整形した女は幸せになっているのか (星海社新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 129
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385696

作品紹介・あらすじ

顔さえ変えれば、うまくいく?
あっけらかんとした「公言」に留まらず、手術前後をブログで「実況」するモデルまで出現し、ますますカジュアルになっていく「美容整形」。ある調査によれば、18歳~39歳の日本人女性の実に11%が、整形経験者であるという。スマホで手軽に写真撮影・アップロードができ、これまで以上に「見た目」で判断される機会の増えた現代社会。時に美しさは、幸せになるための必要条件であるかのように語られる。美しく生まれた女が幸福に近いのであれば、美しさを「手に入れた」女もまたそうであると言えるのか。現代社会だからこそ出現したこのいびつな問いに、社会学の俊英が挑む。あなたのモラルは、どこまで許す?

感想・レビュー・書評

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  • あ、そうだよね…と、割と想像通りの結論だったかな。
    あまりわたしには身近でない話題かつ女性なら興味深いテーマで、最後まで飽きずに読めました。
    整形をした女性のリアルな言葉を知れたのはよかった。心を病むほど見た目にコンプレックスがあるのなら、治療として整形を選ぶという手もある。

    なんとなくタイトルで損してる気がする。結論が目新しくないならこのタイトルである意味がないのではないかと…。

  • ネットでは、実況報告がたくさんあるとか。
    整形予備軍(中高生)は、お小遣いで、美容化粧品を使っている。プチ整形によるカジュアル化、TV(ビューティコロシアム)の影響もあり。改善のために整形し、それを繰り返す。整形したい欲求は、富裕な社会背景がある。
    フィットネス・ボディコンシャス⇒体のアイデンティティ。理想のボディは変化する。若さ、外見のコンプレックス⇒整形という図式⇒本当の自分⇒自分がどうなりたいのか?
    整形による自己と他者=他人の見た顔。本当に幸せなのか?
    私の顔は他人の顔&美しさを求める、グロテスクさ。

  • 女性がキレイになっていく過程は
    男性・他者的目線の影響をうけなければならないと考えられている。

    美容整形は「チート」なのである。
    美への努力の仕方というものは
    平等や精神論の中で輝く倫理観でなければいけない。
    お金で解決できてしまう事は
    醜く見せてしまう。

    実際に美容整形のお客様は小悪魔ageha層に多く見られる。キャバクラのバイブルとも呼ばれたこの雑誌の読者層にとっては
    美(若さの維持)をお金で買い自分に還元する事は死活問題なのである。

    女性の美の追求は年齢への抵抗であると共に
    他者に評価されている「私の顔」とどこまで寄り添うかでもある。

    著者曰く女性の顔は他人評価と自己評価の狭間でいつも悩んでいる。その差を埋めるために美容整形を行う事もあるのではと述べている。

    ただタイトルの『整形した女は幸せになっているのか』はまさに男性・他者的目線に評価を預けてしまっている。

    あなたがキレイだと思う事を
    あなたの判断でがんばりなさいと言っている。

    そうか私が寄添わなければいけないのは
    あなた自身だ。

  • 大学2年のときに美容整形をテーマに研究したことがあったので、個人的に非常に懐かしい。
    当時は「プチ整形」が出始めてきた頃だったから、そこから10年弱経過している現在は、かなり社会の認識も変わったのではないかなと思う。

    『美ST』などが出てきたのはその証左だ。
    ただし、『小悪魔Ageha』が廃刊となり、かつビューティーコロシアムも放送を終了している。

    ナチュラルであることが流行りだから、実は美容整形も流行らないのではないかとも思ったが、むしろ元が悪ければナチュラルに見えるように顔を変えなくてはいけない。

    また、雑誌やTVでなくとも、今やネットでたくさん情報をとれるんだなとも気づいた。

    「そもそも何にも依存してないで生きてる人なんていないと思う。人は必ず、仕事や家族、恋愛、趣味、人間関係とか、様々な対象に依存している。そうじゃないと自己確認ができないから。他人との関係の中で自己確認をして、自分のポジショニングとか、価値みたいなものを図ろうとするから、依存せずにはいられないわけ。」(中村うさぎ)

    「若さは美しいけれども、美しさは若さではないよ。美はもっとあらゆるものを豊かにふくんでいるんだ」(岡崎京子「ヘルタスケルター」)

    あたりの引用が的を射ていて考えさせられた。

    女性はいつ「美しさ」というステージから退場すべきかという問題は、いつまでたっても決着がつかないだろう。

    それは、鷲田清一を引用しながら著者が「私の顔は他人のもの」というように、自分の顔を常に他者が評価し、勝手なイメージを抱き、それを本人が受け取るという仕組みで世界が成り立っているからだ。「私の顔」を所有するのは「私」ではない。

    だから、時代によって変化する「美しさ」に私たちは翻弄されてしまい、顔を変える欲望を芽生えさせる。と同時に、無意識に顔で他人の性格を決めつけてしまっている可能性もある(かくいう私も、著者の北条さんの見目麗しい顔を思い浮かべながら、この本を読んだ笑)。

    北条さんの構成がちょっと練れていない部分があり、また私が個人的に考えがまとまっていないこともあり、うまく総括できないが、いろいろと考えさせられる問題提起で面白く読めた。

  • 期待以上によい。ルポルタージュでも論文でもマーケティング本でもないユニークな存在だ。容貌コンプレックスが抜けない者として興味深く読んだ。いい意味でこなれていない文章にパワーがある。

    [more]<blockquote>P61 整形した人の事例を知る→その人の人格を精神論で解釈する→整形は結局あまりよくないことであるという結論へと至る というお決まりのパターンが繰り返される。このもどかしさはなんだろう。

    P87 かわいい子はいわば「名誉男性」として、男性グループの「ちょっと下品な話題」に参加することができる。かわいい子の前であれば男子は他の女子の見た目に言及しても失礼にならないと考えているのだ。

    P115 「私」の身体は、消費されると同時に、投資の目的となり、消費の対象となる。

    P139 「ノーメイク顔とメイク顔、どちらが自分らしいか」というアンケート‐2004年から「メイク顔」の割合が増えている

    P142 少なくとも意識の上では、整形と化粧の垣根は限りなく低くなった。[中略]今、メイクで『整形並みに盛る・詐欺る』ことは、後ろめたいというよりむしろ『可愛くなるテクニックを知りぬいている』というほめ言葉ですらある。

    P161 わたしが私を愛するのは、一見素晴らしいことである。しかしそれが『私探し消費』と結び付くと、いつの間にか『私大好き!』という、底なし沼の自己愛が生まれる。大好きな私のために何かをしてあげる。もっともっと、本当の私の魅力を伸ばしてあげたい。[中略]彼らの多くは自己啓発セミナーやその道のカリスマ等の『自分探しホイホイ』に引っ掛かり『夢』を追い求めるための消費をする。

    P167 興味深いのは、いくら整形を重ねても『遺伝子レベル』で別の顔になることは難しいという点だ。「親戚中だれにも似ていない」ほどまで顔を変えるのは実は難しいのだ。よって整形した女性が産んだ子供も、たいていは親族の誰かに似る。

    P222 「顔や体で稼いでいるわけでもない一般人の女」がそこにお金をつぎ込むことに妬ましい感情を抱いてしまう。[中略]私たちの頭の中には、「正しいお金の使い方」という幻想があるのかもしれない。


    P224 美醜の問題に関してズルさが払拭できないのは、やっぱり頭のよさよりもスポーツの能力よりも何よりも『美』が有無を言わせぬ絶対的な力を持ちうるからですよ。エロス暴力とは、相手の欲望を強く喚起してしまう力だ。それは受け身のようで、凄まじく強靭な力で持って相手の行動を変えてしまう。−これだけ整形が一般的になったのに整形した女性へのバッシングがなくならないのは、やはり『エロス暴力』をお金で買うという行為が後ろめたいからでしょうか。

    P237 病気を理由にして美の市場から降りるいいチャンスかもしれない。でもまだふんぎりがつかない、どこかで何とかなるんじゃないかと思ってしまう。

    P253 『整形とは自分のためのものでしかない』という消極的な自己決定の論理だ。

    P255 本当の顔を知っているのは、他人だけだ。私の本当の顔を私は絶対に見ることができない。そのずれが『私』の自意識を揺るがせる。極端な解釈をすれば『私の顔は私のもの』ではなく『私の顔は他人のもの』なのだ。

    P263 整形して幸せになるかどうか、という問いがちょっとばかばかしいのは、その問いかけ自体が、他人に「幸せの基準」を委ねていることになるからだ。

    P264 「私」はどうしたら幸せになれるのか、徹底的に追求し、もがくのはみっともないことではない。その手段に美容整形を選んでもいいし、選ばなくてもいい。ただ自分の欲望を追い求める手段と方法は、自分で決めることだ</blockquote>。そしてその決断に責任を持つことである。

  • 文字通り、女性がなぜ整形をするか、また整形した女性のその後について丹念に分析した一冊。

    女性は美醜が想像以上に大きなウェイトを占めており、「イケメンで世界を制した人はいないけど、美人で世界を制覇した人はいる」というのはけだし名言。
    また、整形依存症と言われてる中村うさぎのインタビューも面白かった。

  • テーマが怖すぎる。怖いもの見たさで手に取ってしまうが、実際に強烈だった。読みごたえある。

  • 494.7

  • 実際に整形した女性の声を基に、美容整形に関して論評した本です。女性の行動力の源泉は端的かつ強力なものだと感じます。「理想の自分に近づきたいから」、「モテたいから」などの理由には人を動かすパワーがありますね。基本的にはインタビューが内容の多くを占めているのですが、時折出てくる整形の歴史、どのような時代背景から女性が整形をするように至ったのかなどの話が新鮮でした。星が少ないのは、単純に整形みたいな話が個人的に苦手だからです・・・

  • 整形して己のコンプレックスを克服した人は幸せそうだったけど、整形地獄に陥った人は大変そうだなぁと思った。中村うさぎさんのインタビューは、読むにつれて泣きそうになった。

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著者プロフィール

北条 かや(ほうじょう かや)
1986年、石川県金沢市生まれのライター。19歳の時、大澤真幸『身体の比較社会学〈1〉・〈2〉』を読み衝撃を受け、以後社会学に没頭。同志社大学社会学部を出たのち、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。
修士論文の題材と実地体験をもとに『キャバクラの社会学』を執筆。ほか、『整形した女は幸せになっているのか』『インターネットで死ぬということ』など。

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