「負け」に向き合う勇気 日本のサッカーに足りない視点と戦略 (星海社新書)
- 講談社 (2014年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061385511
感想・レビュー・書評
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開眼の1冊。
今までサッカーを観るときに抱えていたジレンマを一気に解消して
くれた本。
自分は相当天の邪鬼なんじゃないかと思っていたけど
サッカーに関しては間違ってなかったと思えた。
何より世界では自分のような見方が絶対的な多数派であるということは
うれしかった。
ただ、いくつか自分にも心当たりのある恥ずかしいこともあった。
そういうことを気付かせてくれたという点でも
この本を読んだ価値があった。
ワールドカップ前に出会えてよかった。
○勝てば喜び、負ければ悲しむ一喜一憂は、0か100かの極端な選択肢の中に身を委ねることを意味する。思考停止の状態にあると言っていい。
○五輪で試合を終えたばかりの選手にすかさず4年後について水を向けるインタビュアーは、その選手の応援者なのだろうか。
感動がお安いものであることが、明らかになる瞬間と言ってもいい。
○日本戦にはもちろんしっかり目を凝らすが、W杯観戦をそれだけで終わりにしている人は、サッカーファンとは言いがたい。日本代表ファンになる。
日本戦以外を何試合見たか。サッカーファン、サッカー好きの度合いはそれで決まる。そう言い切っていい。地球上にはそうした人がそれこそ無数に存在する。サッカーが世界で断然№1スポーツと言われるゆえんだ。
○笛に関する問題は、口にしない方が得策なのだ。自分たちが得をした笛には黙りを決め込み、ライバルが得した場合のみ騒ぐ。
第三者にはその姿がかなり見苦しく見える。 -
サッカーの見方が一段深くなる、脱「勝利至上主義」の蹴球論!
はっきりと言おう。今の日本のサッカーに足りないのは、負けに向き合う勇気だ。メディアもファンも、サッカー関係者さえも、勝利至上主義、結果至上主義に毒されている。常に「絶対に負けられない戦い」に臨み、勝っている間はただ騒いで、負けたらハイおわり。反省も検証も、ほとんどなされない。敗戦は「なかったこと」にされてしまう。これでは一向にサッカーの質は向上しないし、何よりサッカーの魅力から自らを遠ざけてしまっている。僕が思うにサッカーとは、じつは「負け方を競うスポーツ」であり、その真のエンタメ性は、敗戦の中にこそ見出すことができるのだ。「負け」は決して、辛くて苦しい出来事ではない!