「表現の自由」の守り方 (星海社新書)

著者 :
  • 星海社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385863

作品紹介・あらすじ

私たちは、これからもマンガ・アニメ・ゲームを楽しみつづける!
児童ポルノ禁止法、TPPに付随した著作権非親告罪化、国連による外圧、「有害図書」指定、青少年健全育成基本法……日本が世界に誇るマンガ・アニメ・ゲームの表現は、たえず厳しい規制の危機にさらされてきた。しかし、争点を冷静に見極め、したたかに交渉を重ねていけば、必ず「表現の自由」は守ることができる――。本書は、参議院議員としてマンガ・アニメ・ゲームの表現規制を水際で食い止めてきた著者が、永田町の表と裏の舞台で行ってきた活動を明らかにするものである。単に「規制反対!」を大声で叫ぶのではなく、私たちの表現を守るために、一人ひとりにできることを共に探っていく座右の書。マンガ家・赤松健との特別対談を収録。

感想・レビュー・書評

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  •  1999年に「紀伊國屋事件」があったことを恥ずかしながら初めて知った。「初音ミク失踪事件」なら知っているけれども。グーグルから初音ミクの画像がまったく検索されなくなる。リアルタイムで経験したので印象に残っている。
     紀伊國屋事件で店頭から撤去された本は、バガボンド、ベルセルク、あずみ等で、こんなリアル図書館戦争みたいな馬鹿げたことが本当にあったのかと、目を疑った。
    「児童ポルノ」という言い方ではなく、「児童虐待記録物」とすることや、規制派の意見は結局のところ、自分の好きなものは規制する必要はない、自分が嫌いなものは規制せよ、と言っているに過ぎないと喝破するのはよかった。あまりにも規制派側の議員の例にあげている漫画が滅茶苦茶だからだ。
     この本は主に「国会での立ち回り方」を解説している。官僚は法律を作る前に大臣に関与されるのを嫌がり、大臣に隠れて法律を作り、関係各位の調整が終わっているので変更できませんとすることなど、権力の流れについて解説している。そこで、どんな答弁を偉い人から引き出したり、委員会に参加することによって、「抵抗」するのではなく、どのようにその「流れ」を変えて、うまい落としどころに収めるかを書いた本だ。付帯決議をつけて、どのように無効化するかなど、やり方を書いている。連戦連勝しているようだが、結構ぎりぎりだったのがわかる。
     麻生財務大臣からチャタレイ夫人のエピソードを引き出し、何が有害かは時代によって変わり、「有害図書を法的に定義することはできませんと答弁したと同じ」を引き出し、安倍総理から「検閲はですね、これはできないわけでございますから、それは全くもちろん考えておりません」と、有害図書指定のために事前に出版物を政府が審査することを不可能としたことは、勝ち方のとても良い例だ。相手は、規制・弾圧だと思われて票が減るから、「弾圧だと思われないように、善意で優しく規制して、気がついたら何もできなくなるのを当たり前にする」のをやってくるわけだから、「一歩も譲れない感」を持って、無効化する戦いが繰り広げられる。ニコニコとかアニメ・漫画・ゲームの場に政治家を呼ぶのは、これを読めば、「呼ぶ呼ばないで言えば、呼んだ方がほんのわずかにまし」とも思える。
     あと、「インターネットは基本的人権である」は良いと思う。これ、図書館の原則の中にも入れないかしら。「資料」という言葉でなくて、もっと「電脳」を思わせる言葉がないものかしら。
     しかし、表現の自由を守る人間が「山田太郎」というのがとても面白い。山田太郎なんて、あまりにも日本人的な名前というか、図書館とかで「書き方の例文」とかで使われそうな、逆にレアな名前である。表現を守る先頭を走っているのが「山田太郎」。なんだか奇妙な気分になる。

  • 相手を打ち負かしてすっきりする事が勝ちではない。自分の望む結果に導く事が勝ちである。
    目から鱗とはこのことである。
    ビジネス書として要再読。

  • 表現規制との戦いの歴史は記録化されていない、とずっと苦言を呈していた山田太郎議員による一冊。
    続編が2022年に発売されたが、先にこれを読んでおくとより色々分かる。

  • ● 2017年になって児童ポルノ法が再び改正されたときには、もはやそこにアニメやゲームや漫画が含まれることが既成事実になっていた。だからこの年を持って、日本の漫画が死んだ年と呼ぶ人が多い。
    ●法律と言うのは最後の手段だと考えています。法律がなくとも、文化や風習、習慣によって社会秩序が保たれているのであれば、それで良い。それではどうにもまずいと言う時にだけ法律でルールを定めれば良い。
    ●韓国ではアチョン法施行によって、2011年に2000人以上が逮捕され大きな社会問題となりました。強姦罪の刑も重い。実在する児童の人権を侵害したのならともかく、単に絵を書いただけ、創作をしただけでうける罰としてはあまりにも重過ぎる。
    ● TPPによる表現の危機。知的財産分野の3つの争点①著作権保護期間の延長②著作権の非親告罪化③法定損害賠償制度
    ●インターネットは基本的人権であると言う言葉。知りたい情報を知ることができ、表明したい自分の意見を表明することができる。インターネットが可能にしたこれらの事は、基本的人権として、今や誰もが自由に享受できるべきものでなければなりません。そのような状況下でインターネットが制限されると言う事は、国民の表現の自由、知る権利が制限されることを意味します。だからこそ基本的人権なのです。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    この本を読むと山田太郎前参議院議員が「表現の自由」のために様々な場面で活動していることがわかり、改めてこの人を応援する事の重要性を理解できた。この人のすごい部分は対立している人物や組織と折り合いをつけ、落とし所を付けることだと思う。自分には絶対にできそうにないことだ。
    「表現の自由」が「児童ポルノ禁止法」「TTPによる著作権の非親告罪化」「ふたつの外圧」「軽減税率適用にあたっての有害図書指定」「青少年健全育成基本法」と様々な分野で重要な問題になっていることが理解できた。改めて注視していきたいと思う。
    また、この本を読んで驚いたことだけど日本に「児童の性的虐待」を担当する部署が存在していないということは大変に驚いた。それが山田太郎前議員の質疑で政府が本格的に動き出したことには感動を覚えた。これからはこのような政治家が「表現の自由」だけではなく、多くの分野で現れてくれることを祈りたいと思う。
    最後に首相や官房長官、各大臣の仕事ぶりを知ることができたのは良かったと思っている。

  • 2016年度best3

  • 戦いの軌跡。
    望みたくない未来が守られた話。
    答弁の引き出し方が緻密ですばらしい。

  • あとがきに2016年参院選について言及していた正直さから、信用していいんじゃないかと。表題のマニュアル的な内容ではなくて、表現の自由についての攻防戦、あるいは議員活動日記な内容。そういう意味だと、議員活動の一端を知るにはいいかも。
    単なる私の思い込みですが、表現の自由を失うことの重要性を訴えるのが弱いと思います。冒頭のアレな小説もありますが、児童ポルノを突破口に、気に入らない言論は児童ポルノの拡大解釈で、片っ端から刈り取る手段になってしまう恐ろしさが今ひとつ感じられませんでした。

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著者プロフィール

参議院議員。1967年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。米国外資系企業副社長などを務めた後、製造業向コンサルティング企業を創業、3年半で東証マザーズに上場させる。東京工業大学特任教授、早稲田大学客員准教授、東京大学工学部非常勤講師などを歴任。現在は、自由民主党所属の参議院議員、デジタル大臣政務官兼内閣府大臣政務官、表現の自由を守る会会長、エンターテイメント表現の自由の会名誉顧問を務める。政治家としては、表現の自由、デジタル政策、こども政策、障がい者政策、知財政策など幅広く取り組む。とりわけマンガ・アニメ・ゲームを中心とした表現の自由を守るために尽力し、度重なる危機を食い止めてきた。

「2022年 『「表現の自由」の闘い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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