ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)

著者 :
制作 : いとう のいぢ 
  • 講談社
3.18
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本棚登録 : 641
レビュー : 129
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061388376

感想・レビュー・書評

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  • キャッチコピーは「それは2010年代の『時をかける少女』。筒井康隆、ライトノベル始めました。」というもの。77歳にしてライトノベルとは、これいかに!?ということで、年齢も高いが、ラノベにしてはお値段も、これまたお高いなぁと思ったのだけれども、ネームバリューに翻弄された私は発売日に書店へと駆け込んだのだった。

    さて、満を持してページを開いた私は目次を目にして、いったんページを閉じることになる。そこには歓喜と絶望が間違いなく同時にあった。目次だけでこれだけの興奮をと衝撃を、期待と不安を掻き立てられることがあっただろうか、否、ない。

    主人公はビアンカ北町である。かわいい。すごくかわいい。遅れたがイラスト担当は、いとうのいぢ氏である。どうでもいいけど、名前がオールひらがなの方って文章に混じったときの収まりがイマイチなので、個人的には漢字かカタカナでおねがいしたいところである。

    さて、そのかわいいビアンカが、作者の頭おかしいとしか言いようのない仰天の発想により、時を巡ったり欲望に忠実に大活躍。頭おかしい。頭がおかしい。出てくるキャラが総じて頭がおかしい。

    全てを読み終えたとき、ストーリーを要約すると、とてつもなくどーしよーもない話なのだ。おそらく筆力がない作家が書いたら、本当にどーしよーもない作品になってしまうだろう。それが御大の手にかかるとこうも見事にエンタメになってしまう。それはまるで魔法をみているかのようで・・・というか、普通のラノベとはやはり格が違うということか。作家の格。

    本編187ページという分量は、普通のラノベとして考えると少いほうだろう。紙のサイズが違うので、文字数で比較したらどうなのかは知らんのだけども。しかし読み終えたあとの満足感、充足感は素晴らしい。構成に無駄な部分がないので読んでいて気持ちがいいのだ。RPGのレベルアップの作業感みたいな、やらされ仕事の面倒感がなく、スタートからゴールまで夢中で突っ走る感じ。

    あとがきで「通常のラノベとして読むエンタメの読みかた、そしてメタラノベとして読む文学的読みかた」と述べられているのだが、これは読んでいて確かに納得。確かにそういう構造になっている。狙っているのか、ハルヒパロっぽいところもあるし、他作品を連想させるところもある。ただ借り物ではなくて、きちんと作者の色にコントロールしているのはさすがである。

    続編のタイトル構想は「ビアンカ・オーバーステップ」らしいのだけれども、御大にはもう続きを書く気力がないらしく、他人が書いてもいいと述べている。しかし「オーバースタディ」を見せられて、代わりに書くという身の程知らずが名乗りを上げるかどうか。見守りたい。

  • 一見キワモノに思えるが、その実かなり練りこまれたメタライトノベル。通常のラノベは寸止めとでも言うべき性的な描写のラインを守っているが、本作はそれをテーマにしつつ文字通り射精へと導いている。特にハルヒのパロディめいた台詞にピンク・レディーのUFOで返すくだりは秀逸。

  • 奇奇怪怪なケッ作。筒井康隆だからフツーのライトノベルではないと思っていたが、思った以上にはっちゃけていた。キャッチコピーを作るなら「手コキから始まる遺伝子組み換えSFラブコメディ」だろうか。序盤から一発かましてくるが、後半になると状況設定のカオスっぷりに拍車がかかり、すごく強引に纏め上げているが、それがいい。ただ、結末が案外穏当なものだったのがちょっと不満ではある。これは太田が悪い

  • 早く続きを!

  • あとがきが最高。

  • あんまりライトノベルを読んだことがないからこの作品が正統なライトノベルに位置づけられるのかどうかよく分からないが、どちらかと言えばライトノベル風の舞台仕立てに筒井さん流エログロを付加したパロディ作品になるのだと思う。『郵性省』を思い出した。
    おそらく書くにあたって『時をかける少女』や『愛のひだりがわ』といったこれまで書いてきた「ジュブナイル」≠「ライトノベル」という線引きはしたのであろう。あとがきに書いてあった通り「わが本来の作品に」誘導される読者が多いことを願う。
    太田が悪い。

著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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