4と5)、そして法制史(Chapter6)と、法学入門の名に恥じないボリュームとラインナップです。しかも、これだけのことについて、その概略ではなく根幹の考え方、そのエッセンスの部分をわかりやすく説明してくれています。
     本書の登場により、法学に関する最初の一冊はこれに決定したと言って過言ではありません。

     法曹に興味があったり法学部進学を希望している高校生は言うに及ばず、法学とはどういう学問か何となく興味があるという大人から、法律を勉強しているけど今イチ自分が何をやっているのかよくわからないという法学部生、そして宅建などの各種資格試験で法律科目を勉強しないといけなくなったけど法律ってようわからん! とお嘆きの方、およそ法律に関心と関係がある全ての方にオススメする入門書の名著です!

  • とても良い。お恥ずかしながら、タメになることも多く(法学部四年目)巻末の参考文献もいい。

  • 法学の基本を対話調(小説仕立て?)で紹介した本。今までない形の入門書だと思う。
    高度なことを本当にわかりやすく書いてある。法学部に興味を持った高校生だけではなく、他学部も含む学部生や社会人にも勧めたい。基本的にここで書いてあることは法学部の教養課程で教わることだが、教わり方は必ずしも整理された形で教わることは少ないと思うので、漠然とした理解で学部時代を過ごすことになる。そのようなことが整理された形で非常に明確に書かれており、目から鱗。
    いやー、学部生の時にこの本に出会っていたら、もっと実定法系の科目でいい成績がとれたかも・・・。なんちゃって。

  • 「法律入門」というよりも「法学学習のガイド」というカテゴリの本。法学部の1年生に配布される冊子とかにこういうのはあるけど、ストーリー仕立てになっていて、読みやすく楽しい。
     
    基礎法と実定法のそれぞれを初歩から説明しているのは当然として、社会科学の中で政治学、経済学、社会学との比較において法学を位置付けているのは、こういう本ではあまりないような気がする。
    「法学通論」と「法学原論」の違いを述べているのは有意義。私の出身法学部にはこの区別がなく、その区別さえ明示してくれればあの頃に憤らなくてよかったのにと感じた(「法学入門」とかいう名称で通論の講義をされ、私は原論じゃないことに腹を立てていた)。
     
    最後の章に、登場人物から手紙という体裁で読書案内がされているのだけど、橋爪大三郎の『言語ゲームと社会理論』を実定法の先生が紹介しているのは意外だった。
     
    余談だが、作中の舞台となっている町についての地図が載っていて「横浜じゃん(大学以外は)」と思ったら、木村さんって緑ヶ丘なのね。

  •  1980年生まれの若き憲法学者(首都大学東京准教授)が書いた、「日本一敷居の低い法学入門」(カバーそでの惹句より)。仕事の資料として読んだものだが、勉強になったし、面白く読めた。

     カバーと本文のイラストは、マンガ家の石黒正数が担当。
     「港湾大学」の准教授が、町で偶然出会った高校2年の男子生徒に、法学の基礎をレクチャーしていくという物語仕立てになっている。というより、「ラノベ仕立て」といったほうがよいか。こんな趣向の法学入門が書けるのは、若いこの著者だからこそだろう。

     もっとも、「ラノベとして読んでもストーリーが面白い」というところまではいかない(あたりまえだ)。それでも、“ラノベ仕立てにすることによって、法学入門を面白く読めるようにする”という企図は十分に達成されている。

     序盤の「法的思考とは何か?」という話は、「法的三段論法」「法命題」「裸の価値判断」などという堅苦しい語が頻出して、なかなか本の中に入り込めない。
     が、話が具体的になってくる第3章あたりから、俄然面白くなってくる。

     法学を学ぶことは、法曹界に進む者以外にとっても大きな意味があると説明したくだりに、なるほどと膝を打った。たとえば――。

    《「あと、法律っていうのは、これまで生じた様々な社会問題への対応マニュアルなんですね。その勉強をしておくと、社会では、これまでにどんな問題が起きてきたのか、そこではどんな価値や利益が問題になって、解決のためにはどういう道筋を通るのが有効か、っていうのが分かってくるんですね」》

     入門書ではあるが、わりと高度な内容までがつめ込まれている。たとえば、法科大学院で古代ローマ法や近代西洋法典編纂史が必修となっている意義について、歴史を遡って簡潔に説明されている。
     法曹界に進みたいと考えている若者にとってのみならず、一般人にとっても有益な法学入門なのだ。

  • 法学は奥が深い。
    憲法学者の知識の深遠さを覗くことができる。

  • 法学基礎の入門の入門という本。非常に読みやすく、抽象的な法の世界をわかりやすく教えてくれる。専門書よりかはかなり読みやすいがわかりやすい分書かれている内容は法学基礎を網羅しているわけではない。

  • 法とは何か、法学とは何か、ということがわかりやすく書いてある。入門書。法学的観点のほか、経済学的観点(かなり薄いが)からも検討を加えている。2人の教授が、1人の高校生向けに話している、という設定が引き込まれやすい要因だろう。

  • ワタベ先生の発言「僕は、誰かが不利益を我慢するのではなく、こうすれば当事者も満足するし、社会にも有益だという法的ルールを思いついたときが、一番楽しいですね。優れた法を創りだすのが、法学者の使命であり喜びですから」 そうか、法律の仕事って、創造的なものなんだ。
    実際の法律よりも、その基礎を対象とする法学原論の方が、より面白いと感じた。また、古代ローマから現代に至る法律の発展の歴史も興味深かった。
    それと、キヨミズ先生、ワタベ先生がおすすめする本をぜひ読んでみようと思う。

  • 法学部の人たちが言ってたことってこういうことだったのねーと。分かりやすかった

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著者プロフィール

1980年生まれ。憲法学者。東京大学法学部卒。同大学助手を経て、首都大学東京教授に就任。『報道ステーション』(テレビ朝日系)でコメンテーターを務めるなどテレビ出演多数。幅広い層に憲法学を発信している。著書に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)、『憲法の急所』(羽鳥書店)、『未完の憲法』(潮出版社・共著)、『憲法の創造力』(NHK出版新書)、『憲法という希望』(講談社現代新書)、『子どもの人権をまもるために』『自衛隊と憲法これからの改憲論議のために』(ともに晶文社)、『社会をつくる「物語」の力』(光文社新書・共著)などがある。

「2018年 『憲法問答』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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