声優魂 (星海社新書)

著者 :
  • 星海社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385672

作品紹介・あらすじ

「みんながこれをやらないから、私に仕事が来る」
声優界に並び称される者のない唯一無二の存在、大塚明夫。その類い希なる演技力と個性ある声は、性別と世代を超えて愛され続けている。バトーへの共感、ライダーとの共鳴、黒ひげに思う血脈、そしてソリッド・スネークに込めた魂─誰よりも仕事を愛する男が、「声優だけはやめておけ」と発信し続けるのはなぜなのか? 「戦友」山寺宏一氏をはじめ、最前線で共闘する「一流」たちの流儀とは? 稀代の名声優がおくる、声優志望者と、全ての職業人に向けた仕事・人生・演技論であり、生存戦略指南書。これは大塚明夫ファンが読む本ではない。読んだ人が、大塚明夫ファンとなる一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • 一貫して「声優を志すのはやめておけ」と言っているのだけど、その実徹頭徹尾、声優に本気で向き合っている人(とその周りで一緒にものづくりをしている人)に対しての敬愛で埋め尽くされている本でした。

    声優業界のビジネス的な面・テクニック的な面も知れつつ、演劇人とはいったいどういった生き物なのかということにも触れられていて、業界で生きるということはどういうことなのかを知れたと思います。

    また大塚明夫さん自身が長年声優業(演技)を自分の魂そのものとして研鑽・ぶつけてきたんだなと感じて、すごい熱い本だなと思いました。

    本書に直接的に書かれている話ではいけど、どの分野でも、本当に最後まで重要な一人物として全然で働ける人っていうのは、やっぱりその分野に対する並々ならない敬愛と自己研鑽ができる人なんだよな、ということも改めて感じました…

  • 大塚明夫さんが書かれた声優さんの現状を知らせる本。
    一気に読んで、ビターだけどまっとうな内容に
    頷きました。

    割とよく言われるナカミだから
    星3つ。でも面白いですよ。

    表現者になるって、なれますって
    方法があるんじゃなく
    なっちゃうひとはなっちゃうんだよって
    だけ。

    ならない人は、ブツブツ言いながら
    口とんがらかして、結局ならない。

    理由はいろいろあるだろうけど。
    やってみないと答えの出ない世界だから
    見切りを自分につけられるヤツ
    それを自分で引き受けて、ダメなら
    明日からレジ打ちでも工事現場でも
    ともかく働こう。
    自分を食わせよう、という根性のあるやつ
    だけが挑戦出来る世界だと思います。

    そして。

    役者さんの売れるサイクルが早くて
    出てきたと思ったらまだまだ上手いのに
    声を聞かなくなる昨今。

    こんなんでいいのかなあ…と
    ファンであるこっちが不安になっちゃうのです。

    いい役者さんの仕事にはいいオーディエンス。
    ほんとにね。

    イベントでお金落としてグッズ買うより
    もっとガッチリ感動してあげたい。

    そのためにはアニメだけ見てんじゃなくて
    本や映画、舞台、美術に触れること
    人といっぱい関わること。

    演る方も観るこっちも、根っこが貧弱じゃダメ。

    そして、声優なんかやめておけって言われても
    演るって人だけがかじりついたらいい。

    かじりついいてほんとに向いてなけりゃ
    腹を据えてやめる。

    ちょっとでも何かできたら?
    そりゃ何の仕事でも、必死で今日も明日も!
    頑張るしかない。

    これアンビバレンツだけど
    実はサラリーマンだって役者さんだって
    食っていくにはおんなじ心構えです。

    今はそれしか出来ない人間だから
    その職場に置いてもらえる。

    だったら、やらなきゃ。
    生きていけない。

    そういうことです。

  • 大塚明夫伝であり、声優という職業はないと言っている本。声優ではなくて、「声の役者」であると自己をとらえ、運と積極的な売り込みやチームとしての連携、自分が何をしたいのか徹底的に掘り下げて、見つめなおすことの大切さを述べた本。「声優になるために色々理由付けを考える」のではなく「色々考えていたら声の役者しかない」という風に「色々考える」を文章のどのあたりに持ってくるのか注意しろよと述べている本。「声優になりたい」という認識では「声優になれない」という本。自分の時代背景の良さもしっかり語っている非常に良い本です。

  • これはたしかに・・・「声優はやめとこ」と思える話だった。
    厳しめではあるけれど、これくらい書かないと、安易な気持ちで声優を目指す人が増え続けるだけなんだろう。
    大塚さんもそこまでは言っていないけれど、きっと「憧れの声優さんに会いたいから。一緒に働きたいから」って思ってる人は多いと思う。

    たしかに、ラジオで好きなように喋っている声優さんは、すっごく楽しそうだと思う。
    アイドル声優として、若いうちから出て顔も売り出している人も多い。
    今風な「声優ブーム」は、あまり好きじゃないなぁと思っていたので、大塚さんにこれだけハッキリ言ってもらえたのは嬉しかった。

    最近は、人気のある声優さんに仕事させすぎなのでは、とも思う。
    アニメやCDなど、メインメンバーは毎回同じ人だもの。これだけ声優志望がいるのにそれって、代わる人が育っていないということでしょう。
    もしくは、「この人出しときゃ売れるんだ」って考えなのか。

    声優も有名人。芸能人。役者さん。
    そう簡単になれるものではないんだ。

    とにかく、自分は今の道で、自分にやれることを探して、もっともっと足掻こう。

  • 「声優になることは、職業の選択ではなく生き方の選択である」

    本書は洋画吹き替えのニコラス・ケイジ役やゲーム:メタルギアのスネーク役で有名な大塚明夫氏よる人生・仕事(声優)論です。

    表紙の帯に「声優だけはやめておけ。」と一文がある通り、
    大塚氏は声優業界を「ハイリスク・ローリターン」と表現しており、
    職業として推奨できない理由が明確に記載されております。


    自分の仕事とリンクするものとして面白かった箇所は、
    「声優学校を経て声優になる」考え方に物申しているところです。

    声優業界は世にでる作品(アニメ・洋画・ナレーション)が限られている以上、
    そもそも仕事の枠自体が非常に狭い世界です。

    その上、スポーツとは異なり年齢による衰えも少ないため、狭い席を新人・ベテラン関係なく争う構図になっております。その中で役を勝ち取るためには、抜きん出た「何か」が必要になります。

    一方で学校側においては、大勢の生徒にスキルを叩き込む必要があるので、効率的で一貫したカリキュラムになります
    そのため、結果として無個性で画一的な声優しか育たない弊害があります。

    厳しい競争で役を掴むためには「はみでた何かを持つ」必要があるのですが、学校ではそういったものを削ぎ落としてしまうため、「無個性な声優」が増えていき、使い捨てにされていく…

    要は、学校は「プロフェッショナル」そのものは育てることができないということです。


    こういった状況に対し、
    大塚氏は、演歌歌手や落語界のように、
    「徒弟制度(師匠と弟子)」を導入しても面白いのではと記述しています。

    これは弟子に対する技術の継承というより、
    先達としての視点で助言する「メンター」的な役割と、
    現場に連れ回して業界人に顔なじみになってもらうための「リクルーター」的な役割で書かれております。

    私の会社でも徒弟制度なる仕組みがあり、成果指標の一つとなっておりますが、少し本来の意味や使い方と違いますね。ビジネスの短期的な数値目標に対して使われる用語ではないでしょう。

    徒弟制度という言葉からも、
    大塚氏は声優を「職業」として見ているのではなく、
    人生をかけて極めていく「道」として捉えていることがわかります。

    それが冒頭の「声優になることは生き方を選ぶこと」という言葉になるのだと思います。

    表題は声優とついていますが、
    プロとしての仕事哲学を教えてくれる、オススメの一冊です。

  • 「声優になる」とは、生き方を選ぶということ。
    スネークが語りかけてくる。
    ゴツゴツとした言葉の中にある、力強いメッセージ。

    とりあえず、買って読むといいよ。

  • テレビなどでその声が流れてくれば、「あっ、大塚明夫さんだ!」と聞き惚れるファン。山寺宏一さん、実父大塚周夫さん、義兄弟(?)大塚芳忠さん、菅生隆之さん(書かれていない方も入ってますが)も「一流」です。「戦友」山寺宏一さんと共演している『イノセンス』を先日観たばかりで、声が脳内再生されます。

  • これもブログで紹介されていたので、読んだ一冊。大塚明夫が好きだってのもあるし。

    大塚明夫と言えば、ブラックジャックやソリッド・スネークなどが出てくるだろうけど、僕にとってはモンタナ・ジョーンズ(モンタナ・ジョーンズ)であり、ネモ船長(ふしぎの海のナディア)であり、アナベル・ガトー(機動戦士ガンダム 0083)なのだ。

    モンタナ・ジョーンズなんて、知ってる人少ないよなー。面白いアニメだったのだが。

    本書を読んで、「大塚明夫って優しいな」と思った。かなり挑発的な内容も書かれているが、それでも声優志望者に対しての愛情に溢れているし、何よりも声優という仕事への愛に溢れている。

    内容は、必ずしも声優だけに通用する話ではない。普通のビジネスパーソンであっても、参考になるところはたくさんある。「挑戦しない新人に可能性を感じるわけがない」なんてのは新人のみならず、ビジネスパーソン全員にそのまま使える言葉だし、「本当にやりたいことはなにか?」という問いかけは、正に僕自身が考えなくてはいけないことでもある。

    ビジネスでも声優でも俳優でも、「アイツだったらしゃあないな」と言わせられるかどうか、ここが本当に重要。その意識を持っている人間は、(僕も含めて)非常に少ないと思う。僕にその覚悟があるのか?正直自信はない。

    ただそれをやり続けてきたのが大塚明夫なのだろう。本人も「今新人としてデビューしたら売れていないだろう」と書いているように、多分に運の要素が強かったことも事実。でも、その運を逃さずに活かしたのも事実。常にそれを活かしてきたからこそ、今の大塚明夫があるのだと思う。

    あとがきの最後のページ、これは痺れた。僕もそうだな。『胸躍る最高の仕事』を仕上げることが、僕の最大の望みでもある。クサい言い方ではあるものの、それを目指したいと思っているし、その先にカネもあると信じている。

    カバーの折り返しに「これは大塚明夫ファンが読む本ではない。読んだ人が、大塚明夫ファンとなる一冊である」と書かれている。その通りかもしれない。

    声優という仕事、そして大塚明夫という声優に興味があるなら、ぜひ読むことをお勧めする。読んで損はしない。

  • 攻殻機動隊・バトー役、メタルギア・スネーク役などで有名な声優、大塚明夫氏の半自伝的な本。声優業界の事情、声優希望者に対する苦言などなど。硬派な生き方や仕事ぶりが披露されますが、結局この一言につきます。
    「声優とは職業ではない。生き方だ」
    大塚氏の場合、声優=役者ですが、ほかにも音楽家や作家、芸術家など当てはまる仕事はたくさんありそうです。いずれにしても、人がその仕事を選ぶのではなく、仕事に選ばれるタイプですね。

  • 元々は俳優だったのか
    声優の給料ってかかった時間関係ないのか
    双子役で2人分でも1人分のギャラってことなら山ちゃんは……
    昔って局ごとに吹き替え違ったの!?
    声優さん詳しくないから山ちゃんと大塚さんが戦友なのも知らなければ、父が大塚周夫さんなのも初めて認識した、名前は見たことある
    声優とはという話だけど、それ以外の職にも通ずるものがありそう

    一堂に会しじゃなく一同に介しなの?アニメわからん

    ギシのヘッドでスター選手になったっていうの違和感しかないw
    2006年レッズ優勝の貢献者で、元から輝いてたよ
    都築という強力なライバルがいたから切磋琢磨して、何度もチャンスを掴んだり逃したりしてたよ

    いい刀はほんそれだなぁ
    VTuberが作品作ったり出たりしてるくらいだし、そのうち声優しててもおかしくないなとこの本を読んでて思った
    地声でも作られた声だとしても、表現力ある人いるし

    声優は表現よりも対話のお仕事なんだな
    作品との対話、キャラとの対話、相手との対話、対話に表現がついてくる
    台詞にコードは考えたことなかったな

    のせることやなんかもってなんか続こうとしたわけじゃないよな?

    配信者は葬式配信や墓ライブカメラなんて話をしてたりするけど、役者は寝たきりでもできる役を探す話とか、どの界隈も似たような感じの感覚なんだな
    その身尽きるまで

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著者プロフィール

音声:大塚 明夫声優/役者。1959年生まれ。江崎プロダクションに所属。誰もが魅了される強靱な演技力で、業界内外に多数のファンを産み出し続けている。代表作に、『メタルギア』シリーズのソリッド・スネーク役、『攻殻機動隊』シリーズのバトー役『Fate/Zero』のライダー役、『ONE PIECE』の黒ひげ役。洋画吹き替えでは、スティーヴン・セガール、ニコラス・ケイジ、デンゼル・ワシントンなどを幾度となく演じる。

「2023年 『音声ガイドで 聴く名画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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