ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)

著者 :
  • 星海社
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本棚登録 : 685
感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061388376

感想・レビュー・書評

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  •  前半は、まあ、映像化したらモザイク必須だが、全裸シーンがあるわけでもなく、さっぱり爽やかなエロスと青春模様が展開される。
     だが後半に入り、舞台が未来に移ると、クライミライについて解説が入る。
     文明は衰退、人類は虚弱化、おまけに生物災害まで発生。男性の草食化は進行して、生身の女性を前にして欲情はしても抱く気にならない。ここら辺のシニカルな展開はいつもの筒井康隆だ。

     初のライトノベルで、過去の作家たちが越えまいと引いていた一線を簡単に越え、更に自他両方の過去作品を簡単に連想させるようなパロディを盛り込み、いつものアイロニカルな作風も忘れず加えた問題作を書いた筒井康隆氏。

     喜寿を過ぎてもまだまだ意気軒昂のようだ。

  • ラノベはハルヒしか読んだことないこともあって、ハルヒとおんなじような印象(キャラ設定とか)
    まぁあそこまで面白くないけど
    途中までは、おいただのエロ本かよと思う展開だったけど、後半話が転がってラノベ然とした展開になった(あんまり読んだことないけどね)
    わかりやすいメッセージのほんとライトな小説

  • <Bianca OVERSTUDY>
      
    Book Design / Veta
    Font Direction/紺野慎一

  • ラノベであると同時にメタラノベにもなっている。試みをしつつ面白いのが流石。キワドい話だとは思う。少し下ネタ気味でもある。くすくすとははーんが両立されているので一読の価値はあると思う。

  • あとがきで御大自ら本書の読み方を「通常のラノベとして読むエンタメの読みかた」と「メタラノベとして読む文学的読みかた」の二通りあると示しているがこれはもうメタ読みを前提に書かれていると言わざるを得ない代物であり仮に前者の読みをするなら数頁で放り出してしまうような酷い代物であるのだがどうやら全て太田が悪いようなので絵本を捕まえて「稚拙すぎる」と食ってかかるような的外れで不毛な批評は略しともかくも御大の果敢で相変わらず人を食ったメタラノベの試みにニヤリとさせられるばかりなのだがこれを読んで本来の数多のラノベに手を伸ばしてみようという気が全く起きないのは本書の成功なのか失敗なのか何れにしても改めてどこまでもついていきますと御大に忠誠を誓うばかりなのである。

  • ライトノベルとは…?ある意味、エログロナンセンスが揃ったいつもの筒井節であり、それを噛み砕いてしまえば(=ライトに描けば)こうなるのだろうか。

    2010年代の時をかける少女、というキャッチフレーズは秀逸だしSF感も微かにある。だが、全章題にスペルマが付いたり、途中から主人公を美少女に描こうとすることすら放棄した台詞回し、最後に無理矢理盛り込まれた教訓など、スラップスティックコメディ色の方が強く、ラノベ文法に沿って書いた77歳の放蕩作品、という部分を踏まえてメタ的に読むのが面白いのかもしれない。

  •  がっつりライトノベルという体裁の本を読むのはこれが初めてだったけど、筒井さん作品が好きなので手に取った。
     倫理的にちょっと…というような実験や、前半に繰り返される射精描写に戸惑ったのだけど、あとがきを含めて、SF、ジュブナイルなどなどを盛り込んだ筒井さんの作品、といった感じがした。他のライトノベルを読んでいないので確かなことは分からないけれど、これはライトノベルへの皮肉混じりな作品なのか…?

  • まあラノベというよりは筒井康隆節を子供向けに描いてみせた程度で、そこまで突飛なことはない、というよりも逆におとなしく感じた。もっとエログロなのいっぱいあるからね。ただあとがきにあるメタラノベ的読み方ってのがよくわからなかった。メタな仕掛けがどこにあったのだろうか。

  • 2012年9月3日、2刷、並、帯付
    2015年5月27日、津BF

  • なぜか読書会課題で。最初どうかと思ったけど後半は面白かった。

  • ただのラノベと思ったら大間違い。
    筒井康隆が書くんだから。生命倫理、時間旅行を交えながらのエンターテインメント。
    続編を待つ。
    太田が悪い。

  • 現代版「時をかける少女」、筒井康隆初のライトノベル。買わない理由がなかった(笑)主人公ビアンカの興味ある実験内容にビックリしました。時をかける少女の方が勿論いい。

  • ラノベばかり読んでいる人は読んだらいいんじゃないかと思う。
    ラノベを愛してやまない人は傷つくかもしれないのでやめとこう。

  • 筒井のライトノベル、21世紀の時をかける少女、とのことで、ドタバタSFとしてあっさり読める。導入は、どんなイロモノか、と思わせられるところがウマイ。

  • 第一印象は「何だこれ?」って感じ。
    後書きで普通のラノベかメタラノベどちらかの読み方で読んで欲しいと書いてありますが、これを普通のラノベとしてどう読めばいいんだろう。ラノベ的要素を抽出した上で、一見ラノベ的でそれでいてラノベじゃない物語を構築していると言う点では見るべきところもある。でもシニカルに過ぎると思う。

  • 御大もお元気そうで、何よりです。

  • 中学生に戻ったような気持ちで一気に読み切ってしまった。面白かった。初めて筒井作品にであった頃そのままの触感だった。不思議な感覚だった。

  • 筒井康隆の本は「銀齢の果て」以来か。
     軽い読み物(ラノベ)風で、しかも短いので、すらすらと読み終わった。

     ビアンカ北町という美少女とその友達の生物実験から始まる物語で、登場人物が思いもかけない動きをするのでおもしろいが、あまりシリアスなところが無くて少々もの足りない。もっとぐちゃぐちゃになるはずなんだがなぁ。

     筒井先生も、もう77歳ということだが、90歳でも小説書いてる人もいるのだから、もっと毒をまき散らして欲しいものだ。

  • “「ねえノブ。わたしたちが一週間ばかり未来へ置きざりにしてきた、あのシュワちゃん蛙たち、それから大騒ぎしていた友達や先生達、あれからどうなっちまったのかなあ」
    ノブが、うめくように言った。「ビアンカ。それ、考えない方がいいよ」”[P.124]

    色々アレだけど。
    太田が悪いには笑うしかない。

    “わたしは振り返った。
    デイパックを背負ってノブが立っていた。
    眼が見開かれている。
    ノブは言った。「大変だ。また、助けてほしい。今度は大ネズミがあらわれた」”[P.187]

  • 筒井作品三つ目。
    時かけから筒井作品に入った身からすれば、ちょっと意外。
    他氏のレビューに出てくる『七瀬・・・』を読んでみようかな。

  • う~ん、筒井さんの作品をあまり読んでいないからなのか(数冊しか読んでいない)あまり面白くなかった。
    あの構成の為に人物が動けなくなっている気がする。
    実験作としての評価で3。

  •  筒井康隆の手によるラノベ。と聞いていたものの、タイムトリップしたり人面カエルを製造したりなど、イカレた展開は筒井ワールドであります。
     しかし、文体や学園キャラ設定はやはりラノベ。その両者の中途半端さがまた面白みでもあります。

  • 流石の筒井氏です。最初っから爆笑。
    いいのか?これで・・・??

    実にファンタジーでした。
    『現代版時をかける少女』・・・ねぇ?
    時をかけさせてもらった少女 の間違いでは?
    あとがきにある『太田が悪い』に大爆笑。
    チャラっと読める大御所です。

    久々に『七瀬・・・』読んでみたいな。

  •  ライトノベルの皮をかぶった現代批評。文学批評になっている。メタメッセージを読める技術がある人間が、この本を読む人の中にどれくらいいるのだろうか。そっちのほうに興味がある。。

  • 最初に言っておくが、これはライトノベルではない。これはライトノベルではない。同じいとうのいぢの絵を乗っけて売った本来一般小説であるAnotherよりもさらにライトノベルから遠い存在である。

    いきなり章のサブタイトルが「~スペルマ」といきなりぶっ飛んでいて、主人公はラノベには稀な女性視点、男のから精子を搾り取る時点でもうライトノベルじゃないよね。ただのエロ小説です本当に(ry 言っとくけど、ラノベってこんなにエロくないからな!w
    それなのに、後半は現代社会への皮肉とか満載だし。

    作品の内容について突っ込むと、ビアンカの言葉使いがなんかアレだし、未来人とか出てくるけど、設定はまだライトノベルの方がこってるよねって思ったり。

    他にも突っ込みたいとこ色々あるけど、それなりに面白いし、エロいし、エロいし、筒井康隆ファンや普段ライトノベル読んでる人がちょっと変わったのを読んでみたいって人なら読んでみてもいいかも。
    ただし、ライトノベルを全く知らない層が読んでこれがライトノベルだと思われてると困る。てか、この本がその誤解を生じさせる事そのものを目的としているのではないかと疑ってしまうレベル。帯にも悪意を感じる。

    ライトノベルでもなく、一般小説かと言われればそうではない・・・まさしく星海社FICTIONSに相応しい作品ではある。
    星海社の小説やメフィスト作家の小説を普段読んでいる人が本来読むべき読者層なのかもしれない。

  • 21世紀の「時をかける少女」。確かに。それと「ラノベよ、これが小説だ」ってコピーつけたい。

  • おもしろい。
    でも、子どもとかには見せにくい。
    一般書籍の扱いでいいのかな?

  •  ご存じ筒井康隆の、ライトノベル・デビュー作。しかもそうでありながら、あとがきには「もう書く気はない」と見事なまでにやる気のなさを吐露しているというすさまじさ。

     内容はというと、確かにライトノベルになっています。

     学園で一番人気の美少女・ビアンカが、その好奇心から、男子生徒や教師たちを「使って」トンでもない実験を行います。そしてそれが思いも寄らない事態に発展していったものだから、未来人の案内でタイムマシンにより過去に戻ったり未来に行ったりするのです。

     では彼女たちがそこで目にする未来世界とはどんなものなのか? もうそのへんは、読んでみてのお楽しみ。大丈夫、立ち読みでも気楽に読めます。僕は立ち読みで済ませました。

     いわば「筒井康隆のライトノベルふう時をかける少女」ということになるのでしょうが、印象としてはちょっと違うかな。ツツイはきっと、ライトノベルという媒体の可能性と、その作法と、そしてかつて自分が『時をかける少女』で使ったタイムスリップという要素を実験的に組み合わせてみただけなのではないでしょうか。

     御大にとっては、気楽なものだったんじゃないかな。もう、何もかもが確信犯的に書かれたとしか思えない、そういう作品でした。

     往年の『時をかける少女』ファンがこれを読んだら、もう清々しいまでにイメージぶち壊しになると思います(笑)

     そして最終的に、この作品に対して僕がいちばん強く思うのはひとつだけ。「筒井康隆かっこよすぎ」。77歳になって、こういうジャンルにきちんと進出してひとつの作品を仕上げられるのは尊敬に値します。どうせ作家になるのなら、僕もこれくらいパワフルにいきたいものです。

  • 「ビアンカ様、うっ、ぴゅっ」w 太田が悪いw

  • 「スペルマ」の意味を調べたのは私だけでしょうか(笑)


    これがラノベかどうかは正直判りませんが
    なんとも筒井康隆的な作品でした。

    ラノベとして、「2010年の時かけ」を期待して読まれた方は
    どう言う感想になるかは想像できるような・・・出来ないような・・・。

    しかし筒井康孝の作品として読まれた方なら

    「やってくれるね筒井さん!!」

    と思ってしまうのではないでしょうか。

    本の厚みから見るにショートショートの連作を読んでいるような感じ。
    それでいて何となく雰囲気は「ダンシングヴァニティ」を思わせる。

    そして登場人物には可愛いイラストが付いているから
    いつもの筒井作品とはまた違った感じにイメージ化される。

    一番のラノベ要素はやっぱりイラストですね。

    内容が内様なだけに難しい感じもしますが
    美味い感じで挿絵が登場。

    本当に面白いシーンは流石にイラストにはなりませんね。

    ラノベ世代の人達がこの筒井康孝の下品(褒め言葉)なところを受け入れられるかは謎ですが
    コレをとっかかりに「パプリカ」とか「エディプスの恋人」とか
    読んでくれたらな~なんて思います。

著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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