- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061385894
作品紹介・あらすじ
「埋没するな。馬群に沈むぞ」
声優界に並び称される者のない唯一無二の存在、大塚明夫。「声優だけはやめておけ」声優業界が理不尽なルールに支配された世界であることを知るがゆえ、大塚は声優志望者たちにそう繰り返してきた。それでも、「やりたい!」、「わたしならできる!」という人間は後を絶たない。「これだけ言ってもあきらめられないやつらのためにできることがあるなら」こうして、一夜限り、“本気”の人たちだけを集めた、声優塾の開講が決定。大塚明夫本人が全国から集まった16人の生徒と対峙したその貴重な記録を一冊に凝縮したのが本書である。声優だけではない、すべての芸道を往くものに贈る、路傍の石で終わらないための実践的演技・役者論!
感想・レビュー・書評
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面白かった。
声優という仕事への解像度が上がった。
当然と言えば当然なのだけど、映像に生身で出演するような演技の技能とは別ものなのだな。
そのことが講義を通して受講生に対して解説指導されることで、読者であるわたしも啓蒙された。
特にアニメを視聴する際、声優の演技の良かった部分に、より気づけるようになりたいなと思った。
残念だったのは受講生の課題演技ボイスが付録的にQRで記載されていたのだがそれが使用できなくなってしまっていた点と、誤字脱字が割と目についた点。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
声優や舞台役者を志す人にとっては、すごく勉強になる本だと思います。自分が本当にしたいこと、成し遂げたいことを考えさせられました。
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2015年のイベント「マチ★アソビ」の企画として催された、声優・大塚明夫による声優志望者たちへの特別講義の様子を書籍化したもの。
購入時の帯に掲載されていた大塚の台詞「いやぁ、上手だね…。こういう人が深夜のアニメに出て、そしてどんどん消えていくんだ」は、的確過ぎる。深夜アニメで注目されて、それから他の作品にもバンバン出演するようになった新人や若手声優はかなり少ない。むしろ「この人、ゲーム作品ではよく見る名前だけど、アニメじゃ全く見ないなぁ」・「あの人、あの作品のあの役以来どうしたのかな?」という方は多い。'10年代で売れない声優はかなり多いことが本書からうかがえるが、'20年代の現在はなお大変だろう。 -
大塚明夫さんと納谷僚介さんによる、声優志望者たちへの講義記録。
QRコードによって、その参加者の皆さんの実演を聴くことができ、
それに対してのコメントを読めるというのは、キツイけど画期的です。
また納谷僚介さんの「売る側としての目線」がそれに加わるのも、
これまたキツイながら、現実の現場を考える上では貴重だと思います。
『声優魂』と同じくいろいろ心には刺さりますが、
見ていること考えていることが決して間違ってはいないという
心強さも感じさせてくれる一冊でした。 -
声優業界の厳しい世界を垣間見る。運もあるだろうけど、実力がないと長く続けていくことは難しい。QRコードを使ってYouTubeで塾生の「演技」が聴けてその評価も読める。声優を目指している人にとってはかなり価値の高いものなのではないか。オケの練習でも、他のパートが捕まっている場面で、現状、指揮者による指示、その結果を聴き比べることによって、他パートであっても得るものがあるのに似ている。ソシャゲの声の仕事の場合、声のパターンを固定した方が良くてアニメなどとはやり方が異なるというのは、「中の人」でないと分からないことかも。
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2015年の「マチ★アソビ」で行われた大塚明夫氏と納谷僚介氏の特別講義を書籍化したもの。「声優魂」の続編というか実践編です。前著の「声優魂」を読んでいないとわかりにくいと思います。それぞれの参加者へのコメントで、大塚さんと納谷さんの中で立場によって微妙な差が生じるのは興味深い。正解がないというのは本当だと感じられる。演者を目指す人だけでなく、一般的な仕事論として読んでも面白い。実際のボイスサンプルをQRコードで聴きながらコメントを読むと役者、製作者側の考えることの一端が垣間見えます。ラスト部分は重い。
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声優の大塚明夫さんが行ったセミナーを文字起こしした本。実際にセミナーに出た人は非常に得るものが多かったと思うし、出て文字通り人生が変わった人も居たと思う。そのくらいの真剣のやりとりが本の中では繰り広げられている。声優という仕事を行うにはどういう覚悟が必要なのか、がよく分かるし、これは声優に限らず他の仕事にも共通した内容はあると思う。大塚明夫さんが好きな人や声優を志す人は読んで損なし。
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理解力と想像力と技術力と表現力の三つが備わっていて才能と運があって、自分のことをちゃんとわかっていてマネジメントできる人。台本の意図を読み取る読解力と、どんな演技が求められているかをわかる人。この本では、特に読解面に重点がおかれて指導されている。こういう風に具体的に講義風景が文字で追えるのは面白かった。新人は実力にたいして差なんてないし、台本に顔を書けとか、色々アドバイスは面白かった。
最後のオチとしては、この中で声優になれそうな人はいますか? とあって、「いないだろうね」という終わり方。これはあえて挑発で掲載しているんだと思った。「あなたも声優になれる!」ではなく「お前は声優になれない!」からはじまる声優塾というか。「結局どうしたらええねん」をきわきわのところで避けているのが大塚明夫さんの面白さの理由だと思う。
著者プロフィール
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